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月の王子さま  作者: 三重野 創


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トイレの適正数

「北伊勢高校のトイレは綺麗で好感が持てるわ」

 紅にもトイレ当番は回ってくる。


「そこまで新しいわけじゃないのに、これは掃除の賜物だよ」

 トイレ掃除も出来ないやつは半人前だとは、父の教えである。


「このタイルがいいのよ。わたし、建築資材でタイルって大好き」

 モザイクタイルを使えば、さまざまな意匠を表現できる。大事なところを隠すのにも適している。


「お風呂もタイルって絶滅状態だよねえ」

 浴室乾燥を付けたりする都合上、この流れは逆らえないか。


「キッチンもね。昭和平成にかけてのドット絵作りに通じる物があると思うけれど」

 様々なパターンが作れる名古屋モザイクは、見ていて飽きない。


「掃除が大変なんて話が出るけど、水でゴシゴシ洗い流すのには向いてるよね」

 現代の家庭でトイレの床にそんなことをしたら、一大事だ。


「コンビニのトイレは入るのを躊躇うかな」

 あまり掃除の行き届いていない店もある。


「中で何やってんの?ってくらい長い人がいるよ」

 年往はサッと済ます。


「コンビニのトイレ数って一様では無いけれど、適正数が見えて来たわ」

「聞きましょう」


「まず女子トイレの個室1。そして男女共用の個室1。そして、これが一番重要なのだけど、男子の小用のトイレが1基ね」

 新しく広めのコンビニで見られるコンビネーションだ。


「なるほどなあ。男側が小用なのに、そのためだけに共用トイレを使わないといけないってのは、男女お互いにとって良くないよね」

 スペースも抑えられる。


「次点で男子の小用トイレ1基と、共用個室1って考えたんだけど、これは女性が気の毒よね」

 共用1室しかないよりはマシではあるが。


「紅さん、セクハラと思ってもらいたくないんだけど」

 異性にトイレの話の時点で、際どい。


「構わないわ。女子トイレは混雑するから常に数を増やす議題が出て来るし、真面目なテーマだもの」

 紅はそっち系の話で怯むほどヤワではない。


「ありがとう。サニスタンドってもう100年近く前からあるけど、あれを上手いこと現代に取り入れることが出来たら、いまよりは問題が解消するハズなんだよ」

 女子の小用トイレである。当然設置スペースは個室と比べて少なく済む。


「サニスタンドね! 先人が諦めざるを得なかったのは、視線を隠し切れなかったからでしょうね」

 男は壁に向かって立つので大事な部分が隠れるが、サニスタンドをそのまま壁際に設置したら丸見えである。


「色々考えたんだけど、壁から2メートルくらいのところにもうひとつ壁を作って、そっちの壁際にサニスタンドを設置すればいいんじゃないかな」

 隣同士は仕切りのような簡素な物も検討の内だが、袖壁で完全に遮断してもいいだろう。


「壁と壁の間は真っ直ぐに通路があるってことよね。用を足している人との目線カットがいるわ」

「それなら、各サニスタンドの前にスイングドアを付ければどう?」

 ウエスタンドアとも言う。


「どうしても恥ずかしい人は個室を使えばいいんだし、順番を待つくらいならサニスタンドを使うって人もあらわれそうね」

 余談だが、間違いなく足腰は強くなる。


(良かった。紅さんが理解あって。昔の農村では・・・なんて言ったら間違いなく嫌われるだろうけど)








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