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VRMMOで憧れてた鍛冶職を取ったけど思ってたんと違う....  作者: ヤミラミ


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ダンジョンの成果確認

『古樹の暴君・グラニード』の討伐後、レイド参加者たちからの鳴り止まない歓声と感謝の嵐を何とか抜け出し、俺とコウタは転移陣を使ってダンジョンの外へと脱出した。


「ふぅーーーっ! 死ぬかと思った……! さすがに下層の雑魚連戦からのレイドボスぶっ続けは、スタミナもMPもスッカラカンだわ……」


太陽の光が爽やかに降り注ぐ地上広場に出た瞬間、コウタはその場に大の字になって倒れ込んだ。

彼の愛用する長槍と全身の防具はボロボロ。ポーションの残り数も底をつき、装備の耐久値も完全な黄色信号だった。地力と気合いで押し切ったとはいえ、まさに満身創痍の生還である。


「ああ、生きて帰れてよかったな。だが……これでレベルも地力も、あの時とは比べものにならないくらい上がった」


俺は木の木陰にあるベンチに腰を下ろし、全身を包む強烈な疲労感の中で自分のステータス画面を開いた。


【 SYSTEM STATUS WINDOW 】

PLAYER NAME : レイ

RACE : ヒューマン

JOB : 鍛冶師 Lv.35

[ VITALS ]

HP : 80 / 200

MP : 7 / 60

STM : 25 / 130

[ PARAMETERS ]

STR : 195

VIT : 18

AGI : 6

DEX : 18

INT : 5

画面に躍る数字を見て、俺は思わず苦笑いを浮かべた。

レベルアップで獲得したステータスポイントを、文字通りSTR(筋力)だけに全振りしてきた果てのステータスだ。


レベル35にしてSTR「195」という異常な数値を叩き出している反面、VIT(体力)は基礎値に近い18、AGI(素早さ)は驚愕の6、INT(知性)に至っては5。レベルの上昇に伴ってバイタル(HPやMPの最大値)自体は多少底上げされているものの、ステータス補正が皆無なため、同レベルの平均的な前衛プレイヤーと比べれば耐久力も魔法抵抗も「超雑魚」レベルの紙装甲だった。


さっきのレイド戦でも、ボスの毒一つでHPがガッツリ削られ、少し立ち回りを間違えれば即死という薄氷を踏む戦いだった。スタミナ(STM)の消費も激しく、まさにギリギリの消耗戦を制してきたのだ。


「いやー、強くなったな俺たち! 俺はレベル43だぜ? あとで装備のメンテナンスをしたら、いよいよマグマ・ゴーレムの野郎にリベンジだな!」


コウタがむくりと起き上がり、汗を拭いながらニシシと鼻を鳴らす。


「そうだな。で、街に戻ったことだし、中層ボスで拾った戦果の分配と確認をしてたんだけど……」


俺は画面の一箇所でピタリと目を止めた。


「……ん? どうしたレイ? なんか変なデバフでも残ってんのか?」


「いや……そういえば俺、レベルが上がってもずっとバルド師匠のところで鍛冶の修行ばっかりしてて、スキルポイント全然振ってなかったわ」


「はぁ!?」


コウタがベンチから豪快に転げ落ちそうな勢いで身を乗り出してきた。


「お前バカか!? レベル35になるまで放置!? スキルポイントどんだけ溜まってんだよ!」


「えーっと……未割り当てスキルポイント『68pt』って書いてある」


「ろ、ろくじゅうはちー!? お前それ、スキルツリー丸ごと一つ解放してさらに上位スキルまで届くレベルだぞ!? どんだけ鍛冶に夢中になってたんだよ!」


コウタが頭を抱えて叫ぶ。


「いや、だって鍛冶のことで頭がいっぱいだったし……。それに、STR全振りだから耐久もスタミナもボロボロで、スキルポイントでどうカバーするかじっくり考えたかったんだよ」


俺は苦笑いしながら、未割り当ての68ptと、中層ボス戦のドロップアイテム画面をコウタに見せるように共有展開した。


「よし、じゃあ戦果の分配とスキル振りを一気に決めよう」


【獲得戦果の分配決定】

スキルブック:『瞬影跳躍フラッシュ・ステップ』 ➔ コウタへ

効果:一瞬で中距離を跳躍し、0.5秒の無敵判定を得る回避型アクティブスキル。


装飾品:『古樹の守護指輪』 ➔ レイが装備

効果:致死級ダメージを受けた際、HP1で踏みとどまる(1日に1回のみ発動)。さらに発動時、最大HPの20%分を即座に再生し、発動後5秒間受ける全ダメージを90%軽減する。


