噂のキッシュをあげる
「受験シーズンだね、紅さん」
1年から、戦いは始まっている。
「雪と風邪に要注意だわ」
いまから理Ⅲを受験したとしても、合格する学力はすでにある。
「腹が減ると免疫も落ちるよ」
受験生への禁句を言ってしまう年往。
「りんごはものすごく良いのよ」
果物ナイフで剝いたうさぎ型のりんごが、こたつを彩っている。
「りんごジュースって苦手な人多いけど、フルーツショップの出来たては絶品だね」
保存料は含まれていない。
「蜂蜜を入れたりしてね」
急にカレーが食べたくなる。
「こういう時に軽食があると、なおいいかな」
おにぎり、サンドイッチあたりだろうか。
「そうね。ガッツリ食べようとすると、乗ってきた気分が中断されるのよ」
受験に恋愛は禁物と唱える論者もいるが、当の二人はそういう仲ではない。
「キッシュなんてどうかな」
情熱キッシュを君に
「あら、いいわね」
冷めない冷めない 口の中へ
「キッシュってさ、具の問題をクリアしたらもっとメジャーになると思うんだよね」
いかんせん生クリームやチーズが使われるので、具は野菜多目にとなりがちだ。
「ほんとはシーフードとかベーコン・鶏肉が好きだわ」
ビーフもポークもいける。
「一枚が軽量だから、多少カロリーがあってもいいんじゃないかなあ」
悪魔の囁きである。
「キッシュサイズのピザというポジションは、空いている気がするわ」
生地に玉子が使われているので、食感はだいぶ異なる。
「そうそう、手は汚れるけど」
スマホ時代に、ポケットウェッティは必携だ。
「513のパンは具の種類が豊富だから、ああいうお店がやってくれるかもね」
なかなかキッシュだけの専門店を成り立たせるというのは、難しい。
二人きりでも、悪いウルフにはならない。
紅が思うよりも、年往はいい加減なやつじゃない。
(うわさのキッシュ、紅さんはまだだよね?)
キッショ




