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VRMMOで憧れてた鍛冶職を取ったけど思ってたんと違う....  作者: ヤミラミ


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第7話:地獄の鍛冶修行と、勘違いの脳筋ビルド

「おいレイ! 朝だぞ起きろ! 太陽はとっくに上がってんぞ!」


「ぐえぇ……っ……!?」


バシコンッ! と背中に叩きつけられた強烈な衝撃で跳ね起きた。

眼前に広がるのは、煤けた天井と、ドワーフ特有の筋骨隆々としたバルドさんの笑顔。


「ほら飲め! 鍛冶師特製、スタミナ回復薬まずいだ!」


「あ、ありが……ごふっ!? にがっ!? え、泥飲んでる!?」


「ガハハ! 効くだろ! さあ、今日も叩いて叩いて叩きまくるぞ!」


ベッドから転げ落ちた俺は、パンパンに腫れ上がった上腕二頭筋と前腕筋に悲鳴を上げた。

五感同期がリアルすぎるせいで、「昨日の筋肉痛の記憶」が脳にしっかりと残っているのだ。


(筋肉痛まで再現しなくていいんだよこの神仕様ゲーム……!)


それでも俺はエプロンを締め、金敷の前に立った。

自分の手で鉄が形を変えていくあの感触は、一度味をしめると病みつきになる中毒性がある。


「よしレイ! 今日はただ叩くだけじゃねぇ。鉄に『意図』を込めろ! 『とにかく薄く、軽く、だけど折れない小刀』を自分の手で叩き出してみろ」


「薄くて、軽くて、折れない……それってめちゃくちゃ難しくないですか?」


「難しくねぇ鍛冶なんか鍛冶じゃねぇんだよ! ほら、火が冷めるぞ!」


「うおおおっ、わかりましたよ!!」


俺は重いハンマーを両手で握り直し、炉から引き揚げた黄金色の鉄塊へ向けて振り下ろした。


カンッ! カンッ! カンッ!


火花が乱舞する。

薄く作ろうとすると力加減が難しく歪んでしまい、逆に力を抜けば厚みが残ってしまう。


(もっと繊細に……叩く場所を点じゃなくて線で捉えるんだ……!)


視界から工房の風景が消え、目の前にある真っ赤な鉄塊だけに集中する。

叩いた瞬間の『手のひらに返ってくる手応え』で、金属内部の密度の偏りを感覚で探っていく。


(ここだ……! ここを、あと一筋分だけ押し潰す……!)


――カァァァンッ!!


澄んだ綺麗な音が、工房内に一際高く響き渡った。


水冷の「ジュワッ!」という水蒸気とともに作品を引き揚げる。

だが、完成したのは……驚くほど軽くて不穏な形状のナイフだった。


名称:鍛冶試作・影喰みの暗器

品質:規格外(手製)

攻撃力:22

【要求ステータス】DEX 35以上

【効果】重量補正:極小(攻撃速度+40%)

【効果】影潜み(夜間および物陰での攻撃時、クリティカル率+50%)


【ピローン! 鍛冶スキルが上昇しました】

【プレイヤーレベルが上がりました!(LV 2 → LV 4)】

【ステータスポイントを獲得します】


「……薄くて軽い小刀を作ろうとしたら、暗殺者の毒針みたいな物物しいナイフになっちゃったよ……」


俺がガックリと肩を落としていると、後ろから覗き込んでいたバルドさんが目を開く。


「おいおい……お前、感覚だけで『折り込み鍛造』の真似事やりやがったのか……!? 世間じゃ熟練の職人がやる技法だぞバカ野郎! 最高だ、お前が作るものはどれも尖りすぎた名品だな!」