「いいのかレイ!? この『瞬影跳躍』、めちゃくちゃ強力な無敵スキルだぞ!?」


コウタが目を輝かせながらも、気遣わしげに尋ねてくる。


「ああ。俺は指輪をもらうからな。それに、お前がいなかったらあそこまで攻略できなかったからな」


「レイ……感謝するぜ! このスキル、絶対使いこなしてみせる!」


コウタは渡されたスキルブックを力強く突き掲げ、その光を全身に吸い込ませて即座に習得した。


「そして俺は、この指輪を装備する。これでマグマ・ゴーレムの即死攻撃を万が一喰らっても、HP1で踏みとどまって復帰できる」


俺は静かに指輪を装着し、画面のメインであるスキル画面へと意識を集中させた。すると、画面の奥底で赤く明滅する“異質なアイコン”が目に飛び込んできた。


「……ん? なんだこれ」


「どうした? スキルツリーに変なバグでもあんのか?」


「いや……スキルツリーの端っこに、見たことない隠し項目が出てる。なになに……『隠し固有ツリー【剛腕の鍛冶師】』?」


「はあ!? 【剛腕の鍛冶師】だあ!?」


コウタが身を乗り出して俺の画面を凝視する。


「な、なんだよそれ!? 通常の鍛冶師ツリーにはそんなのないぞ! 解放条件は……『ジョブ:鍛冶師』かつ『Lv.30以上でSTR値180突破』……!? おいおい、そんな狂った極振り条件、普通達成できるかよ! 鍛冶師でSTRだけに突っ張ってきたお前だからこそ出た変態専用ツリーじゃねえか!」


「なるほどな……通りで誰も使ってないわけだ。だが、今の俺にはこの68ptがある。この特殊ツリーから、STRをトリガーにして欠点を補うスキルを獲得していくぞ」


【レイのスキルポイント割り振り】

狂気のステータスと『鍛冶師』の奇跡が生んだ隠しツリーから、溜め込んだptを消費して特殊パッシブスキル群を獲得!


『剛体変換(STR→VIT・HP補正)』【獲得:20pt】


効果:超高数値のSTRを参照し、その割合に応じてVITおよび最大HPを激増させる。


変化:実質VIT+45相当の補正が入り、最大HP:200 ➔ 500 へと跳ね上がる!


『強靭なる息吹(STR→STM補正)』【獲得:20pt】


効果:STR値を参照し、スタミナ最大値を上昇させ、スタミナ消費量を30%軽減。回復速度を倍増させる。


変化:最大STM:130 ➔ 260 へ激増! 連戦でもスタミナ切れを起こさなくなる。


『怪力俊敏・精密(STR→AGI/DEX補正)』【獲得:20pt】


効果:超高数値のSTRを参照し、その筋力を全身の瞬発力と精緻な身体操作へ無理やり変換。AGI(素早さ)とDEX(器用さ)のステータスに強力な上昇補正をかける。


変化:驚愕のAGI:6 ➔ 36、DEX:18 ➔ 48 へ急上昇! 鈍重だった身こなしが一変し、大剣の振り速度と命中・精密性が激変する!


「な……なんだよこれぇぇぇッ!?」


スキルポイント消費によるステータス更新の光が収まった瞬間、俺のHPとスタミナゲージが目に見えてぐんぐんと伸び、さらには身のこなしの重苦しさまで嘘のように消え去ったのを見て、コウタが悲鳴を上げた。


「HPが一気に三倍以上になってるし、なんだその身軽さ!? さっきまで紙装甲で力任せの突進の雑魚ステータスだったのに、隠しツリーで一気に隙のない超重量戦士になってんじゃねえか! えげつなさすぎるだろそれ!」


「フッ……これが『STR全振りの鍛冶師』だけに許された隠し能力だ。ポイントで獲得した特殊スキルで、超高数値のSTRを各ステータス補正へ強引に変換させることで、一気に弱点を克服したぜ!!!」


指輪による絶対回避の保険。

コウタの獲得した新たな機動スキル『瞬影跳躍』。

そして俺の弱点が消え、極限の火力を維持したまま強靭な耐久と素早さを得た新生ステータス。


「……整ったな。マグマ・ゴーレムすら、今の俺たちなら正面から叩き潰せる」


俺は大剣の柄を力強く握り締め、コウタと力強いハイタッチを交わした。


「おうよ! 待ってろよマグマ・ゴーレム……俺たちの本当の全力、叩き込みに行ってやるぜ!!」

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