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VRMMOで憧れてた鍛冶職を取ったけど思ってたんと違う....  作者: ヤミラミ


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イベントダンジョン攻略

「……で、どうする? アイテム揃えて再戦するか?」


セーブポイントの石畳から立ち上がり、手持ちのポーションの残り数をインベントリで確認しながらコウタが尋ねてくる。


「いや、冷静に行こう。あの全体即死攻撃、今の俺たちのレベルとスキルじゃ、発動された時点で詰みだ。突っ込んでも無駄死にするだけだし、まずは地力を底上げする」


「地力、ねえ。レベル上げか?」


「ああ。一旦、島の真ん中にあるダンジョンに行こうか」


俺の提案に、コウタは槍の柄を肩に担ぎながら不敵に笑った。


「いいねぇ。速攻で突っ込むのも悪かねえが、ガチガチに鍛えて、手も足も出ないレベルで完勝してやる方が性に合ってる。決まりだ、真ん中のダンジョンへGOだ!」


港町を出外れて島の中央部を目指す道中、俺たちは奇妙な活気に包み込まれていた。


イベント島という限定フィールドなだけあって、主要な街道にはプレイヤーたちの人波が途切れない。パーティを組んでワイワイと歩くグループ、露店でバフ飯を売り捌く商人プレイヤー、そして「中央ダンジョン、@1枠盾職募集!」と叫ぶ野良パーティの勧誘の声。


「なんか……すごい人出だな」


俺が呟くと、コウタも周囲を見回しながら大きく頷いた。


「そりゃそうだろ。イベント中盤のメインコンテンツだぞ? 樹海や岩場を抜けたプレイヤーが全員集まってくる場所だし、祭りみたいなもんだな」


「確かに。みんな目指す場所は同じか」


やがて樹海の木々が拓け、島の中央へと辿り着いた俺たちの視界に、目指す目的地が姿を現した。


【エリア:島中央ダンジョン『古樹の回廊』】


そこに広がっていたのは、まさに「お祭り」そのものの光景だった。


巨大な大木が何本も絡み合って形成された神秘的なダンジョンの大穴。その入口付近の広場は、数え切れないほどのプレイヤーでごった返していた。


鮮やかな魔法の光薬を試飲して効果を確かめる魔法職の集団。

「ボス部屋の前でバフ掛け合おうぜ!」とハイタッチを交わす大型ギルドの面々。

ダンジョンからボロボロになって戻ってきては、「あそこの罠マジで初見殺しだから気をつけろよ!」と仲間に情報を共有している攻略組。


暗く重苦しいダンジョンの入口のはずなのに、漂っている空気は学園祭や大型フェスのそれに近い。あちこちから笑い声や歓声、威勢のいい掛け声が響き渡り、プレイヤーたちの熱気が肌に伝わって来る。


「うわ、想像以上にお祭り騒ぎだな……! これ、ダンジョンの中混み合ってたりしないか?」


コウタが圧倒されながら言ったが、表情はどこかわくわくしている。


「インスタンス化されてるフロアもあるだろうけど、この熱気はテンション上がるな。みんなここでレベル上げたり、強力なドロップ狙ったりしてんだ」


俺は背中の『深海鋼の重圧大剣』の感触を確かめた。バルド師匠の手で打ち直され、軸ブレを完全に削ぎ落とした相棒。マグマ・ゴーレムの分厚い防護殻すら砕いたこの大剣の手応えは、間違いなく本物だった。足りないのは、初見殺しを跳ね返すための地力と選択肢だけだ。


