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Ragnarok of braves ~こちらメリヴェール王立探偵事務所 another story~  作者: 恵良陸引


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戦略の見直し、そして敵の襲撃【scene14~15】

14


 朝日がメネアに差し込んできた。敵の夜襲に備えて、一晩中、かがり火を焚いて警戒に当たったが、結局、敵は現れなかった。トルバは城壁に腰かけて朝日を見つめながら、少し拍子抜けの気分だった。てっきり、襲撃に次ぐ襲撃で、眠れない夜を過ごすことになると覚悟していたからだ。もっとも、敵が現れない予感がしないでもなかった。トルバは夜中から夜明けまでの見張り当番になったが、ラリーに交代で起こされたとき、「敵が近づく気配はなかったぜ」と引継ぎの報告を受けていたからだ。

 メネアは雨の少ない土地だけあって、朝もやはなく、空気は透明感にあふれている。おかげで顔を出したばかりの朝日がまぶしくトルバの顔を照らしていた。

……朝日って、けっこうまぶしいものなんだな……。

 手で朝日をさえぎりながら、トルバは心の中でつぶやいた。乾いた気候の地域で暮らした経験がない。華やかな都会か、ダンジョンが眠る森の中が彼の生活圏だった。どちらの朝も、もやがかっていたり、しっとりした空気が朝日を柔らかく包んでくれたおかげで、朝日のまぶしさなど味わったことがない。世の中には自分の知らない現実はまだまだある。それがメネアでは朝日がまぶしいという、一般的にはくだらない事実であってもだ。

 がさり、とトルバの背後で地面を踏む音が聞こえた。振り返ると、ケインが眠そうな表情を隠そうともせずに近づいているところだった。

 「やぁ、ケイン。眠れたかい?」

 ケインは首を振った。

 「休めるときに休まなきゃいけないんだがな。やっぱり、この状況で落ち着いて眠れるものではないな」

 「まったくだね」

 トルバはうなずいた。彼も夜中までの休憩時間で、ゆっくり眠れたとは言えなかったからだ。

 「来なかったな」

 ケインはトルバと同じように城壁に腰を下ろすと、トルバに話しけるふうでもなくつぶやいた。

 「ケイン、見ろ」

トルバはメネアの正面を指さした。

 「敵はメネアが見える坂の陰から、まったく動いていない。よっぽど、あの一撃が効いたらしいな」

 城壁を破壊して破片を敵にぶつける作戦を実行したのが、昨日の午前7時頃。それからは、魔侯軍との戦いはあっけないほど規模の小さいものになった。仕掛け爆弾の威力と被害の大きさに、敵もメネアに近づき難くなっていたのだ。散発的に、何匹かの敵が近づいてきたが、それらは魔法使いと弓隊ですべて撃退した。夕暮れが迫るころには、まったく攻撃を受けることもなくなったのである。しかし、敵はメネアをあきらめたわけではなく、遠巻きに囲んで様子をうかがっているということはわかった。ところどころから顔をのぞかせているゴブリンやオークの姿が見えたからである。ただ、攻める手立てがまったく浮かばないようで、魔法や弓の射程内には決して近づこうとしない。メネアを巡る戦いは、早くも膠着状態の様相を見せていた。

 「現実的には、こちらの情勢のほうが厳しい。敵が自分たちの情勢を不利だと勝手に思い込んで、こっちに手を出さずにいてくれれば助かるがな」

 ケインは口ではそう言いながらも、まるで期待していないような表情だった。

 「参謀は、何か策を考えたのかな? 次は打って出るような……」

 「打って出る作戦はないだろう」

 ケインはすぐ否定した。

 「昨晩、遅くまで参謀と話したが、これという案は出なかった。……と、言うより、ひとつしかなかった」

 「ひとつ?」

 トルバは首をひねった。案はないと、たった今、ケインが言ったではないか。舌の根も乾かないうちの矛盾した発言に、トルバは戸惑いの表情を見せた。

 「……リオンの『聖光十字撃グランド・クロス』だ」

 ケインは敵が待ち構えているメネア正面の坂道を指さした。

 「リオンがあの位置から『聖光十字撃グランド・クロス』を放つ。当然、あいつの目の前まで大勢の敵を引きつけてからだがな。中央を突破したリオンが敵の司令官を探し出し、そいつを討ち取る。勇者の団はリオンの後から混乱に陥った敵の掃討戦を行なうってものだ」

