再会と決意
アリラらしい答えだった。
台所には調理用の暖炉があり、真ん中には長方形の木製の机があり全体的に質素だった。
暖炉からはグツグツとシチューの匂いが薫っていて男達はお腹をグゥウウと鳴らす。
「さぁ二人とも座りたまえ」
二人を机の背もたれのある椅子に招くと、椅子を一つ両手で引いた。
「アリラちゃん僕が運ぶよ」
もう一人のダンがそういうと熱いシチューの元へ行き手慣れたように軍手をはめ運ぼうとするが、
「あわっ」
持ち上げて一歩踏み出した瞬間に足を絡めて全てを床にぶちまけてしまう。ダンが助けたのは肩を引き寄せたアリラだった。しかし当の本人は被りそうになった自分の心配ではなく。
「ダン! 怪我はないか?!」
情けないダンの方だった。そしてどこか前の躓いてこけるアリラとダンを重ねたダンは口元を緩めながら首を左右に振った。
「ご、ごめ……」
涙目になりながら謝り、直ぐに床を拭こうとするが「あちっ」と火傷をしてしまう。
(こ奴にアリラを任せておけない……)
ダンは思った。
(悪趣味な芸があるからには先で前の世界と同じ様な未来が待っている可能性がある……)
愛する人をこの手で切り捨てるアリラを想像してしまう。それがどれほどの苦痛か。そんな経験をして欲しくなかった。
それ以前に戦地で死んでしまう可能性だってあり得るのだ。ダンがこの世界に干渉している時点で未来がネジ曲がっているかもしれない。
ダンはアリラがどれくらい強いのかはまだ知らなかったが、今度こそ自分が守ろうと心に誓う。
「冷めた後に布で拭け……私が飯を作ろう」
もう一人のダンに駆け寄っていたアリラはダンを見やげると申し訳なさそうにした。
「客人に作らせるなんてー…」
「いいんだ」
ダンは慣れた手つきで料理をしだすと、手を冷やし心配げにもう一人の彼を見つめているアリラの視線が気になりちらりと盗み見た。
(もう一度あの視線を独り占めしたい……のか)
大人気なくそう考える自分がいることに気づくと、ダンはまた無心で手を動かした。
暖炉にかけた鍋にバター、塩、を溶かし薄力粉を入れて炒める。小型のブリキ缶から牛乳を少量ずつ加えていれかき混ぜながら熱し、なめらかになったら野菜籠の中から取り出し輪切りにしたナス、ズッキーニを入れ、乱切りにしたパプリカを入れ10分くらい煮る。くし切りにしたトマトいれ夏野菜のシチューの完成。
夏なのにシチューなのは先ほども含め彼女が好きそうだったからだ。
床を拭き終わった2人は椅子に座り大人しくご飯を待っていた。
「凄い……いい薫りだ」
スンスンと二人は薫りを嗅ぐとお腹を鳴らした。
「そういえば名前は何ていうんだ?」
木の皿によそい配っているとアリラが質問してきてもう一人のダンも縦に首を振った。
「……ジン」
咄嗟に思いついた名前を口にすると二人とも呼び慣れない名前を言い「いい名前だ」と言い頷いた。




