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VRMMOで憧れてた鍛冶職を取ったけど思ってたんと違う....  作者: ヤミラミ


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レアモンスターとの遭遇

教えられた岩場に辿り着くと、そこには赤く怪しい光を放つ鉱石の結晶――『太陽石』が群生していた。


「うおーっ! こいつはすげぇ! こんなにまとまって採掘できるポイントがあるなんてな!」


俺は興奮を抑えきれず、インベントリから愛用のピッケルを取り出した。

太陽石は熱処理用の温度維持剤としてはもちろん、高熱炉の燃料や武器の耐熱補強材としても重宝する上級素材だ。鍛冶屋としては垂涎の的である。


「よし、コウタ! 警戒を頼む。俺は片っ端から削り取る!」


「はいはい、了解。職人モードに入ったレイは止められないからな」


コウタが頼もしい笑みを浮かべ、長槍を構えて手際よく見張りに就いてくれた。

俺は岩肌にへばりつく太陽石の巨大な結晶へ向かって、ピッケルを勢いよく振り下ろした。


カンッ! カンッ! カンッ!


鉱石を削り取る硬質で心地よい音が、ジャングルの岩場に響き渡る。

【素材:太陽石の結晶塊】を獲得。品質も文句なしの極上品だ。


夢中になってピッケルを振るうこと十数分。

持っていたインベントリの素材枠が順調に埋まっていく。だが、巨大な太陽石の根元を強く叩いた瞬間――。


ズズズ……ズシン……ッ!


「……ん?」


手元から地響きのような不気味な振動が足元へ伝わってきた。

ピッケルを止め、耳を澄ます。


「レイ、なんか地面揺れてないか……!?」


見張りをしていたコウタも異変に気づき、一瞬で鋭い表情になって警戒度を引き上げた。


太陽石が埋まっていた岩肌の亀裂がぐにゃりと歪み、周囲の温度が一気に跳ね上がる。まるで溶岩の熱気が直接吹き出してきたかのような猛烈な熱風。


次の瞬間、採掘していた岩場そのものが巨大な生き物のように暴れ出し、弾け飛んだ!


ドガァァァァンッ!!


「うわっ!?」


飛散する岩石と炎を回避しながら、俺とコウタは後ろへ大きく跳躍した。

煙が晴れた後に現れたのは、通常のモンスターとは一線を画す、禍々しい炎を全身に纏った巨大な存在だった。


頭上に浮遊する巨大なシステムウィンドウ。そこに刻まれた文字に、俺は思わず息をのんだ。


【変異種レアモンスター:マグマ・ゴーレム】

レベル:42

概要:高熱のマグマと太陽石が完全融合した変異種。極めて高い物理攻撃力と広範囲の熱波攻撃を持ち、発生確率が極めて低い極悪なレアモンスター。


「レベル42の変異種レアモン……!? マジかよ、完全にパーティ組まなきゃ無理なやつだぞ!!」


コウタすら顔を引きつらせて警戒の声を漏らす。

俺のレベルはまだ26。相手は遥かに格上の化け物だ。


「……くっ、採掘の衝撃で目覚めさせちまったか!」


『マグマ・ゴーレム』が巨大な岩石の腕を振り上げると、周囲の空間全体が激しい赤光で染まった。逃げようにも、ジャングルの狭い岩場では逃げ場がない。


「逃げ切れん! コウタ、受けて立つぞ! 一撃叩き込んで隙を作る!」


「正気かよ!? でもやるっきゃねえ!」


俺は背中から『深海鋼の重圧大剣』を一気に引き抜いた。

漆黒の刀身が重力脈の蒼光を激しく放つ。STR極振り+超極厚大剣の威力がどこまで通じるか――腹を括って構えた瞬間だった。


「グオォォォォンッ!!」


マグマ・ゴーレムの全身から爆発的な熱波が放出され、まるで巨大な隕石のような拳が視界全体を覆い尽くすスピードで迫ってきた。


(速い……!? 巨体のくせに動きが――!)


大剣を斜めに構え、全力でガード姿勢をとる。

直後、生半可な衝撃ではない『暴力そのもの』が俺の身体を叩き潰した。


ドッゴォォォォォンッッ!!!!!


「ガハッ……!?」


ガードしたはずの大剣ごと、俺の体は後方の岩壁へと弾丸のようなスピードで激突した。

視界が一瞬で真っ赤に染まり、HPゲージが暴落していく。あまりの威力に、大剣の固有能力である衝撃耐性すら貫通してきたのだ。


「レイっ! 一旦下がれ!」


コウタが電光石火の動きで踏み込み、鋭い一撃をゴーレムの側頭部へ叩き込んでタゲを引き剥がそうとする。だが、レベル42の変異種の圧倒的な装甲とHPの前には決定打にならず、返り討ちの爆風炎波が広場全体を飲み込んだ。


俺とコウタの視界全体が、眩い赤と白の光に包まれる。


【HPが 0 になりました】

【デスペナルティが発生します】


視界が暗転し、浮遊感とともに全身の感覚が消失していく。


(うわー……マジか……これが噂のデスペナか)


暗闇の中で、俺は呆れと苦笑が混ざった妙な脱力感を覚えていた。

VRMMOを始めてからというもの、STR極振りの力任せなプレイスタイルで一度も死んだことがなかった俺にとって、これが記念すべき『初デス』だった。


「……痛たたた」


次に目を開けた時、そこはきれいな海が広がる『港街』の中央広場だった。


死んだプレイヤーが復活するセーフティエリア。周囲を見渡すと、死亡直後の淡い光を纏ったコウタが、隣で地面に腰を抜かした状態で座り込んでいた。


「あ、レイ……復活したか……」


「おう……綺麗にやられたな」


俺が苦笑いしながら歩み寄ると、コウタも思わず大声をあげて笑い出した。


「いや笑い事じゃねえけど笑うわ! なんだよあの威力! ガードしたお前ごと岩にめり込んでただろ」


「いやあ、流石にレベル42のレアモンは格が違ったわ。ガードしてもHP一発で吹き飛ぶとは思わなかったぜ。俺、これがゲーム始めてから初のデスだわ」


「マジか、お前今まで無敗だったのかよ! 俺は前に序盤のダンジョンとかエリアボスとかで何回か死んでるから経験者だけどな。初デスの味はどうだ?」


コウタがニヤリとからかうように笑う。


自分のステータス画面を開いてデスペナの内容を確認する。

取得経験値の一部ロストと、全ステータスが一時的に10%低下するデバフ効果。効果時間はリアル時間で1時間というところか。


「案外呆気ないもんだな。まあ全ロストがなくて良かったよ。採掘した太陽石も大半はインベントリに残ってるし」


「だな。デバフ中はまともに戦えんし……どうする? 街でも散策するか?」


コウタの提案に、俺は背中の大剣を担ぎ直して頷いた。


「そうしよう。港街がどうなってるかも気になるしな。俺の初デス記念兼ねて、なんか美味いもんでも食いながらデバフが切れるのを待とうぜ!」


こうして、調子に乗って格上のレアモンスターに挑み、二人まとめて倒された俺たちは、デスペナのデバフを抱えながら、のんびりと港街の散策へと繰り出すのだった。

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