「いや、俺は普通に使いやすい『綺麗な剣』が作りたいんですってば!!」


俺の悲痛な叫びも虚しく、バルドさんは俺の背中をバシバシと叩くのだった。


「ふぅ……っ……!」


汗をぬぐうと、目の前にレベルアップの通知メッセージが浮かんでいた。

黙々と鉄を叩き続けた結果、レベルが上がったらしい。


「よし……手に入ったステータスポイント、どう振るかな」


俺はメニュー画面を開き、ステータス画面を睨みつけた。


一般的な生産職であれば、生産成功率や細かな作業精度を上げるために『DEX(器用さ)』や『LUK(幸運)』にポイントを振るのが定石だ。


だが、俺の頭の中には「重いハンマーを力任せに振り回し、地獄の筋トレに耐えた記憶」しかなかった。


(鍛冶=圧倒的な筋力とスタミナ。あのデカいハンマーを軽々と振り回せないと、もっと硬い金属なんて叩けないぞ……!)


俺は一切の迷いなく、獲得したポイントを全て『STR(筋力)』と『VIT(体力)』に極振りした。


本来、器用さが求められる鍛冶職としてはあり得ない「ゴリゴリの脳筋ビルド」の誕生である。本人は至って真面目に「これで綺麗な剣が作れる!」と信じ切っているのだが。


「よし! バルドさん、次の鉄持ってきてください! 今日中にちゃんとした綺麗な剣を打ってみせます!」


「ガハハ! 言ったなレイ! 次はさらに倍硬い『鋼』を叩いてもらうぞ!」


「望むところです!!」


俺は再びハンマーを握り直す。

STRに振ったおかげで、手に持った重いハンマーが先ほどよりも少し軽く、しっくりと手になじむ感覚があった。


(これなら、もっと強く、もっと高密度に叩ける……!)


カンッ! カンッ! カンッ!


工房内に、再び威勢のいい金属音が響き渡る。


「ほう……ハンマーのブレがなくなってやがる。筋肉の使い方を叩きで覚え始めやがったか」


腕を組んで見守るバルドさんが、感心したように頷く。


俺は目の前の真っ赤な鋼鉄に全神経を注いでいた。

薄さ、硬さ、しなり。金属が求めている形を感覚で探りながら、一心不乱に叩き続ける。


数時間後――できたのは、真っ直ぐな刃を持つはずが、なぜかノコギリのようなギザギザの刃紋が浮かび上がった物物しい大剣だった。


名称:鍛冶試作・裂鋼の大刃

品質:規格外(手製)

攻撃力:43

【要求ステータス】STR 40以上

【効果】防具破壊(攻撃時、相手の耐久度減少率+100%)

【効果】重量超過(ガードされた際、相手の体勢を強制的に崩す)


【ピローン! 鍛冶スキルが上昇しました】

【プレイヤーレベルが上がりました!(LV 4 → LV 6)】

【ステータスポイントを獲得します】


「……また綺麗な剣じゃなくて、相手の鎧を砕くための物騒な大剣になっちゃった……」


「ガハハハハ! 良いぞレイ! 手加減なしで叩き潰した鉄は、そうやって力強い牙を持つんだ! 最高だぞ!」


「褒められてる気がしない……!」


自分が「システムのアシスト(レシピ)」を使えば楽に綺麗な武器が作れるという事実に一切気づかず、筋力極振りのゴリ押し手動鍛冶に磨きをかけていくレイ。


その泥臭い努力が、いずれ凄まじい規格外の装備を生み出すことを、彼はまだ知る由もなかった。る由もなかった。

STATUS  PLAYER NAME : レイ

RACE : ヒューマン JOB : 鍛冶師 Lv.6 [ 0 / 600 ]

[ VITALS ]

HP : 65 / 65 (VIT補正+15)

MP : 20 / 20

STM : 30 / 30

[ PARAMETERS ] (Unassigned: 0pt)

STR : 40 (+22)

VIT : 18 (+3)

AGI : 6

DEX : 18

INT : 5

[ ACQUIRED SKILLS ]

・【鍛冶 Lv.2】 ・【鉱石鑑定 Lv.1】・【鉱石採掘】・【道具習熟 Lv.1】 ・【筋力補助 Lv.1】

[ SPECIAL EQUIPMENT ]

・初心者用スミスハンマー・初心者用ピッケル

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