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VRMMOで憧れてた鍛冶職を取ったけど思ってたんと違う....  作者: ヤミラミ


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ジャングルでレベリング

転送陣を抜けた先の砂浜エリアで『アーマーグラブ』を退けた俺とコウタは、さらなるレベルアップと実戦の勘を取り戻すため、イベント島の中盤に広がるジャングルの奥深くへと踏み込んでいた。


「へぇ……奥に進むにつれて、さらに雰囲気が重くなってくるな。手前の砂浜エリアとは大違いだ」


コウタは槍をそっと持ち、油断なく左右へ視線を動かす。


「ああ。ここからは出現するモンスターのレベルも上がる。しっかり身体を慣らしていくぞ」


俺たちは互いの死角を補う陣形を保ちながら進む。背中の『深海鋼の重圧大剣』は、極限まで重心バランスを調整したことで、歩くたびに以前よりもブレを起こさず体に吸い付くように馴染んでいた。


不意に、前方の分厚い茂みがガサリと激しく揺れた。


『グルルルァッ……!』


茂みをかき分けて姿を現したのは、黒い毛並みに身を包んだ巨体――樹海の俊敏な捕食者『シャドウウルフ』の群れだった。体長二メートルを超える巨体が三体、鋭い爪と赤い眼光を光らせて襲いかかってくる。


「いきなり三体か! コウタ、右のやつをお願いできるか!」


「任せとけ! 足止めは俺の領分だ!」


コウタが疾風のような踏み込みで右側のシャドウウルフへ接近し、槍の閃光を走らせてヘイトを引きつける。残る二体は、大剣を構えた俺に向かって同時に飛びかかってきた。


(早い……! だが、動きは見えてる!)


左側の一体が放った鋭い爪の振り下ろしを、上半身をわずかに引く最小限のスウェーで紙一重で回避。目の前を爪が空を切った直後、間髪入れずに大剣のグリップを握り込み、横一文字に刃を振り抜いた。


「ハァッ!!」


重厚な深海鋼の刃がシャドウウルフの側腹部を捉え、豪快な打撃音と共に弾き飛ばす。


(……軽い!!)


以前なら、これほどの重量を持つ大剣で大振りを放った後には、攻撃の勢いに体が持っていかれて大きな硬直が生じていた。しかし、打ち直された今の相棒は、振り抜いた勢いをそのまま次の動作へのスムーズな旋回力へと変換できる。


「まだまだぁっ!」


間髪入れずに踏み込み、上空から襲いかかってきた二体目のシャドウウルフに対して、下段から跳ね上げるような豪快な斬り上げを叩き込む!


ドカンッ――!!


『固有効果:過剰打撃』が発動。装甲を穿つ重厚な衝撃波がシャドウウルフの体を直接打ち抜き、空中へと打ち上げた。苦悶の声を上げるモンスターに対し、俺は跳躍するように追撃の叩きつけを繰り出す。


ズドォンッ!!


地面を揺るがす衝撃と共にシャドウウルフは叩きつけられ、そのまま耐え切れずに光の粒子となって砕け散った。


「ふぅ……! 取り回しが劇的に変わってる……! 振り回した後の隙が以前の半分以下だ!」


弾き飛ばした一番最初の一体も、立ち直る前に間合いを詰め、上段からの叩きつけで確実に引導を渡す。コウタも槍の怒涛の連撃で引きつけた個体の首元を切り裂き、綺麗に仕留めていた。


だが、安堵したのも束の間。倒したシャドウウルフの倒れた衝撃音に呼び寄せられるように、周囲の樹々から次々と新たな気泡のような唸り声が響き始めた。


「チッ……連戦か! レイ、上だ!」


コウタの叫びと同時に、樹上から滑空するように這い出してきたのは、巨大な甲虫モンスター『アーマードビートル』が二匹、そして低空を高速飛行する『ヴェノムバット』が三匹。完全に包囲された形だ。


「コウタは上空のバットを叩いてくれ! 甲虫の装甲は俺がぶち破る!」


「了解!」


コウタは跳躍すると、樹の幹を蹴り渡りながら空中のヴェノムバットへ連続で槍を叩き込んでいく。


俺は目の前に着地したアーマードビートルへと視線を向けた。重厚な黒鉄色の外殻に覆われた、守備力特化のモンスターだ。奴は長大な角を槍のように突き出し、突進を仕掛けてくる。


(真っ向勝負なら望むところだ!)


逃げずに正面から踏み込み、直前に大剣を斜めに構えて角の突撃を受け流す(パリィ)。


ガキンッ――!!


強烈な金属音が響き、体勢を崩したアーマードビートルの無防備な背甲へ、俺は大剣を高く振り上げた。


「貫け……『過剰打撃』!!」


ズドォォンッ!!


自慢の重甲殻など存在しないかのように、大剣の衝撃波が内部へ浸透する。外殻にヒビが入り、アーマードビートルが激しくのたうち回る。


「さらに『重力脈同調』!」


俺のSTR値の上昇に比例して、大剣の刀身から漆黒の重力波が溢れ出す。追撃として繰り出された全力の振り下ろしは、地面ごとアーマードビートルの体を踏み潰し、一撃でそのHPゲージを削り切った。


「よし、あと一匹!」


もう一匹のアーマードビートルが逃げ出そうと後退するが、極限まで軸のブレを削った今の大剣の踏み込みは速い。一気に距離を詰め、側面に回り込んでダイナミックな横薙ぎを叩き込む。胴体を真っ二つにするような衝撃が走り、二匹目もポリゴン粒子となって弾け飛んだ。


「ふぅーっ! こっちも終わりだ!」


コウタも最後の一匹のヴェノムバットを撃ち落とし、軽やかに地上へ着地した。


【経験値を獲得しました】

【プレイヤーレベルが上がりました!】


「すごいなレイ、圧倒的じゃないか。以前なら大剣の重さに引きずられて連戦になると一瞬隙ができてただろ? 今はまったくスキが見えないぜ」


コウタが感心したように大剣を見つめる。


「ああ、打ち直した効果がハッキリ出てる。自分の思い描いた通りの軌道で刃が走ってくれるから、どれだけ囲まれても落ち着いて対処できる」


あの日、太陽石の群生地で味わった圧倒的な敗北。あの惨敗があったからこそ、俺は武器を鍛え直し、立ち回りを見直すことができた。


「順調だな。この調子でジャングルのさらに奥まで進んで、しっかりレベルとスキルを引き上げておくぞ」


「おう! 次の戦闘もガンガン暴れてやろうぜ!」


俺たちは不敵な笑みを交わすと、更なる戦いとレベルアップを求め、静まり返る樹海の深い闇の中へ再び足を進めた

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