紅白歌合戦
「紅さん、あっという間の一年だったね」
年往がコシのある蕎麦をすすっている。
「でも、来年も一年生をやってるんじゃないかしら」
紅白のかまぼこを含み、ご満悦の紅。
「DESIREみたいな展開だなあ」
エンドレス越冬。
「リアルタイムに成長を合わせてたら、エピソード数も限られるわ」
スラムダンクで一年が経過する間に、小学一年生は中学生になっていた。
「あっ、始まるよ」
紅白歌合戦である。
「どういう選考基準なのかしら」
プロ野球のオールスターは、人気投票で決まる。
「売上げとか再生数とかももちろん関係あるけど、水増し問題とかは分かりようが無いもんね」
「あら、意外と簡単よ」
紅には方々の企業から青田買いのお誘いが来ているが、丁重に断っている。
「いいねを連打しているアカウントを覗くと、開店休業状態だったりするじゃない?」
BAD評価やネガティブコメントも同様である。
「うん。捨てアカウントだね」
それらを除けば良い。
「そうした水増しを公言しているビジネスもあるんだから、取り締まるのに何も遠慮することは無いわ」
紅の話によると、不正に累積された再生数などもノーカンに出来るとのことである。
「そうすると、だいぶ日本の音楽シーンも見晴らしがよくなるね」
聴き通しもよくなる。
「歌唱力だけでは曲の良さは決まらないけど、国民の琴線に触れていない曲を聴かされるのは、かなりの苦痛だわ」
悪漢は、金銭に触れさせてくる。
「何がいいのか分からないってのは、大事な感覚だと思うよ」
趣味嗜好が違うという段階に達する以前の問題である。
「紅白ダンス合戦になろうとしてないかしら」
ダンスレッスンはしていても、ボイストレーニングはしていないんじゃないかというレベルの歌唱力が見受けられる。
「このままじゃ、無くなっちゃうじゃないかって危機感を覚えるよ」
ネット広告に出て来る商品で、欲しい物がほとんどない。
「歌手・音楽家に正当な対価が支払われるようにしないとね」
動画サイトで何回見ても無料の間は、この状況は変わりそうにない。




