第十三話 魔法の解き方
医務室につくと、大婆様がすぐにネルの手当てをしてくれた。
数日医務室のベッドで安静にとのことだったけど、大事はないと言ってもらえパティは安心した。
ただ、勝手に森に入ったパティとネルは医務室でしこたま怒られた。
どうやら森に入る時は申請が必要かつ一年生のみの立ち入りは禁止との決まりがあるとのことだった。
ちなみにレインはしらばっくれてどこかに行ってしまった。
「なんにしぇよ無事でなによりじゃった。しょれに目当ての薬草も見つけたみたいじゃないか」
「えっ?薬草ですか?」
「ネルくんからわたしゃれたんじゃ。煎じておいたからそのお茶を飲みなしゃい」
パティは思わず寝ているネルの方を見た。
ネルは腕の手当てがされ眠っている。
熱も出ていたからすぐには起きないだろう。
起きたらお礼を言わなければいけない。
パティは出された薬草茶を恐る恐る飲んだ。
正直言って変な香りだし苦いし不味いけれど、嬉しさが勝って全然苦ではなかった。
いつの間にネルは薬草を手に入れていたのだろうか。
もしかして魔法陣が解けた時だろうか。そうだとしたら抜け目なさすぎる。
それに剣術の腕も磨いていたようだし、パティは魔法が下手でもさっとしていたネルの印象とにつかわない彼の中身に頭がぐるぐるした。
「……飲んだら前にしぇつめいしたとほり、12時間以内に真の愛を妖精達に示すのじゃぞ。しょうじゃないと人間には戻れないからのぅ」
「……え?真の愛」
パティは大婆様の言葉に焦った。
真の愛とは一体どういうことだろうか。薬草を飲んだら人間に戻れるわけではないのか。
「おすしやっぱりあの時聞いておらんかったな。でもすいとるものがおるのじゃろう?キスでもしてもらえばええんじゃないか」
「キっキス!?」
薬草を飲んだだけでは治らず、キスまで必要だなんて非現実的な治療法にパティは絶望し嫌な汗が流れた。
キスなんて生まれてこの方親以外に一回もしたことがない。
もちろんダイアン以外に好きな人なんていなかったのだから、彼氏だって他に作ったことがなかったのだ。
そういえば大婆様の話を聞いている時にちょっと上の空になっていたことがあったが、こんな重要な説明をしていたとは思わなかった。
ネルのやれるの?っていうのもこのことだったのだろう。
やれなかったら一生ネズミのままなのだろうか。
「わからんがのう。多分キスで治るとほもうのじゃ。いろんな文献でもだいたいキスで治る話が多いしのう」
「……それって両想いじゃないとダメでしょうか」
「いやわからんのう。妖精が満足すればなんでもええとは思うがのう。しょれこしょキスじゃなくても」
大婆様は何を思い出したのかわからないがにまにましながらパティを見つめた。