「さあ行こうぜ、レイ! この熱気乗って、片っ端からモンスター狩りまくってレベル上げだ!」


「ああ! ガンガン潜って、あのクソゴーレムを即死攻撃ごと粉砕できるくらい強くなるぞ!」


俺とコウタは意気揚々と声を掛け合い、活気あふれるプレイヤーたちの人波に混ざって、広大なダンジョン『古樹の回廊』の内部へと足を踏み込んだ。


ダンジョン内部は、巨大な樹木と古代遺跡が融合した神秘的な空間だった。


太い根が縦横無尽に走り、蛍光色に光る苔や胞子が幻想的な光を放っている。そして外の賑やかさに負けず劣らず、内部もまた活気に満ち溢れていた。


「左の通路からトロール湧いたぞ! 前衛抑えろ!」

「右の奥、宝箱あるけどミミックじゃね!? 誰か鑑定持ってない!?」


あちこちの区画から戦闘音やプレイヤーたちの怒号と歓声が聞こえてくる。他のパーティが戦っている横を通り抜ける際、互いに軽く手を挙げて挨拶を交わすような、このイベント特有の独特な連帯感が心地よい。


「おいレイ! 来たぞ、正面から三体!」


コウタの声で視線を前に戻すと、ツタと岩石でできた人型の魔物『フォレスト・ゴーレム』が三体、ドスドスと音を立てて迫ってきていた。


【モンスター:フォレスト・ゴーレム】

【Level:33】


「樹海のやつらより一段階レベルが高いな……ちょうどいい練習相手だ!」


俺は大剣を低く構え、地面を力強く蹴り出した。


重厚な『深海鋼の重圧大剣』が、風を切る音を立てて空を裂く。

重心調整が完璧になされた刀身は、以前のような無駄なブレが一切ない。狙った通りの軌道で、先頭のゴーレムの胸元――コアが存在する部位へ正確に吸い込まれていく。


ズガァンッ!!


『固有効果:過剰打撃』発動。


強烈な衝撃波がゴーレムの体内にダイレクトに浸透し、内部から岩石の肉体を破砕する。Lv.33のモンスターが、一撃で体勢を大きく崩してひざまずいた。


「隙ありだッ! 『スパイラルランサー』!」


追撃に飛び出したのはコウタだ。旋風を纏った長槍がドリル移動のように高速回転し、崩れたゴーレムの首元へ一閃。螺旋の刺突がコアを一瞬で穿ち抜き、一体目をポリゴン粒子へと変えて砕き散らせた。


「ナイス、コウタ! 次行くぞ!」


「おう! バックステップで距離取ったやつ、俺が引きつける!」


二体目が振り下ろしてくる太い腕を、俺は最小限のサイドステップで回避。以前なら大剣の重さに振り回されて体勢を戻すのに一瞬の遅れが生じていた場面だが、今の俺はそのままスムーズに回転斬りへと移行できる。


ガキィィンッ!


「『重力脈同調』!」


漆黒の重力光を纏わせた追撃の一撃が、二体目の胴体を真っ二つに叩き割る。


残り一体となったゴーレムに対し、コウタが鋭い連続突きでヘイトを維持し、最後は俺の振り下ろしで踏み潰すように引導を渡した。


【経験値を獲得しました】

【Levelが 31 に上がりました】


視界に躍り出るレベルアップのシステムメッセージ。


「お、レベル31到達だ!」


「マジか! 俺もあと少しで41になるぞ。やっぱりこのダンジョン、効率めちゃくちゃいいな!」


コウタが嬉しそうに槍を回す。


周りを見渡せば、俺たちと同じようにモンスターを倒してレベルアップの光に包まれているプレイヤーたちが「っしゃあ! スキルポイント溜まった!」「これで新しい魔法覚えられる!」と喜びの声を上げている。まるで島中のプレイヤーが集まって、みんなでレベル上げの祭りを楽しんでいるかのようだ。


「いい流れだ。この調子でどんどん奥に潜って、スキルと装備を整えていこう」


「ヘッ、あのマグマ・ゴーレムの顔面に、全力攻撃叩き込んでやるのが楽しみになってきたぜ!」


お祭り騒ぎの熱気の中、俺とコウタはさらなる強さを求めて、ダンジョンの深層へと足を進めていった。

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