第十二話 森の外へ
ついに魔法陣の光が途切れ途切れとなり、消えた。
ネルとパティは魔法陣が消えた途端勢いよく扉から飛び出すと、家の外まで駆け抜けた。
早朝ということもあり、ユキと小人はまだ寝ていたのだろう。チャンスだ。
魔物は森の外には出られない。
このまま走って森を抜ける。
足が短いパティが草の根に何度か足を取られそうになったが、ネルに手を引いてもらいなんとか走り続ける。
「パティさん……後もう少しだから」
ネルも熱があるはずなのに、鍛えているからかパティを気遣いながら走り続けた。
森を抜けるまで後もう少しのところで、大きな鳥が2人の目の前に現れた。魔物の姿のユキである。
「あなた達、後もう少しだったのに残念だったわね。自分がかけた魔法陣が消えたらわかるようになってるのよ」
ユキはもう人間の姿ではなく、白い鳥のような姿だった。白い羽は綺麗だが、嘴は鋭く尖っており目は林檎のように赤い。
「さぁ、ネルくんお家に帰りましょう。ネズミ。あんたは邪魔だから特別にここでズタズタに引き裂いてあげる」
そう言うと魔物は、鋭い爪をパティめがけて振り下ろしてきた。
このスピード、逃げられない。
そう思ってパティは痛みに備えたが、何故か聞こえたのは魔物の悲鳴だった。
ギャァアアアアアア
恐る恐るパティが目を開けると、ネルが魔物の腹に短剣を突き刺していた。
「……魔法がうまく使えないから、剣術を磨いてたんだ。誰から狙われるかわからないからね」
「くそがぁ……。ネルとて許さぬ」
魔物はすかさずネルの首目掛けて爪を下ろしたが、ネルが間一髪避けて左腕に当たった。
「ぐっ……」
致命傷は避けたものの、ネルの腕からは大量の血が出ている。傷は浅くないようだった。
「ネルっ……ごめん……死なないで」
「これくらいの傷では死なないよ。でも困ったな。もう武器がこれくらいしか無い」
ネルの手には魔法の杖が握られていた。
今度こそ2人とも命運尽きたと思ったその時、どこからともなく火の玉が飛んできて魔物に直撃した。
「君たち早く森の外へ」
「……レインさん!!」
なんとレインが助けに来てくれたようだ。
四年生なだけあって攻撃魔法も使える。
パティはネルの傷を見て、その場をレインに任せることにした。
「……痛い……熱い……キサマら許さぬ。夜だったら絶望させてやれたのに」
魔物が恨み言を言いながら飛び去っていくのを感じる。
小さい背中にネルを担ぎながら、とにかくパティは医務室へと走った。




