渚色のカーブを
「そんなカッコつけてると危ないわよ~」
紅と年往が北伊勢の浦安へ向けて、自転車を漕いでいる。
「自転車もルールが厳しくなったよね~」
並走はついしてしまうのではないだろうか。
「そのドラゴンズカラーのヘルメット、いいじゃない!」
入れ込みくんのようである。
「紅さんのは帽子を着せ替えれるやつだね!」
この二人が、というわけではないが、チョロいと思わせれば男は上機嫌になるので、かくも男はチョロいのである。
「浦安まで車も多いから、念のためね」
紅は赤いキャスケット風だ。中日×広島戦は、色感が良い。才人揃いの理数科室長は紅だが、きっと指揮官が良い。
年往がリムブレーキを利かす。
「見通し悪いよね、ここ」
だろう運転は禁物だ。迷ったら止まれだ。
「カーブミラーがあるにはあるんだけどね」
カーブミラーを見るのが苦手だという人も多いだろう。
「見辛い・・・」
視力2.0を誇る年往なのだが。
「カーブミラーが見えにくいのって、目の老化だけじゃないのよね」
どうやらトラックが接触して、角度がズレてしまっているようである。
「割れとか、あと曇りとかね!」
拭き掃除でマシにはなるが、改善されないようなら役所のしかるべき所へ連絡しよう。
「死角云々の前に、防げる事故は防がないとね」
紅はα世代ガラホのキーをプッシュした。
「気付いた人がやればいいなんて発言は、自分は絶対にやらない人間が言うんだよ」
危険察知能力の高い人間によって、安全が保たれている。
「リスク管理で思ったんだけど、将棋や麻雀はビビリ症の人のが向いてるのかもね」
紅は飄々としているが、事前に予知できる心配事を虱潰しにするタイプである。
「大胆な手や奇襲なんて、そうそう上手くいかないよ!」
井上監督には、王道を行ってもらいたい。
「戦国シミュレーションも、ひとつひとつの確実な手の積み重ねなのよね」
紅が総司令官になったら、この生き馬の目を抜く21世紀を、どのように切り開いて行くだろうか。
「確かに臆病なほうが、最後に勝利を掴みそうだね」
「宇宙に行こうとしてるあなたは、十分命知らずよ」
紅なりの叱咤激励だ。
(そう、宇宙飛行士は気分にムラのある人は絶対に務まらない。地球上なんて安全な場所で小競り合いを繰り返す人間に、宇宙で生き残れる訳がないんだよ)




