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89聖女と公認されたくないが聖女だとチヤホヤされたい人

 認められなければ永遠に聖女になれない。認められないということは、本物であろうと関係なく聖女ではないとなる。そうなれば、聖女になりたい人は周りから聖女として扱われない。

 フラニーは聖女として認められたいからきたものの、聖女ではないとわかっているからこそ聖女たちに聖女として公認されなくとも、別にいいのだろう。


 聖女として扱われなくともいいが、暫定的に扱われたくはある。なので、言いくるめられそうなペコラが住む土地へアポ無し訪問したのだろうな。

 ここまでは誰でも、予測できることではあるはず。問題はペコラが問答無用とばかりに王女は聖女じゃないと言った場合だ。


 ホマロも言ったら二人とも聖女ではないと言っている事になり、世間的に彼女は嘘をついた可能性がある疑惑に発展する。

 そうなった場合、どうなるんだろう。ホマロはフラニーを許さないだろうし、聖女たちも本当に聖女ではないから聖女であると言わない。

 結果、祖国に帰るしかないんだけど、諦めてくれるのだろうか。ウザ絡みしてきた相手が逆恨みしないだろうかと眉を顰めた。


 外ではパフェの甘い香りが、防壁の外まで香っている。わざと香らせているのだ。宣伝効果と、ここがペコラのナワバリというのをわかりやすく教えるため。


 様子を見ていると、聖女ホマロと偽物聖女フラニーがバトっていた。バトルロワイヤルが発生しており、聖騎士たちがアワアワしている。その場は騒然。

 権力的にはぶっちぎり聖女なので、向こう側の騎士が半泣き状態で呆気に取られていて震えていた。プルプルとマッサージチェアに乗ったように震えている。


「お帰りください。ペコラ様に招かれたのは私だけです。来てもいいと言われていない方がここまで来るなんて失礼なのです」


「お、王女」


 騎士たちがぶるんと震えて、王女に話しかけている。彼らはまだ、彼女が聖女の可能性に賭けているのかもしれない。


「いつまで馬車に乗っているのですか?私の前に出てきたら自分が偽物とバレるから出られない。だから、出られないのでしょうね」


 安物にゴツい物量をぶつけたら、ヒビが割れるのと同じように王女の啜り泣く声がどこからか聞こえてきた。

 泣いてどうにかなる問題じゃないのに。頭が痛くなる解決方法をやってきた。やるとは思っていたよ、やらないよりやる方があり得ると思っていたし。


「ぐすっ、ぐすぐすぐっ」


「嘘泣きはおやめください。あなたは聖女ではありません。私が意地悪したと言って認定を誤魔化すことはできません。帝国の聖女全員があなたは聖女ではないと会えば、即刻断定するでしょう」


 きっぱりした口調で言えば、彼女と騎士たちはピシィと固まる。聖女に聖女ではないと言われてしまったせいで、あやふやさを誤魔化せなくなったのだから。


 しかし、聖女になろうと思っていて王を狙う女の子も負けていない。か弱くシクシク泣いて、ちらっとこちらを見てはシクシク泣く。反論を下手にしないという手だ。

 ペコラの方にもなにかしら訴えたいみたいだが、こちらは家の中にいるので接触できない。相手はきっとペコラでもホマロでも構わないとみえる。


 ホマロを使うためにしくしく泣き始めたのだろうけれど、彼女はこちらから悪役にすることを最初から聞いていたので、周りの動揺など気にすることはない。


「ひっく、ひっく」


「泣くのならお帰りください。今回のことはそちらの王に抗議させてきただきますから。聖女の住処に無断で押しかけただけでも、聖女を支持する世界の方々の非難を浴びることなのですからっ」


「ひっ!王女様っ」


「ひ、姫帰りましょう」


 周りのお付きが慌て出す。今慌てても色々手遅れだけどなあと他人事の感想を抱く。たとえ祖国に逃げるように帰っても、今までみたいにチヤホヤされることはなくなったと予想。

 聖女へ無礼を働くことは王へ無礼を行うよりもずっともっと、それはもう大変なことだというのが世間の常識なのだ。


 フラニーは第五王女。切り捨てられるのも容易くわかるほど、地位が低い。家族仲がよければ逆に王家ごと沈む可能性もありうる。

 国がなくなるかもしれない。国で済めばいいんだけど、王女の今後の進退によるか。

 他の聖女も含めて優しいから一発退場にするなんてことは、滅多になく周りが追い詰めるパターンが殆ど。


 ペコラのやり方は非常に珍しい方法なのだ。気付かれていないが、今までのやらかして来た者たちを許さず罰を必ず与える、といったことは。


「帰りますので!」


「失礼致します」


「失礼いたしました」


「姫、今はもうおやめに」


 従者たちや騎士たちが慌てて帰るらしい音が聞こえる。フラニー王女のところに魔法を使い、映像を映す。いつものことなので鑑賞を始める。


「まだ動かさないでと言ったじゃない!」


 喚く女の子は、幼いながらに王家の驕りが顔に引っ付いている。今まで王族だからと酷く甘やかされてきたらしい。


「聖女に認めさせればいいんでしょうっ、今すぐ戻しなさいよ」


「無理です。あのままだとさらに怒りを買う恐れがあり」


 王女付きの使用人がオロオロとしている。

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