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月の王子さま  作者: 三重野 創


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スイカ頭を叩いてみれば

「こんな甘いスイカは初めてだよ」

 メロンよりもスイカを好きな人物が、一定数いる。


「いくらでもあるから、たーんと食べてね」

 豪農・一天家。


「音で食べ頃を聞き分けるみたいだね」

 お店でやるのは躊躇われる。


「ボンボンと澄んだように響く音が良いとされてるわ」

 目の前にはボンボン王子。


「熟してないと、ポンポンって軽い音なんだね」

 熟れすぎるとドンドンに変わる。


「わたしもそんなにハッキリ聞き分けられないけどね」

 スイカ頭とイジリー岡田氏は似ている。


「待てなくて早めに切っちゃうのは避けたいなあ」

 あわてるなんとかはもらいが少ないぞ。


「食べ過ぎてお腹がスイカみたいになっても知らないわよ」

 紅はあんなに食欲旺盛なのに、スラリとしている。食べずに痩せようとするのは不健康だし、大して報われない。障壁を突破するには、パワー不足だ。


《ポンポン》

 自腹を叩く年往。


「太鼓みたいな音がするなあ」

「もう、デリカシーが無いわね」

 太鼓としてはいい音だが、ポンポンと鳴るのはガスが溜まっている線が濃厚だ。紅もそんな想像で脳内を汚染されたくないだろう。


「こういうので健康状態が分かるんだろうね」

 高校生の食欲のまま30代に突入すると、晴れて太鼓腹の称号を獲得する。


「触診・聴診・打診ね」

 食べっぷりで診るのは食診か。


「脳の働きが叩いて分かるかも」

「頭なんて叩いちゃ駄目よ」

 脳減る。


 脳汁が出る瞬間という表現があるが、紅は味噌汁や炭水化物を食べる時に特に脳が気持ちよく感じる。


 紅の腹時計は鳩のような鳴き声である。そこは年頃なので、空腹にならないように小菓子を常に携帯している。

(文明開化の音みたいで、僕は好きだけどな)








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