竹踏み物語
「もうタケノコが食べれるなんて感激だよ」
月見竹の子なんて風流ではないか。
「わたしも筍って大好きなのよ」
表記揺れという添削の入ることがあるが、ここのセンテンスではこの表記にしたいんだという場合もある。
二人は梅も好んで食べるし、松ぼっくりに色づけした飾りも置いている。松ぼっくりを燻しに使ういにしえの料理も存在する。
「もうすぐ春だなあ」
キョドルより気取ろう。
「めでたいこともあったし」
「し」のあとに「ね」を付けることを忌み嫌う紅。
「赤飯も炊きたくなるよ」
アイスおこわ、ホットおこわもある。
「赤飯も地域差があるのよね」
赤は邪気や災厄を払うとの伝承がある。
「紅さん家のそれ、いいねぇ」
一天家の自家製ぽてちを摘まみながら、年往がめざとく見つけた。
「この青竹踏み?」
ながらに最適だ。よく置かれるのはキッチンである。
「僕は筋トレよりもこういう無理なく続けられるのがいいかなと思ってる」
筋トレを忌避する武道家・スポーツ選手というのは、一定数いる。
「古代の書物を繙くと、現代的なウェイトトレーニングは採用していないのに、驚異的なパフォーマンスを発揮したエピソードが見受けられるわ」
これを絵空事と排除してよいものだろうか。
「いくら腕力があっても、土台の足下がおぼつかないんじゃ、出力もそれなりだよね」
ひょいと青竹に乗る年往。潔癖症の人間は、青竹の恩恵を蒙れない。
「あたっ、あたたっ!」
神谷明風の声が出てしまう。
「足裏はツボが集中してるからね」
痛くなる箇所で症状が分かる。痛気持ち良いくらいでやめるのがポイントだ。
「でも、なんか足裏がポカポカしてきたよ」
月見くんと、もっとポカポカしたい。
「この湾曲と質感は、プラでは出せないのよねぇ」
プラでは強度も無い。
「このシーズン、冷え性には最適だね」
便秘にも有効だ。
「いくらでもあるから、トシにあげるわ」
汚がりの人もいるだろうが、竹の殺菌効果を知れば、抵抗は無くなるだろう。