 「妥当な策じゃないか。それに何か問題があるのか?」

 「お前がそれを言うのか!」

 ケインは怒りに満ちた目をトルバに向けた。

 「リオンの状態を不安視し、『聖光十字撃グランド・クロス』を危険だと口にしたのは、お前だぞ!」

 トルバは困ったような表情になった。ケインから視線をそらすと、「すまん。あのときは俺もどうかしていた。不安で仕方がなかったんだ。でも、考えてみろよ。リオンのあの技は戦術上の有利不利も超越しちまっている。戦況を一撃で覆しちまうんだぜ。作戦を組み立てるのに、一考に入れないなんて逆にありえないだろ」トルバは申し訳なさそうに言った。

 「たしかに『聖光十字撃グランド・クロス』は、俺たちの常識をはるかに上回っている。お前は『禁術魔法の剣技版』と表現したが、あの威力はたしかに禁術級だと思う。あれが、かつての魔王を滅ぼしたというのは嘘じゃないだろう。そう思わせるほどだよ。ただ、あの技はリオンには向いていない。あの技を使うたびに、あいつは傷ついている。あれは敵を殺すだけじゃない。あいつ自身の命も縮めるんだ。それがわかっていて、あの技が前提の作戦なんて実行できるかよ!」

 「じゃあ、どうするって言うんだ!」

 トルバも怒鳴り返した。ケインの胸とぶつかりそうな距離にまで迫って睨んでいる。

 「ケインも言ったじゃないか。敵を討つ作戦は、あれひとつしか出なかったと。このままじゃ、俺たちはこの草も生えない要塞で、ただ餓死するのを待つだけだぜ。敵を倒す方法があるのに、それを使わないで、3千の命を犠牲にするつもりか。しかも、その中にはリオンも含まれるんだぜ!」

 「朝っぱらから、ずいぶんと熱いねぇ」

 のんびりした声が聞こえ、ふたりは声のしたほうを向いた。ザバダックが近づいているところだった。

 「さ、参謀……」

 トルバは口ごもると、ケインから離れた。ケインはザバダックから視線を外した。

 「元気がいいのはいいことだ。『勇者の団』の中心人物がそうなら、なおさらだな。ただ、いがみ合いはあまり周りに見せないほうがいいな」

 ケインとトルバはきまりが悪そうにうつむいた。

 「副長に話しがあってな。これからの戦いについてだ」

 ザバダックは両手を腰に当てて言った。

 「俺に……、いや、私に話ですか?」ケインは顔を上げた。

 「しばらくリオンに休息を取らせつつ、敵を撃退、あるいは殲滅する策だ」

 「そ、それは、そんな策があるのですか?」

 ケインは勢い込んでザバダックに尋ねた。となりでトルバも目を見開いている。

 「そんな期待に満ちた目で見んでくれ」

 ザバダックは苦笑しながら両手を広げた。「実のところ、大した策じゃないんだ」

 「それで、その策とは?」

 ザバダックはいたずらを企んでいるように、茶目っ気たっぷりに片目をつむってみせた。


 「何もしないのさ」


15


 レトは城壁の端に腰を下ろして、双眼鏡をのぞき込んでいた。接近する敵を見張っているわけではないらしい。それは、実際に接近を試みる敵の姿を見つけても、レトは危険を知らせようとしなかったからだ。敵の接近は、別の見張りが見つけて対処していた。その見張りはレトの行動を咎めるふうでもなく、すぐに自分の持ち場へ戻った。

