27国がなくなる可能性が非常に高いことをやらかしているというのに止められないのはかなり致命的では
「な、なにをやっとるかぁ!」
部屋に戻るとこの国に当てられた部屋で、今現在の王たちを中継で観戦する二人のコンビ。
他の聖女たちも各自部屋で休んでいる。まだ自体は走り抜けるように続いている。王子たちの貪る姿は、国に散らばり世間の目に晒されているからだ。
お菓子の家へ到着した王は息子に対して叫ぶ。降りる前から叫んで止めようとしていたが話を聞くわけもない。今も食べ続けてるから食欲も止まらないのだろう。
「なんでこんなに食べ続けてるの。そろそろお腹はち切れるよね?」
ペコラが疑問を口にするとアルクレイが悩む声を出す。
「あいつらのステータスにバットバフがついてる」
なにかしらの状態異常が付与されているらしい。見てみるとプロフィールに書いてある。
「暴飲暴食。暴食の大罪。食べ続けてるのはこれのせいか」
お菓子に手を出したことで、彼らはもう食欲を止められないのだろう。
王が現れても周りの兵たちは頭と体を下げるのに、王子は父親の態度として下げない可能性はあったとして。他の側近たちが足を地面につけたり、半分膝立ちしたりしないのは身分社会を染み付かせたにしては、異変だった。
「頭を下げろ!」
慌てて側近の父親たちもここへ来たのか、現れる。
「父上?すみませんが食べ終わるまで無理です」
「はっ?いいから下げろ。陛下の御身の前だぞ!」
警備を担当しているらしき男が一番体格の良い子どもを怒る。それでもお菓子を離さない。
「お断りします。見てわからないのですか?私は食べていますので」
「なぁ!?」
驚愕に染まる大人たち。今までは従順だったらしい。反抗期だとしても酷い。本物の不敬罪を適用されても、文句は言えない最悪な行いだ。
彼らはお菓子をまたむしゃむしゃし始める。父親たちを見ることなく。父親たちもその行動に違和感を感じているが、それでも同じことを繰り返して子どもへ声をかける。
もっと早く駆けつけてほしかったな。言う前にね?
側近の同じく王子についている子息を持つものがさらに到着して声をかけるが、梨の礫。
「おい、やめろと言っているだろう!」
声では止めているが体を張って止めないのは、子どもたちの手や体や髪にクリームがベタベタに付着してあるからだと愚考する。
彼らの親の服はそれなりのお値段だと思われるので、汚したくない心理が働いているのだろうな。
国がなくなる可能性が非常に高いことをやらかしているというのに、止められないのはかなり致命的では?
「やめないか!」
王子の名前を何度も連呼する王。それをしても、これっぽっちも響いていない。というより、ステータス異常で解除されるまでずーっと貪っている。
「ひい!やめろ!食べるな!」
「聖女様の作られたものなのだぞっ」
「いい加減にしろ!」
「陛下!」
「王妃……!?」
おや、王子の母親が来た。王妃がドレスを乱雑にひらりとさせてやってくる。
「この映像をお止めくださいっ。このままの状態ではずっと町で国民たちがあの子の愚行を、ああっ」
悲鳴を上げる。王妃はグッと喉を詰まらせて「早く止めてくださいませ!」と声を張るけれど、できるのならもうすでに止まっている……と力無く呟かれた言葉が、空間に響き渡った。
「な、なぜ、こんなことに?なぜあの子は聖女様の作ったお菓子を、マナーを忘れたように食べているの?父の言葉にも耳を傾けないなんてっ」
両陛下たちは二人して話すが、周りの親たちも懸命に声をかける。それでも一歩も親側へ足は向かない。顔も向けないところからして、そもそも耳に届いていないのだと気付き始める。
「やめなさい!」
王妃も声を上げるが、息子は一片も目を向けないことに唖然とする。王たちはそこで兵たちに彼らを拘束するよう、遅すぎる指示をする。
「彼らを王城へ」
「はっ。映像はどうなさいますか?」
近衞の隊長が王へたずねる。映像はおそらく聖女か、付近の者たちの仕業だろうから止めようがない。
「無理だ」
「無理とは、なんです?頼んでください」
「無理だ。怒らせてしまって今こうなっている。頼んだらまた怒らせるだろう?悪化させたいのか?」
「そんな、わけ、ありませんわ」
辿々しく語る母親。悪化している最中なのに、さらに悪化どころではない。悪化のその先とはなんだろう?とペコラも考えてみたが、わからない。最悪と悪化は、同じ意味だと思っていたけど。
「どうする?聖女に頭を下げても映像は無くならないぞ?」
王は王妃に断言した。兵士たちが子どもたちをベタベタになりながら嫌々連行している。その間にもドアとして作られた、分厚いクッキーを口にむしゃむしゃと入れている。
「むちゃむちゃ。むちゃむちゃ」
「もぐもぐもぐ」
「ごくん。もぐっ」
「んむっ。ごほこぼっ。んぐっ」
子どもらは全員、食べ続ける。歩かせているときも映像は撮られており意地汚い食べ方、連行されている姿が観衆の目に幅広く今も白日の元に晒されていた。
「止めてと、頼んでください……」
目を伏せながらもか細く言うが、王は首を振る。止めてと言っても断られる上に、この件について強く厳しく追求されるだろうとわかるのだ。と言いたげにしていた。
アルクレイに話しかけられる。
「ペコラ、このたい焼き、チョコが入ってるぞ。甘いな」
「カスタードも美味しいから食べてみて」
たい焼きと他にも、白いもちもちとしたたい焼きも用意してある。
「甘くてうまい」
もちっとアルクレイは、頬を丸々とさせて頬袋を膨らませる。映像は、王子たちを城に連れて行ったところを見せた。
「あなた、あの家は……」
「どうしたらよいのか」
そういえば、あの家については放置気味だった。今更、レクリエーションに使う気のある者は誰も居まい。
「保護して、形状記憶させておく。この状態をずっと観衆に晒しておくことにする」
ぐちゃぐちゃになった家。踏み荒らされた家内。普通の家なら大事件の現場。まあ、一軒家を壊されたのと、同じくらいのことなんだけどね。
歴史的な大問題を王家の王子が引き起こしたとして、いずれ教科書に載ることになるだろう。
王家にとって、この国にとって、悪い見本として反面教師にされていくかもしれない。面白そうだ。
永遠に、それこそ死ぬまで第二王子はお菓子の家を食い荒らしたバカとして、後ろ指を差されて嘲笑われることになる。




