第四章 第二節 紹鷗の茶道具
息子:紹鷗は名物と言われる茶道具を60種も持っていたというのは本当なの?
母:『武野紹鷗 わびの創造』の矢野環著「紹鷗所持名物道具の全容」によれば、当時の茶会記等から、名物を30種以上は持っていたことは確実なようです。
息子:どんな道具があったの?
母:確実視される名物を表にすると、以下のようになります。
母:名物60種というのは、山上宗二が当時の資料をもとに、「紹鷗所持名物道具の全容」と同様の調査をして出てきた上述の茶道具を含む、61件の名物を指すようです。
息子:あれ?紹鷗棚がないようだけれど。
母:紹鷗袋棚は、鳥居引拙の考案した引拙棚を参考に作ったもので、名物ではありません。
あくまで推測ですが、棚や台子に名物が出てこないのは「道具を置くための場所」だからで、畳や床の間に名物がないのと同じ意味ではないかと思います。単なる勉強不足かもしれませんが、茶道古典全集12巻にある各名物集からは「棚物」を見出せませんでした。
『武野紹鷗 わびの創造』の小倉光夫著「戸田勝久の紹鷗研究」によれば、戸田即日庵には紹鷗の道具が50点以上あるのですが、その中に「棚物」はないようです。
息子:棚物に名物はないと。
母:もし、今まで誰も触れていないようなら、あなたが研究してみてはどうですか?
息子:「今はただ 思ひ絶えなむと ばかりを」
母:「人づてならで 言ふよしもがな」
わかりました。あなたは研究しなくていいですよ。