 ルッチはレトを探して、メネアの中を歩いていた。弓や魔法の使えない攻撃役アタッカーは巡回任務が与えられていた。しかし、大勢で歩き回っても仕方がないので、交代で回ることになった。それ以外は待機しているか休んでいる。ルッチはカイル班が休憩時間になったので、レトを昼食に誘おうと思っていた。すると、レトがある任務で班とは朝から別行動をしていると聞かされたのだ。なぜ、レトだけがと不思議に思いながら、ルッチはレトを探していたのである。

 「おい、レト。何を見てるんだ?」

 レトをようやく見つけて、ルッチが近づいた。レトは何も答えず、黙って双眼鏡をのぞき続けている。ルッチがすぐ背後にいるのにも気づいていないようだ。ルッチはレトが見ている方角に目を凝らしながら、レトの肩を軽く叩いた。

 「あ、ルッチさん。どうしました?」

 「どうしましたじゃないよ」

 ルッチは呆れたように言うと、レトの隣に座った。

 「何の監視なんだ? お前だけ別任務が言い渡されたそうだが」

 「監視じゃありません。観察です」

 レトは双眼鏡をのぞき直して答えた。

 「観察? 何の?」

 「もちろん、敵の、です」

 「敵を観察しているのか?」一瞬、納得しかけたが、ルッチは慌てて首を振った。「なぜ?」

 「一番の目的は敵の司令官が誰なのかを知ることです」

 レトは双眼鏡から目を離さずに答えた。

 「これは、もちろん、敵の大将を討ち取るために必要な情報だからです。ただ、敵の司令官がこちらの視界に入ってくるかどうかは怪しいものです。そこで、敵の動きを見て、誰がどこの方角へ報告に走るのか。あるいは、どこから次の行動の指示が出ているのかを探っているのです」

 「……それは、参謀からの指示か?」

 レトはうなずいた。

 「はい。参謀は敵首脳部を一点集中で撃破する策を考えているようです。そこで、こちらからは打って出る行動は取らず、ひたすら敵の出方を探ることにしたのです。僕はその作戦のために、敵の観察と分析を任されたのです」

 なるほどと、ルッチはザバダックの考えを理解した。参謀はレトが観察力と分析力が高いと見て、この役目を命じたのだ。たしかに、レトはこちらで気がつかなかったことにも気づくことがある。知りえた情報を分析して、そこから新たな事実に辿り着くこともある。おそらく、ザバダックに敵の撤退を待つ考えはない。最終的には打って出て敵を撃破するつもりだ。そのために、敵の「顔」を知っておく必要がある。そこで、敵を迎撃するだけの体勢で臨み、戦力の温存を図りながら、どこを狙えばいいのかレトに探らせているのだろう。

……相変わらず、喰えないオッサンだ。ランブル将軍の真似事をして、実際にはまるで別のことを企んでいるんだから。

 感心する一方、不安に思う点も生じた。

……こないだの火薬の一件で、ザバダックはレトを気に入ったらしい。弟子は取らない主義だが、助手は欲しがるかもしれない。それで、レトが引き抜かれるかもしれないが、そうならない場合、ザバダックとレトの接触する機会が増えるだろう。俺とザバダックが鉢合わせする危険が増える……。

 「どうかしましたか?」

 急に無言でうつむいているルッチが気になったらしい。ルッチが顔を上げると、レトが双眼鏡から顔を離して、こちらを見ていた。

 「ああ、いや。こっちのことさ」

……俺とザバダックが顔をよく合わせていたのは、俺が10代のときに家庭教師をしてくれていたころだ。あれから、俺は背が伸びたし、身体つきも変わっている。仮面で顔を隠し続けている限り、気づかれないかもしれない。まぁ、しょっちゅう顔を合わせるなんてことをしないほうが良いなのだろうがな。

