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月の王子さま  作者: 三重野 創


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梅干し妃殿下

「学校の最大の楽しみかもしれないわね」

 昼休みである。紅は食欲旺盛だ。


「お弁当が用意できない人のために購買もあるし、外のお店に買いに行くのも許されているからね」

 年往は毎日デラックスな弁当である。


「日替わりが望ましいけど、卵焼きにミートボール、タコさんウインナーは毎日でもいいわね」

 一天いってん家はだし巻き卵である。甘い卵焼きは受け付けない。


「卵焼きはネギ入りもいいね!」

 寿司店の玉子は甘いものだが、地域によってはだし巻き卵が載っているものもある。年往もこちらが好みだ。


「トシは味ご飯ね」

 大判焼きと同じで、これも何と呼ぶかで論争が起きそうだ。


「紅さんの日の丸ご飯も美味しそう!」

 おかずを食べる時に、下手に味が付いている米を嫌う人間もいる。


「和歌山の南高梅よ。2つあるから1つあげる」

 紅も年往も潔癖症ではない。


「まさに紅一点だね!」

 米の危機を梅が救うか。


「30点!」

 栗田さんの気持ちが分かった年往。


「でもさ、梅ってすごいんだよ。効能を調べるとこれでもかってくらい出てくる。食べなきゃ損だよ」

 梅干しの赤さは、医者を青くさせる。


「クエン酸と重曹のパワーが注目されはじめたけど、それを打ち消そうとする連中も多いわ」

 小梅を含むと、紅の口がミッフィーになった。


「食中毒になりやすい今の時期や、夏バテにピッタリなんじゃないかな」

 年往の口がマヨネーズのダブルキャップになった。


「そうよね。免疫力向上とか虫歯予防とかもね」

 梅の風味が苦手な人もいるだろうが、効能目当てで食べている内に、好きになったりするものだ。


「はちみつ味はちょっと苦手かなあ」

 おそらく、梅を敬遠する人向けに作られたのであろう。


「作り手の気持ちは嬉しいけど、梅が目当ての人が食べたらあんまりかもね」

 カルピスウォーターだと思って牛乳だったら、鼻から噴き出してしまうだろう。


(昔からある食文化を無きものにしようとする、酸っぱい大人には御用心だよ)







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