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67キーホルダーをカバンにつけるのを流行らせる

 ペコラは次のガチャの商品を考えながら、メモに書いた。リアリティすぎると使いにくいと。もう少しデフォルメしよう。


 アルクレイもなかなか付けられないかもと、盲点を言うと「気軽に付けられるようにモデルが必要かもしれないな」と当然の帰路のことを提案する。そうでもしないと誰もつけてくれないかもね。平民たちは付けてくれるかもしれないけど。


「私が率先してつけるよ」


 こうなったらペコラが、これみよがしにいろんなところにつけよう。そうしたら誰かしら真似し始めるだろう。


「それがいい」


 早速いろんなところへつけるとジャラジャラ感がすごい。普通にやりにくいが、宣伝のため。おしゃれは不便がついてくるという名言は本当だったらしい。動きにかなりの負荷がある。

 つけ過ぎたらとっても手首にも重くて辛い。何事もほどほどがいい。アルクレイも絡まってしまうなと、頷いてお気に入りのパフェキーホルダーを触る。

 メロンとかプリンアラモードパフェをよく眺めているので、また食べたくなるみたいだ。


 生徒会の映像を見ながら彼らのまた仕事をサボりキーホルダーを吟味している様子に、「首にされればいいのに」と首を傾げた。

 次の日にキーホルダーをつけて学校に行くと、他に誰もつけていないので、目立つ。つけるように推奨した文章を小さい説明書に添付しているので、そこにも着目してやってほしいところだ。


「ねえ、ペコラさん、それって」


 当然、友人を作るために来ているわけでも無いから友好を求めてない己に話しかける女子はいないかと思われたが、そこは思春期のせいなのか、同じ教室にいるからゆえの距離の近さからなのか、普通に話しかけてくるクラスメイト。ここへ来て全く話してないのに、よく話しかけられるよね。


「キーホルダーだから」


 普通話しかけられないとかで気後れするのに、コミュ力強い。とりあえず現状、流行らせるために言葉は選ぶ。


「わ、私も、やりたいかも」


 生徒たちは、使いにくいほど細工が巧みな造形のキーホルダーをつけ始めた。それをやったのが帝国であれ平民の少女。一歩遅れたからといって、それに対して悔しいからとならない面々ではない。


「見て、栗パフェよ」


 来週は新しい新作を搬入予定だ。キーホルダーをつける生徒たちを眺めながら計画を反芻する。


「新しいのが入るって噂聞いた?」


「聞いたわ!」


 クラスは、というか学校全体がこんな話題でみっちり詰まっている。学校なんてこんなもんかと世界が違えど話題は変化しない。

 それは、大人な世界でも同じらしい。夜会とか貴族たちの間でもガチャの存在はかなり広まっているらしい。


 夜会についてはカメラ魔法で見た。お酒を飲みながら優雅に会話していたが、学校にあるガチャをどうやって手に入れようかという話ばかり。

 ガチャを回すよりもガチャ本体をどうやって手に入れられるかという話。そこはガチャを回すだけに留まればいいのに。野心が強いと、さすがだ。褒めてない。


「生徒会の奴らが少し行動を起こしそうだが、いつも通りか?」


 変わらずあの面々を面白おかしく見ているんだけど、王にあのガチャはどこの誰が置いたのか、商人ギルドに特許開示を要求したりと「やっぱりね」と言いたくなることをし始めている。傲慢と強欲が程よく面白い。

 マリナサが特に熱心に知りたがっている。ペコラのことは忘れているのかまったく接触してこなくなったので、計画通り。

 よかったよかった。なかなか鬱陶しさが半端なかった。ペコラはようやく安定した生活を持てたことに安堵と余裕を感じた。


 そもそも仮のもしもの考えで赤の他人の周りをウロチョロするのがおかしい。国の幹部の子供が平民に対して、探りを入れたらそれこそこちらの普通な生活が破壊されかねない。そんなことも配慮しない、できない幹部の子供なんて将来、出世しなさそう。


 配慮っていうのは国を動かす上で必要なスキルなんだと内心思うので、クレームを入れよう。クレーム入れたいけど、帝国経由で次は入れようかと思っている。二度目はない。許さない。

 なんの理由もないのに生活を破壊しようとしているのだから。向こうはこちらの正体に見当もつけれていないのに。こちらから見ると、単なるよくわからない謎行為でしかなく。


「特許、すごく知りたがってる。予想通りすぎて」


「この国のランクでは開示どころから鼻で笑わられて足元を見られるだろうに」


「特に念押しして(教えるなと)言ってあるから」


 絶対になにがあっても教えてはならぬ。と、事前に特許登録するときに本気で念押しに念押しを含めて頼んだ。

 帝国に先に登録し、機材を学園に置くときも経緯や情報を厳重に隠してやったので誰がどう搬入したかはわからないようになっている。

 そんなものを学園に持ち込めたのはひとえに帝国の鶴の一声があったからに違いなし。帝国の王の許可書があれば学園も許可しないとね。権力の権化と言われようと誰も損はしないから。得しかないし。皆幸せになる。ウィンウィンだ。


「父上、教えてください」


 今は王子が王にガチャ設置をした人を聞いているのを眺めている。映像にはウンザリした顔をしている例の王がいるのだが、息子は王の心のうちなどそっちのけ。

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