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69ガチャ盗難未遂事件

 彼らは権力に今まで守られてきたから真にやってはいけないことを理解してないみたいだ。甘やかされてきた弊害っぽい。やれやれとアルクレイと息を合わせて、またこの展開だねと視線だけで示し合う。


 今までの数々の諸外国のやらかしを思い出す。この国の人たちも裁きを受けることになるのは決まっている。なにをするのかまだ決まってないけど、やらかせばやらかすほど罰は重くなるわけだ。加点式。裁判長というより執行人だ。


「生徒会のやつらがガチャの制作者を調べてるが、なにも得られてないと苛立ってるな」


「得られたらスパイに就職できてるでしょ」


「有能ならどれほどよかったか」


 バカだからペコラへ突撃してあしらわれたり、ただの転生女にいいように操られて周りの評価を落としているのだろう。それはそれで、凄く不味いことなんじゃなかろうか。

 普通は王家の王子ならば周りの評価を高めようという気位くらい、持たないといけないのでは。でないと、将来後を継いだときに周りから協力を得られないし。多分、自分が嫌われている前提を考えてない思考が透けている。


 教育を受けている人ほど人を下に見たり軽く見たりする傾向にある。ペコラもなにか誰かに言えるほど人を上にも平等にも見えないが、赤の他人に向かってわざわざ話しかけることはないから迷惑をかけることもない。向こうから話しかけてきてから、事態は深刻化するばかりだ。


 迷惑をかけてきている相手に自衛するのは当たり前の本能。毎回巻き込まれるトラブル体質はもう諦めるとしても、かけられたことへの返しは百倍返し。そこに配慮はしない。

 彼らもこちらの登録した特許に興味を抱いたみたいだし、次は登録者に行き次は権力で探ろうとするだろう。しかし、登録している自分を知ることは無理。聖女の情報はガチガチに守られているから。


 そうやって動いる間はペコラのことなど覚えていないだろう。あんな子もいたなと、微かに記憶に触れる程度で終わる。その頃には帝国に戻れているだろうから、気を逸らす作戦は功をなしていると言えた。

 生徒会のメンバーたちは、押し付けた子以外がそれぞれガチャを欲しいと要求するためだけに、学園でやるべきことを放棄してそちらにかかり切りになる。王の反応が鈍く教えてもらえそうにないから、ついに自ら動くことにしたのだろう。


 考えなくてもわかりやすい頭をしているから、助かる。アルクレイとペコラはお互いにバカだなと思い合って、彼らを追随するように観察した。映像を見ていくと彼らは自分たちの親にガチャの本体を買い付けるように頼んでいた。

 それができるんなら王がまず真っ先にやってるんだけど、わかってないみたい。購入不可だ。考えなくても大人も買えてないのに。

 子供に買えるわけもない。王族が買えないのにたかだか王子如きが買えることもない。


 なんにも学んでないんだなあの人たち。王にわからないとか教えないとか言われているのに、それをなぜか考えられないところもどうかと思う。王家の教育の失敗、敗北である。

 王が探ることをやめるように伝えても糠に釘。親の言うことを無視するなんて王を軽視しているから、躾をした方がいい。これ以上なにもしないように。


 王の言うことを聴かないなんて、そもそも子供だからとか無謀とか以前の話な気がする。貴族なら即聞き届けるのに傲慢になってしまっているとわかる。息子だからと特別だと思っているのが、透けて見えた。

 言うことを聞かないのなら、公式に令状を発行すればいいのに。それをすると記録に残るし、後々跡を継ぐ時に後継者として不合格と思われると尻込みしているのか。親子だから相手が出すなんて考えられないのか。


 早くしないと、後を継ぐのも困難になる可能性も無きにしも非ず。そもそも、国は残るのだろうかと思う。ペコラは残らないのではと地味に予想していたりする。だって、小さい失点を犯しているし、邪魔だしムカつくし。


 ガチャはペコラしか使えないし権利は一人だけしか許されていない。帝国の王でも手に入れられないのに、弱小国が手に入れられるかってことだ。調べればいつかわかることだと思うけど、そんなツテもないか。


 二十日後、ガチャが夜中に盗まれる事件が起きた。具体的に言うと盗難未遂だ。ばっちり映像には映っているのだから逃げられる隙もなく、犯人は有罪で牢屋行きなのだが指示犯がいて、その指示役も監視カメラ魔法に映っていた。

 王太子の側近の男の一人。学園には通ってない大人の側近だ。学園生ではないから通ってないだけで、城に行けば側近の一人だ。爵位も低い使い捨てだとわかりきっている駒だ。


 完全にトカゲの尻尾切りだなぁと分かりやす過ぎる。ペコラは指示犯、つまり指示した犯人をすでに特定している。


 映像をこの国の王に送ってどうしてくれんですか?と責任の所在を問いかけてみた。帝国の王にも映像と抗議の手紙、関税の引き上げに対するものと犯行の裁判の有無についての問いかけを頼んでおいた。

 悪質ゆえに看過できないと。流石の皇帝もなんという不義を行う国なのだと、お怒りだ。

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