 「任務の邪魔をして悪かった。昼食に誘うつもりだったが、代わりに何か持ってきてやるよ」

 ルッチは立ち上がるとレトに手を振った。立ち去ろうと振り返ったときに、ルッチはギョッと身体が硬直した。ふたりの元へ、ザバダックがまっすぐ近づいていたのだ。ザバダックの視界に、ルッチの姿は完全に捉えられていた。

 「やっべ……」ルッチは思わずつぶやいた。

 「おや、君は……?」

 ザバダックはルッチの仮面姿に興味を抱いたようで、ルッチの顔に自分の顔を近づけた。ルッチは上体をのばすようにして顔をそむけた。「な、なんでしょうか……?」

 「その方はルッチさんです。この間お話しした、城壁の問題点を僕に教えてくださった方です」

 レトの説明に、ザバダックはますます興味を抱いたようだ。「ほう、君があの第一城壁の問題点を指摘したのか。君も軍略家の素質がありそうだな」

 「い、いえ、俺は……、私は『戦争論』を読んだことがあるので、要塞防衛の基礎理論を少し知っていただけです……」

 「へええ、カール・クラウゼの『戦争論』を読んでいたのか。君は士官を目指していたのかね?」

 ザバダックの関心がずっとこちらに向けられている。ルッチは汗を流しながら答えた。

 「ま、まあ、そうだったのですが……。ご、ご覧のとおり、顔を魔物にめちゃくちゃにされましてね……。仮面で顔を隠さなければならないほどなりました。このケガが元で士官は諦めたんです……」

 これまで、ずっと繰り返してきた嘘だった。この話を聞くと、たいていの者はそれ以上のことを聞こうとはしない。しかし、ザバダックは様子が違った。

 「それはいかんな。顔に傷があるだけで士官が務まらんなど、そんな考えが士官学校にはびこっているなら正さねばならん。どこだね、その学校は? そんな学校、俺が叱りつけて君の復学を認めさせるよ」

 ルッチは慌てて両手を振った。

 「そ、そんな、参謀に、そんなお手間を取らせたくはありません。そ、それに、今は冒険者の生き方が性に合っているみたいで、士官なんて目指していません。学校に口利きいただかなくて大丈夫です!」

 「そうかね。まぁ、君が望んでいないのなら、俺がどうするという話でもないな。ところで、君は今、昼休み中かね?」

 「え、ええ。レトを昼食に誘おうと探していたのですが、まだ任務中だったので、何か弁当を持って来てやると話していたところです」

 「おお、そうだった。俺も配慮が足りなかった。レト君。朝から何も食べていないだろうに、すまなかったね」

 ザバダックはレトに向かって詫びた。

 「いえ、お気になさらないでください。それに、ルッチさんが昼食を持ってきてくれると言ってくれたので」

 ザバダックは再びルッチに顔を向けた。

 「気を利かせてくれて感謝する。君の手をわずらわせて申し訳ないが、よろしく頼む」

 「任せてください、参謀」

 ルッチはそう言うと、レトたちに背を向けて、司令部に向かって歩き始めた。食糧の配給は司令部で行われているからだ。

 ルッチは焦る気持ちを押し殺しながら、足早に立ち去った。自分の早歩きが不自然に見えないか気になったが、振り返ってザバダックの反応を見ることはできなかった。それこそ行動を不審がられて、自分の身元を探られかねない。

 立ち去るルッチの背中を見送りながら、ザバダックはレトに話しかけた。

 「いい男じゃないか。君は仲間に恵まれているようだね」

 レトは力強くうなずいた。

 「ええ。僕は本当に恵まれています」

 「ところで……」

 ザバダックはレトに顔を向けた。口調もこれまでの穏やかさが消えている。

 「つかめそうかね、敵のことは?」

 レトはメネアに通じる坂道へ目を向けた。そこには何体かのゴブリンやオークたちが、武器を手に身構えていた。矢や魔法が届かない距離で、彼らはそこからこちらへ近づこうとする気配がない。

