12 土砂降りの雨に見舞われて国内外で自由に身動きを取れなくなっていた。ざまぁみろと毎日のように思ってせせら笑っている
長年虐げられてきた報いを受けさせ、一度は満足してフワフワと浮かぶ雲を眺める日々を送っていた。
彼の国は土砂降りの雨に見舞われて国内外で自由に身動きを取れなくなっていた。ざまぁみろと毎日のように思ってせせら笑っている。
それでも、まだやりたいなと不意にむくっと報復心が湧く。さらに鞭を打つ行為になろうと、雨をチョコレートに変化させたりして遊ぶ。
悲鳴が上がったりするごとに幸福度も上がる。なんて一石二鳥なんだろう。チョコレートでも舐めさせるのが詫びなので、詫びも兼ねられていい。
そんな風に過ごしているとアルクレイがひょこっとウサギの耳を動かす。
「そろそろパフェ店をやりたい」
「どうしたの?珍しく主体性あるね」
「パフェが広まればオリジナルパフェが生まれるだろう」
なるほどなあ、それが目的なんだねと頷く。パフェ店をやるにあたって全てシステム化されて、従業員もホログラムみたいな存在しないものなので、引き抜きや秘密を知られることもない。
襲われても人的被害はない。そもそも、店のどこも襲えて得られるものはないけどね。
お金はレジに入れられるし、手をかざすだけで自動的に支払われる。軽い転移魔法が使用されているらしい。
足りなかった場合、手動に切り替えてその場でお金を出してもらい、無理ならば兵士に引き渡すというシステム。
ゲームだったので無銭飲食なんてしなかったけど。皆払って出て、また入ってくるカジュアルな見た目だったし。
瞬時に兵士や駐屯地にテレパシーで通報されるらしい。
そんな方法は確立されていないので、驚くだろう。来なかったら連れて行くんだけど、すごく目立つと思う。ゴーレムが出てくるので。
監視と警備のゴーレムは本来、魔法使いから派生してゴーレム使いの称号を得られるので、それが理由でゴーレムが警備員をしてるなんて設定。
ゴーレムに運ばれる無銭飲食は目立つので二度目はやらなくなるだろうし、店に近付かなくなるだろう。
そんなこんなで計画していたお店の土地はもう購入してあるし、パフェ店をやると申請してあるのでいつでも始められるけれど、やることをやったら燃え尽きて何もする気がおきなかった。
きっと、アルクレイはそれを敏感に察してくれたのだろう。よい相棒で嬉しい。
祖国でたっぷり栄養素を得てからというもの、店舗の下準備だけで終わり、いつでもやれるからと先延ばしにしていた。
それではいけないのだなと、停滞していたものをやり出す。なにもしなくても勝手に売ってくれるから、何かする必要なんてない。
「じゃあ、店舗用に買った土地に建物を建築して営業しようか」
「ああ。遂に始動だな。待ちくたびれたぞ」
「そんなに楽しみだったの?」
「おれはお前のやることを補佐し、お前のやることを常に肯定するべく生まれた存在だ。お前がやることは全て歓迎する。案内人として、相棒として」
背中を押されて頷いた。明日の朝には全店が開業している。注文が入るとアイテムボックスやパフェの木からパフェ本体が届くので在庫がなくなることはない。
さらに言うと、余ることもないから気にせずに今まで通り生活できる。ありとあらゆる対応は全てシステム化しているから。
二人はまたのんびりと雲を見る。アルクレイのオリジナルパフェについてはまだ時間がかかるだろうし。ここでまったり待っていればいい。
そう思っていたのだけど、この国、帝国の一番偉い人から依頼をしたいと懇切丁寧な手紙を受け取った。このパフェ農園は誰も入れないから、入り口にいることを知らせるベルが鳴るまで知ることはない。
故に、朝からベルが鳴って寝ていたのにと不機嫌になるのは当然だよね。安定した生活を送りたいこちらの安眠を邪魔するなんて、何様だろう。
ペコラがここまで怒っても許されるのは、他国に行っても構わないという意思をあちらも把握しているので。帝国と全面的に敵対したとして、帝国が勝つ可能性が一センチもないから。一センチどころかミリもない。
豪雨でずっと降りさせ続けるくらい、全ての職業をカンストさせているペコラを同行できるわけもない。もしも、微かにでも敵対する人がいたら、その土地を隆起させたり液状化させれば経済的な報復が可能なのだ。
なので、敵対はしない宣言を皇帝みずから声明を出している。聖女相手にそんなことは異例中の異例だ。あのプリンアラモード馬車などで保険をかけたかな。
ペコラはそれに溺れず城や各地に監視魔法をやっているので、不穏なことをしていたり、計画していたりするとその情報が集まるようにしていた。これは、新聞記者の職業スキルだ。
ミニゲームで新聞配達をしていたから、そのためだけのおまけな職業。お飾りみたいなお蔵入りだったのに、この世界ではとんでもない化け物職業になっていた。
なにもしなかったら放置だが、なにかあれば即座に皇帝に精密すぎる報告書をいつでも送れるようになっている。
企んでいる相手の好きなものから、秘密にしていることまで。鍵付きの保管庫の番号だって、楽々入手。
それを送ったことはまだないので、皇帝はどれだけペコラがとんでもない聖女なのか知らない。
「今の所、私を疎んじてるのは誰もいないかな?この国は」
疎んじてはないけど、ちょっと羨ましがられているという文句はあれど行動に起こす人はいない。敵意くらいならば受け流す。行動に移すならば泳がせてアウトにさせるだけ。
「手紙を読もう」
アルクレイに足されて、仕方なく読む。
「聖女のデモンストレーションが帝国の学園であるんだって。参加しませんかって」
「面白そうじゃないか。この世界には季節イベントが……そこはお前が広めてほしいところだが」
「なんでわたし?」
「カジュアルゲームの設定ではお前が先駆者。異世界転生した主人公が異世界で色んなことをして元の世界で様々なことを広めるというのがメインストーリーだ」
「そんなストーリー大昔にやってほとんどやり終わってたから二度目は読まなかったけど。今更その設定が出てくるのは」
ストーリーモードの話を読み直す必要がありそう。スマホの中のアプリにあるのでそれを読むのか。デモンストレーションまで期間があるので読むしかないな。
皇帝に参加すると返事をして彼の執務室に手紙を送り込む。彼から手紙をもらったらこのように送るのが普通になっていた。




