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月の王子さま  作者: 三重野 創


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8/18

渚色のカーブを

「そんなカッコつけてると危ないわよ~」

 紅と年往が北伊勢の浦安へ向けて、自転車を漕いでいる。


「自転車もルールが厳しくなったよね~」

 並走はついしてしまうのではないだろうか。


「そのドラゴンズカラーのヘルメット、いいじゃない!」

 入れ込みくんのようである。


「紅さんのは帽子を着せ替えれるやつだね!」 

 この二人が、というわけではないが、チョロいと思わせれば男は上機嫌になるので、かくも男はチョロいのである。


「浦安まで車も多いから、念のためね」

 紅は赤いキャスケット風だ。中日×広島戦は、色感しきかんが良い。才人揃いの理数科室長は紅だが、きっと指揮官が良い。


 年往がリムブレーキを利かす。


「見通し悪いよね、ここ」

 だろう運転は禁物だ。迷ったら止まれだ。


「カーブミラーがあるにはあるんだけどね」

 カーブミラーを見るのが苦手だという人も多いだろう。


「見辛い・・・」

 視力2.0を誇る年往なのだが。


「カーブミラーが見えにくいのって、目の老化だけじゃないのよね」

 どうやらトラックが接触して、角度がズレてしまっているようである。


「割れとか、あと曇りとかね!」

 拭き掃除でマシにはなるが、改善されないようなら役所のしかるべき所へ連絡しよう。


「死角云々の前に、防げる事故は防がないとね」

 紅はα世代ガラホのキーをプッシュした。


「気付いた人がやればいいなんて発言は、自分は絶対にやらない人間が言うんだよ」

 危険察知能力の高い人間によって、安全が保たれている。


「リスク管理で思ったんだけど、将棋や麻雀はビビリ症の人のが向いてるのかもね」

 紅は飄々としているが、事前に予知できる心配事を虱潰しにするタイプである。


「大胆な手や奇襲なんて、そうそう上手くいかないよ!」

 井上監督には、王道を行ってもらいたい。


「戦国シミュレーションも、ひとつひとつの確実な手の積み重ねなのよね」

 紅が総司令官になったら、この生き馬の目を抜く21世紀を、どのように切り開いて行くだろうか。


「確かに臆病なほうが、最後に勝利を掴みそうだね」

「宇宙に行こうとしてるあなたは、十分命知らずよ」

 紅なりの叱咤激励だ。


(そう、宇宙飛行士は気分にムラのある人は絶対に務まらない。地球上なんて安全な場所で小競り合いを繰り返す人間に、宇宙で生き残れる訳がないんだよ)









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