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17遊びたいから己にバルーンルームで遊ばせて、パフェも食べたがっていたからと言っていたが一番遊びたくて食べたかったのは母親だったオチ

 捻りあげられる技は、人を無力化することに特化しているから。見ているだけで痛そう。この人たちが牢屋に行くと残された子どもは家で一人か。使用人はいるけど赤の他人だし。


「はぁ、なんなのだ、あの者たちは!」


 王がどさり!と椅子に座るとナンバーツーが話しかけてくる。慣れた口調で汗を拭く。


「とんでもないお二人でしたね。年々緩くなっておりましたが遂にやらかしましたね」


「ああ。だが、国内でやらかすかと様子を見てきれば国外で。さらに、聖女様たちを抱える大国の皇帝を怒らせて!ああっ、こんなことなら国外に出るのを禁止にすれば」


 目をつけられてはいたみたいだ。それならもっと早く、隔離していてほしかった。せめて、お目付け役は置いておくべきだったよ。彼らはただでさえ、自国の王を舐めてる。

 自分たちはなにも罰を受けないと思い込んでいた。小さな頃から周りにやってもらっていた系の育ち方。


「国際問題になった。誠心誠意謝らねば」


「ですが考えようによっては、例の聖女の方と接点が持てるのでは」


 二人の打算ありきの言葉に「なにそれ」と呟く。アルクレイが「謝るのに誠意が見当たらないな」と鼻に皺を作る。二人はこの会話に不快感と嫌悪を感じた。


「そうか?怒っているのだぞ?」


「報告によるとバルーンルームを作ったのは被害者の聖女です。交流をする聖女の懐が狭いわけもないでしょう」


 ナンバーツーは理解ある顔で言い続けるが、実際のペコラは真逆。懐は自分の分しかないんですよ?と首を傾げた。なんで加害者の国に懐を開けなきゃならないんだ、と言わざるを得ない。


「許しを得にくる口実で、接点を作りに?ないない。機会すら与える気はない」


「だな。奴らは国に来るつもりだが、この映像を皇帝に送っておけば後の対応は丸投げできそうだ」


 手紙や伝言で謝りに来たけどどうする?なんてお伺いにくる手間を省ける。皇帝も教養があるので下心を把握して来なくていいと言ってくれるだろう。実際謝罪は皇帝にした後に聖女へ行こうとするだろうけれど、面会謝絶。


 お断りしておくといった手紙を添えて、映像も添付させお城に送りつける。了解したとの言葉が書かれた返事が、近衛兵を使って届けられた。まめだな、あの人も。


 ロイヤルガードたちも、手紙の配達員なんてやりたくないだろうに。余計な業務に少し労りをしようかと、あんこたっぷりのたい焼きを渡した。パフェにそのまま突き刺すようなものを考えていたら、縁起もいいしと大量にレシピを使って作っているのだ。


「え、よろしいので?」


「お手紙を届けるなんて近衛兵の仕事じゃないだろうし」


 そんなことを言ったら聖騎士たちだって、パフェを差し入れしているし。実益を兼ねられるのだ。味がこの世界の人たちに受け入れられるのか、というアンケート。

 真実か真実ではないかもわかる。便利すぎるスキルもあるので確かめようがあるから、食べてもらうだけで済む。


「どうぞ」


「ありがとうございますっ。あのう、皇帝陛下に……分けてもよろしいでしょうか」


「……ああ、普通に忘れてた」


 皇帝陛下と呼ぶ声は恐る恐ると言ったふうで、単純に渡す数に入れるのを忘れていた。


「追加するから、それを」


 追加を用意する、と説明するとかすかに光る瞳。近衛兵が皇帝も口にしたことがないものを貰うのは、荷が重かったみたいだ。

 重んじるとか序列ってやっぱりめんどくさい。普通に食べればいいのに。


「ペコラ様、できたら、そのう」


「ん?」


 まだもじもじしている。


「王家のお子様たちの……えっと」


「バルーンルームを体験した時の子たちもそういえば居たか」


 そちらも普通に忘れていた。皇帝とはまれに手紙をやり取りするけれど、子どもは影も形もない生活だから存在をまるっと忘れている。


「たくさん作ったし余分にあるから構わない。もってって。お城の人たちも余裕で食べられるくらい、あるから」


 というわけで、馬車に乗せられるギリギリに詰め込み馬車は去っていく。近衛がすごく嬉しそうにしていた。

 今度もあの人が来る可能性があるので、またたい焼きを大量に用意しておこう。あんこ好きを増やすために。


「今回の対応はソフトだったな」


 アルクレイがふわふわ浮いて上から降りてくる。やり取りを近場で聞いていたのだろう。


「あんこ好きが増えると、レシピもオリジナルが増えるかもしれない」


「あんこ単体の販売も視野にってことか」


「そう」


 あんこを気に入った彼は、うさぎのしっぽをふりふりさせる。オリジナルの誕生が待ち侘びられた。


「近衛兵って、雑用もやるんだ」


 労働は大変だな、と他人事に呟いた。その後、手紙は届き返事とたい焼きのお礼が書かれていて。さらに侯爵家のことも追加情報があった。

 夫妻の子どもが、この国に留学という名目で来ることになったので、許可を得る体裁の文面。

 ペコラは学ぶ機会はあれど、家庭環境がめちゃくちゃだったから子どもの立場が一番わかる。なので、気にしないことを明記して送った。


「ペコラ、いいのか」


「騒動を起こした時の子どもの方は、ただ小石蹴ってただけだから。本気で食べにきた顔をしてない。親の狂言だよ、あれ」


 遊びたいから己にバルーンルームで遊ばせて、パフェも食べたがっていたからと言っていたが、一番遊びたくて食べたかったのは母親だったオチ。

 子どもを出汁にして、引き出させようとした魂胆なのはわかる。子どもはつまらなさそうだったから、開口一番に遊びたいと言ったわけじゃなさそうだし。


「そうか。留学できたのは運がいいな。連座になるのが普通なのに、逃れたのは帝国の意向を汲んだんだろう」


 留学させろと言われれば留学させるしかない。侯爵から男爵にまで目一杯引き下げられた爵位での留学は大変だろうが、自国で責められる時代を生きるよりずっとマシだ。

 自国にいれば引き込もれる大人の親と違って、子どもは学園や外に行かなくてはいけないので矢面に立つ。

 自ずと家の名を持つ、なんの関係もないようで縁が切れない過去のせいで詰られ続ける。

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