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91/106

91アルクレイはマスコットとして有名なんだそう

 翌日、聖女たちに会いに行こうと思い立ち王城に移動するといつもみたいにとても歓迎された。飽きずに年下を可愛がる感性が全員にあるのはすごいな、と毎回思う。


「ペコラ様、そろそろ来ると思っておりまして色々ご用意しておりましたの」


「こちらも見てくださいまし」


 趣味で制作していると話しながら見せられたのは大きな刺繍。アルクレイがパフェを食べている。ミニマムというかデフォルトされていて可愛い。


「アルクレイ様がペコラ様を表すときのマスコットとして広まっていますので、聖女のグッズとしてこういうのを売ることに許可をいただきたく」


「でも、身バレする率が高くなる」


「いずれ大々的に広範囲にバレるんだから、売らなくても大差ないと思うぞ」


 アルクレイが横から口を挟んできて、ムムムッと口がへの字になる。確かに彼の言うこともわかるけど、それでもバレる早さが多少前後したとしても公表したくない。

 アイドルみたいな偶像的扱いになっている聖女は、ただでさえ目立つ。目立つのが嫌いな自分にとって目立つことは悪いことの中に入っている。


「でも」


「ごめんなさい。そうですわよね」


「これはここだけの場所で飾ります」


 聖女たちは悲しげでもなくあっけらかんと諦めてくれた。商品化しないのなら好きに扱ってもらっていい。ペコラは安堵してから皇女の話を投げかけた。


「私のところに変な王女が来て騒動が起きた。ホマロがたまたま来てて」


 経緯を説明していくと彼女たちは口を手に持っていき、驚いている。


「そのお話は軽く聞いております」


 皇帝が教えてくれたのだそう。こうやって信頼を積み上げていくのだから、やり手なだけはある。隠しごとはしないというアピールも兼ねられる上に、いち早く聖女に関連することを届けられるのだ。


「またペコラ様のところに突撃されたのですね」


「王はもうあの人の帰国をさせたとかしてない?」


「まだですわ。処遇はペコラ様に相談してからと思っているのでしょう」


 王女がいるところをチラリと見たら大暴れしていて、部屋がひっちゃかめっちゃかだった。

 仮にも帝国が用意した土地の建物を荒らしたら、それは器物破損になり、甘くない処遇が増えるのではないかと思い浮かぶ。


「王女今部屋を荒らして荒ぶってる」


「帝国の王からの抗議が届いたのでしょうね」


 彼女の来た国へもキツイ抗議文をしたためたか、したためている最中なのだろう首脳陣。聖女二人に迷惑をかけたとなれば威信をかけて、全力で怒りを向けるだろう。


「帝国の王も非常にお怒りだと申しておりましたわ」


「当然でしょう!よりにもよって一番年下の可愛い盛りのお二人に向けて色々言い放ちましたのよ。泣くだなんて……向こうの教育はどうなっているのでしょうっ」


 自分よりも年下と同じ歳の二人を前にシクシク泣いたのが、余計に王族なのになぜ失礼な真似しかできないのだとマナー無視のやり方に、噴気している面々。


「王女なのにマナーも施されてない状態で、他国に送り出した方たちも責任があります」


 勝手に先ぶれもなく押しかけただけでも許されない世の中。特に聖女となればマナーより前の話になる。国家の話し合いになるだろうし、世間的には聖女を蔑ろに扱った子供を育てた国として後ろ指を差される行為。


 どんな世界にもいくら王族であろうと何の言葉もなく敷地に入ってきていい気持ちになる人はいない。特に初対面じゃどう転んでも良い印象には程遠いはず。


「私たちも書面でお送りしましょう。可愛い妹たちがいじめられたら、私たちが出るのは当たり前のこと」


 子供だからで許される場面もあるかもしれないが、その場には王女より年下もいたのに言い訳に使えない。聖女なので年上でも使って仕舞えばさらに反感を買う。


「え、妹って私?」


 少しして、会話の文面が頭に遅くなって理解が及ぶ。


「ええ。私たちは姉ですわ。あ、お嫌でしたか?女子のみの学園では姉妹の契りなんて文化があると知って、いいわねぇと話していたのです」


「嫌と言うか」


 ペコラの精神的に姉はこちらで妹は彼女たちになる。年下扱いはわかっていたが擬似姉妹にまで及ぶとは。本気の花園と化している。


「うん、好きに呼んで」


 自身が彼女たちを姉扱いしなければいい。いつも通りの聖女扱いで終われば済む話だ。


「まぁっ、お可愛らしい。照れておられますのね」


「どこら辺に照れを感じたんだ……」


 真顔で好きにすればいいと言った内容なのに、妹に夢を見過ぎている。でも、彼女たちの経歴を思えば、双子の片割ればかりだから姉妹の意識は他の姉妹よりは薄いのかもしれない。


「皆には双子の一人がいるけど、その子たちはいいの?」


「いいのです。妹なんて聖女になったこちらの苦労も知らず王子に会える立場なんて狡いと言うばかりで」


「うちは仲がよいですが姉妹というより……友達という感じです」


「姉がいますが妹扱いされっぱなしで妹が欲しいですね」


 双子と言っても仲は様々だ。ペコラのところは、史上最悪の例にされるような姉妹例扱いされていそう。


「姉妹仲がいいのはいいことだし、そっち可愛がればいいと思うけど」


「私たちはペコラ様やホマロ様を可愛がりたいんです」


「物理的に年下がいいってことね」


 彼女たちの言いたいことが少しずつわかってきた。

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【帝国の聖女たち公認グッズ】の印として、ウサギマークを使えば個人的に目立たない……かも? いっそのこと、ウサギぬいぐるみを販売すれば……パフェ店でスタンプカードを貯めてウサギグッズと交換♪とか……ガチ…
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