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100/106

100とんでもない大問題を引き起こして無理矢理帰国

 解こうとしたら可愛いからやめてと止められた。これから上映するから籠るのだから、意味はないと言ったが見たい人がいたら見たがるでしょとイイ笑顔で封殺される。


「この髪型、子供らしさが前のめり気味で」


 圧に負けたゆえに今日はこのままでいるしかない。


「いいじゃないか。似合うぞ」


 飴とかあげたくなるなと言われて、子供らしさが全面に押し出されているのは気のせいじゃない。気を取り直して映像魔法でフラニーを見つけて、チャンネルを合わせた。


 始まりは室内であるが、もう少し前に戻して馬車に乗せられたところから早回し。見ただけでもわかる。怒られて不貞腐れていると。絶対に言われたのだ。なんてことをしてくれだ的な。今まで甘い態度しかなかったのなら叱責を受け入れないのはわかる。


 甘やかされてきた王女は初めてのガチな怒りに触れて、流石にちょっと悪いことしたな……くらいは感じているかも。それもすぐに吹き飛ぶだろうが。

 観光と皇帝の妻になれるかもという希望を抱いてきたから、祖国の人たちもそんなのは無理とわかっていても望みを叶えてあげたい、と送り出した。


 蓋を開けてみたらとんでもない大問題を引き起こして無理矢理帰国。王城に馬車が着いた時からすでに今までの空気と違うとわかるだろう。皆が女を見る目が違うから。今までどれほど甘やかされてきたかは知らないが、ピリッとしている空気くらいはわかる。


 王女フラニーは人の機微など気にしないので、何か言いたげな周りへかを配る性格をしていない。気にしないように育てられたからとしかならないから、そのまま王のいる部屋へ通されるとすぐに駆け寄り「皇帝が酷い」と訴え出す。


 パイナップルジャムなどを混ぜたパイナップルパフェも手に取り、パクパク食べていく。むぐむぐもぐもぐと二人して飲食していると、パフェというのは食べる飲み物でもあるなと世の真理のドアを開きかけた。

 が、フラニーの親の声が聞こえてドアに手をかけられなくなった二人は声の主は今更何を言うのかと言いたくなる。


 甘やかしたのはお前だろうと言いたくなったのだ。娘を甘やかして聖女だと夢想させた。王にも甘やかした罪がたんまりあるのに。酷い話だ。実際に聖女ではあったが、聖女たる力かと思えば首を傾げる。


 聖女と自覚していて聖女かどうかフィルター検査を受けに来たとは思えない。そもそも、病弱と自己申告していたのに健康であったから、最初から嘘をついていた嘘つき王女である。

 皆も知れていることなので余計に白目で周りが見ているはずだ。あと、聖女であってもなくても、一国の王にマナーもルールもなく婚姻を迫り妻にしろなどとはしたない。


 全く色恋のいの字もない人に言うなんて、シンプルに見ていて嫌悪感が湧く。好かれていたのなら、眩しく微笑ましいことだが。嫌われていて好かれてもない押し付けだ。

 ただの人でも、ありえない言葉を投げつけた王族に酷すぎる、と聖女たちの間でも話題になるのはすぐのこと。


「お父様」


 王女フラニーが涙ながらに親のところへ行くが、すでに抗議文や詳細の記された報告書に手紙は封を開けられていた。王の頭の中に存在していたので、とっくに涙は嘘だと知られていたのだ。

 娘を愛してもいるので愛情と、なんてことをしたんだと責めたい気持ちの板挟みに父親は頭を抱える。涙を流しているそれも怯えではなく、どうにかして欲しいだけの訴えのものと理解しているだけに強烈に頭が痛そう。


「なぜそんなことをした」


 問いかけに王女はスラスラと言葉を出す。


「妻になりたかったの。あの人は昔から妻を得ていないから、空いているのなら座ってもいいじゃない」


「許されない。妻を望んでいないにも関わらず妻になりたいと思っていないのに」


 王の叱責も軽く扱う。


「聖女を妻にできるのなんて名誉なことだって」


「聖女を剥奪されているのにか」


 彼女はカッとなる。


「剥奪されはしたけど聖女であることはなくならないわ」


 帝国から提示されているのは慰謝料だけではなく、皇女が嫌がるような相手と婚姻させろと圧力も受けている。嫌な相手に結婚を迫られて婚姻させられる苦痛を同じく体験させろと暗に言われているのだ。


 体験だけならば普通は終わりがあるが、婚姻となれば終わりは離婚か人生を最後まで全うするまで。許すつもりは最初からないという意思表示なのだ。聖女だからといっても権限は凍結されており、強い権限はない。


 聖女は双子の片割れが多いが、多いというだけで一人でもいることはいる。少ないが。実は片割れがいたが形になる前にいなくなっているのではないかという研究者や医者もいるので、本当は双子だったのかもしれない。

 王女は末の娘なので甘やかされて、愛されて過ごし双子の苦労も双子の感覚も知らずに過ごしたので自分が間違えているなんてありえない、という考えが根本的にある。


「はぁ、縁談が来ている」


「えっ、皇帝が?」


 フラニーはパァッと顔を輝かせる。


「違う」


 喜びに溢れる笑みを見せてくる娘に歯噛みして、反省の意を示しもしないことに項垂れる。今国の中は王女のせいで帝国から見放されて、輸入や融通されていた関税などが引き上げられたと気付く者たちが現れている。

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