6.道中の合流
大江山を飛び出してから1日が経った。須洛の足でもまだ九州に入るまで距離があった。
休まずにいけば3日で里には行けるだろう。
そう踏んで須洛は近くの川で水を呑み髪を洗った。
すると上から風が送り込まれてきた。須洛は覚えのある風に頭上の方へ視線を向けた。空から白髪の老人が降りてきた。
「犀輪………」
須洛の知己でもある天狗であった。普段は白髪の山登りを好む薬師の爺であるが、力を振るうときは若い青年の姿をもとる。
「須洛、ずいぶん手ひどくやられたようだな」
老人は落ち着いた声で須洛の現状を把握しているように言った。
「ああ、見ていたのか?」
そういうと犀輪は首を横に振った。
「先までは陸奥の方にいたんだが、空閑御より便りがあってな飛んできたのだよ」
山から情報を便りに須洛の今のいる位置を確認してここまでやってきたという。
「そうか………。千紘は」
「すでに土蜘蛛の岩里に入ったようだ。まだ1日しかたっていないが奴ら霊場を使用し瞬時に遠方へ使用する呪術を使用したようだ」
「それはどこにある?」
ならそれを利用して今すぐ土蜘蛛の岩里に入ってやろう。そう須洛が息巻くが無駄だと一蹴された。
「今は使用できない。つい先ほど確認したが、しばらくは使用できない。土蜘蛛の一族が規定した条件を満たさなければ………その中には月の満ち欠けも含まれている」
それを聞き須洛はため息をついた。同じ月まで待つ余裕などない。それであれば休まず走りとおした方がずっとましである。
「しかし、無茶をする。その身ひとつで土蜘蛛の一族の乗り込むつもりか」
「そうだ」
他の一族もひきつれた方がいいのだろうが、彼らに合わせて移動する時間すらも惜しかった。それを聞き犀輪は呆れたように呟いた。
「全く無茶なことを……死ににいくようなものだ」
一族を束ねる棟梁としては短慮な行いであると犀輪は諫めた。
「昔と全く変わらんな。鬼の始祖の神に盾ついただけはある」
「悪かったな」
お説教なら後で聞いてやる。そういい須洛は先へ進もうとした。
「いや、だからお前の味方をついしたくなる」
そういい犀輪は笑った。
「儂も行こう」
その言葉に須洛は少し驚いた。
「お前も酔狂だな。土蜘蛛の一族に相対するのは天狗としても嫌だろう」
確かになと犀輪は笑った。土蜘蛛は厄介な物の怪であり天狗の犀輪でも苦労することだろう。彼の同胞の天狗たちも土蜘蛛が時分の領域を荒らされてもその総本山に乗り込まなかった程だ。
「そなた一人行かせるのは不安だと空閑御に頼まれているからな」
「空閑御に」
「儂は美しい女子の頼み事には弱くてな」
「ああ」
須洛は犀輪の性格を思い出した。そういえば、椿鬼の騒動の際千紘を置いて行こうとしたら犀輪は千紘を連れて先に里へと連れて行ってしまった。
「主に何かあれば三の姫も悲しむ」
それを聞き須洛は苦笑いした。