 「まだ、難しいですね。どうも、敵側は具体的な指示を出していないようなのです」

 「指示を出していない?」

 「これまでも接近を試みる敵はいますが、その動きは連携も取れていないバラバラなもので、おかげで簡単に撃退できます。これまでメネアに近づいたのは、独断で行動していたようなのです」

 ザバダックは自分のあごに手をかけた。

 「魔族は我が強いからな。統制の取れた軍事行動が苦手なのはわかっているが、魔侯が率いる軍だぞ。こうもバラバラに動くものなのかね?」

 レトは何かを言いかけるように口を開いた。しかし、その口はすぐに閉じられた。

 「どうしたかね? 何か意見があるなら聞こう」

 ザバダックに促されても、レトは言いづらそうだった。しかし、ようやく重苦しい口調で答えた。

 「実は、これは想像に過ぎない話で、根拠はないのですが……」

 ザバダックは無言で続きを促す。レトは話を続けた。

 「メネアを囲んでいる敵に具体的な指示が出されないままなのは、敵の指令がここにいないからではないかと思ったのです」

 「司令官が不在?」

 レトはうなずいた。

 「これは、本当に想像でしかないのですが、敵の攻撃目標、つまり本命はメネアではなかったのではないでしょうか?」

 ザバダックは目を見開いた。『名もなき陵墓』の件は、勇者の団の幹部だけが知る話であり、一団員にすぎないレトは知らないことだった。だが、レトは午前中、敵の動きを観察しただけで、その可能性に気がついたのだ。そして、それは『名もなき陵墓』を守るスライスと10番隊に危険が迫っている可能性も告げていた。

……俺は、いや、俺たちはとんでもない勘違いをしていたのではないか。敵の目的があの遺跡にあるのではと聞いていたが、それでも、本命はこのギデオンフェルの侵略にあると思い込んでいた。だから、『名もなき陵墓』を攻撃するのは、このメネアを占領してからだと考えてしまった。10番隊を『名もなき陵墓』に送ったのは、あくまで用心のためだ。そのせいで、あそこには今、百名程度しか戦力がいない。そこに、敵の司令官を含めた本隊が押し寄せているのであれば、スライス君や10番隊はひとたまりもない。

 ザバダックはこめかみに汗が伝い落ちるのを感じた。たしかに、レトの話には根拠がない。しかし、それを簡単に想像だと否定できないものがあった。メネアを囲む敵の不自然な行動の理由として、レトの想像はあまりに真実味があったのだ。

 「参謀、どうかされたのですか?」

 レトはザバダックの緊張に満ちた表情に、不安をのぞかせた。自分の発言がザバダックの顔をここまで蒼ざめてしまうとは、レトも想像できなかったのだ。

……敵がメネアを攻撃したのは、俺たちをここに釘づけにしておいて、『名もなき陵墓』の攻略に悠々と取り掛かるためなのか? だとすれば、かなりまずい。あそこは昨日から今日の昼まで、ずっと孤立無援だ。敵がメネアだけでなく、遺跡に進軍していたのなら、昨日中には着いているはずだし、戦闘も行なわれているはずだ。クソっ! 教授の意見をないがしろにするつもりはなかったが、それでも俺たちの認識が甘かった。たった百人で守らせるべきでなかったんだ!

 このままここに留まっていられないほどの焦燥感に、ザバダックの顔から大量の汗が流れだしている。

 「レト君。君には話していなかったが……」

 ザバダックはレトに説明しようと口を開いたそのときだった。

 どおんという音とともに、わずかだが地面が揺れたような感触があった。

 「何だ、いったい!」

 ザバダックは振り返ると大声をあげた。

 「司令部の裏です! メネア山から何かが落ちたようです!」

 レトも大声をあげた。

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