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23お帰りください。聖女様たちにはお会いできません。国王陛下に話をしに行きますよ

 聖女らは王城に用意されている部屋へそれぞれ泊まることになっている。ペコラも同じ内装の部屋を当てがわれていて、寛ぐ。


「あれ、王子が王城にいるってことになるよね?ここが自宅だから」


「探ったが今は第一、第三しかいない」


「聖女との接触をやろうとしてる?」


「それはどこの国もそうだろう。この国にもいるだろうが、質が大違いらしいぞ」


 ペコラほどの者はいないにしても、大国の帝国は聖女の自由度が桁違いだ。部屋に戻るとティータイムのやり直しをしましょうと聖女たちが部屋まで誘いに来てくれた。もちろん、口直しをしたい。


「じゃあ、新作パフェ出すよ」


「えー!ペコラ様の?なんてこと!」


「まあ!参加してよかったわ」


「本当に。今回はそれだけが幸いねえ」


 聖女たちがはしゃぐ。彼女たちとテーブルを囲み、大広間を使用する。すでに許可を取っていると聞いて大々的になにかパフォーマンスステージでもやろうかと考えた。

 バルーンルームは前にやったので室内でできるもの。


「ビンゴやったらどうなる?」


「ビンゴってなんだ」


 このうさぎはインプット内容が、最近のうさぎゆえに知らないらしい。最近は一つも聞かなくなって久しいな、そういえば。


 ビンゴというのは、ランダムに番号が書かれた半円に折り曲げられる、切り取り線のあるカードのこと。

 番号を司会者がランダムに引いて、それぞれ持つカードの番号が連続して繋がったら景品が貰える、らしい。


 どんどん物理ではなく電子ビンゴが流行り、その後見たことはない。今もあるにはあるのだろうけど。


 それともモグラ叩きゲームの方がいいのだろうか。

 アイテムボックスにはなんでもある。3Dではなく、2Dだからこそグラフィックが作りやすかったんだと思う。


 立体的なものはゲーム開発者からすると時間も負担もかかるし、実装を素早くしてユーザーを飽きさせないためには、平たい素材の方がたくさんのアイテムを継続して作れたのだ。

 そうすることでゲーム離れを回避して、配信し続けられた秘訣だとわかる。


 聖女たちにビンゴをしないかとやり方とルールを教える。景品はアルクレイの尻尾を模したパウダーチョコだ。真っ白い丸なので尻尾だなと思い、パフェの聖女の相棒がウサギなのは有名になりつつあるから。それを出すと聖女らが俄然やる気を見せてきた。


「勝ちますのよ!」


「チョコを我が手に!」


 雄々しい気合いでビンゴを始める。時間をかけても意味がないので、普通の速度でビンゴを始めた。懐かしきガラガラ型の玉の入ったボウル。プラスチック製の中に、番号の記入された物が入っている。


「あれ、やりたいわ」


 終わったらやればいいよ。出しておくから。


「はい、二十五番」


「やったわ!一つ目!」


 新作パフェの種類はいくつかあり少数であるので、全員先行で選べる権利ということになった。全種類、皆交換したかったらその人と交渉すればいいので、うまくいけば何種類か食べられる。

 全種類それぞれ全員分はあるけれど、希少性を出した方が美味しく食べられるだろう。


 ビンゴになった女性たちは次々パフェを選ぶ。交換してと事前に約束している。一時の遊びは限定的な体験が鍵だ。全員にパフェが行き渡りワイワイと喋っているとき、聖騎士が聖女のまとめ役に耳打ちする。


「王子が?挨拶はもう済ませていますので追い払ってください」


 小声だが職業スキルの探偵が働いた。聞き耳を済まさなくても、気になったら自動的に届けてくれる。


「王子来たの?友好国なのに?」


 ペコラがアルクレイに話題を横流しすると、元より耳が良いウサギ耳を揺らしてパフェの白玉をもちもち食べながら口を開く。食べながら話せる謎仕様。


「確か前に来たのは四年前。王子が思春期になったら、権威や権力の権化の思考に育っても不思議じゃないだろ?」


 第一王子か、第三王子か。どちらなのかと二人で素知らぬフリをして眺めていると、また聖騎士たちが耳打ちする。まだ粘ってるみたいだ。

 身に覚えがあるやり方。祖国の人たちもどれほど追い払おうとも、いろんな手を使い面会しようとしていたから。

 アルクレイとペコラでしか見られない映像を映す。内容はこの部屋の外。


「なぜ、入れない?私はこの国の王の息子だぞ!?」


 二番目が現れた。この城で王子が勢揃いでこっちもビンゴだった。自分で言ってて嫌なビンゴだなと思う。永遠にリーチでよかったのに。


 二番目は小説や漫画でもよく、緩く扱われた結果お花畑の思考になりやすい立ち位置と、偏った知識しかない。

 主にサブカルチャーからの抜粋になるペコラは、胡乱な顔つきをしながら頬杖を付いた。


「通せません」


「お帰りください。聖女様たちにはお会いできません。国王陛下に話をしに行きますよ」


「騒ぐことは依頼の契約違反となります」


 聖騎士たちが一ミリの隙間なく扉を守り、鋼の顔でビシッと伝える。


「ぐ!?」


 王子は王に伝わることに怯む。待って、王子の隣にいるプラチナピンクの制服姿の女子生徒って??

 目を何度も瞬く。こんなコテコテで今時もう二番煎じどころか二億煎じに至る人が、なぜ存在できるのか。

 いやまぁね、人のことはそう言えない背景を己も持ってたりはするけど。


「ピンクブロンドの女の子が王子の隣にいて、副生徒会長はそれに悩んで私たちを巻き込もうとした、と察した。私にはわかる。このあとの展開も」


「このテーマは長いことカテゴリで話題になるからな。お前のときは偽聖女という事件だったが、今回は婚約者が高位貴族と婚約していて後ろ盾を得ていることにあぐらをかいて、蔑ろにしている展開だな」


「アルクレイも知ってるんだ」


「膨大な量の情報を持ってる」


 ウサギは鼻をぴくぴくさせて、自慢げに月見パフェの黄色いアンコを食べ終わる。ウサギと月見で本人がぴったりさをいたく気に入り、最近のブームパフェらしい。


 続きを見る。


「よろしいですか?」


「殿下……やめときましょう」


「くっ、覚えていろ!顔は覚えたからな?」


 その聖騎士、聖女のまとめ役の旦那だから、夫婦二人を相手取るには荷が重いんじゃないかな。


「殿下、私も父に知られるのは不味いです」


「く、仕方ない」


 王子の側近たちが制服を着たままでコソコソしている。今の今までどこに行ってたんだあの人たち。

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