第十一話 不思議な声
2人が眠りについて数時間が経過した頃、パティは不思議な声で目を覚ました。
『お嬢さん。寝てる場合じゃありませんよ。もうすぐ夜明けですよ』
「!!……誰っ!?」
『あーそっちじゃない!こっち!こっちですよ』
パティが地下室を見渡しても誰もいない。
尻尾をちょんちょんされたのでそちらの方を見てみると、1匹のネズミがいた。
「わぁっ!!ネっネズミ!!」
『そうですよ!ネズミですよ』
「ネ……ネズミが喋った!!」
隣でモゾモゾしていたパティに気がついて、ネルも目を覚ます。
「……パティさんおはよう」
「ネ!!ネル!!ネズミが喋った」
「……ネズミ?」
『お嬢さん。そのお兄さんには私の言葉は通じませんぜ。なんせ私はネズミですから』
「ええっ!?」
ということはネズミが人の言葉を話しているわけではなく、パティがネズミのことを理解しているということだろうか。
「……私、本当にネズミになっちゃったのね」
『まぁそんなに落ち込みなさんなって!それよりお嬢さん!私、2人をここから外に出してあげられますぜ』
ネズミのまたとない申し出にパティは驚いた。
パティは手の上にネズミを招き入れる。
「パティさん……もしかしてそのネズミの言ってることがわかるの?」
「うん。私ネズミになったからネズミの言葉がわかるようになったみたい」
『お嬢さんが昨日ドアの下を掘ってくれたでしょう?それで、私が出入りできるようになったんです。私が外の魔法陣を消してきますから、その隙に逃げてください』
「ええ!!いいの!?嬉しいけどどうして助けてくれるの?」
パティはユキに騙されたこともあり、ネズミも魔物の手先なのではないかと信じられなかった。
もしこれが罠だったら、ネルを危険に晒してしまう。
『うちの嫁があの魔物に食べられてしまったんです。だから……』
「パティさんもしかしてこのネズミ、さっき僕を助けてくれたネズミかもしれない。魔物に洗脳されて危ないところだったんだ」
さっきはありがとうとネルはネズミにお礼を言った。
『ちょっとあの魔物に痛い目を見せてやりたいと思っただけですよ』
気がついたらパティの目に涙が溜まっていた。
ほらお嬢ちゃんそんなことで泣かないでなんてネズミに言われる。
パティとネルはこのネズミを信用することにし、脱出の手助けをお願いすることにした。
ネルはガウンでは動きずらいため、少し丈が小さいがパティの服に着替える。
そして短剣も奪われてしまっているため、靴に仕込んでいたナイフを取り出した。
「ネル、そんなところに武器を入れてたのね」
「何かあった時用にね」
普通の男の子は何かあった時用に皆靴に武器を仕込んでいるのだろうか。人間に戻ったら自分の靴にも武器を仕込んでおこうと思うパティだった。
パティが身体強化の魔法をかけて、2人の逃げ足を早くする。一年生の夏までに習う魔法で脱出に使えるのはこれくらいだった。
「後は夜明けと同時にネズミが魔法陣を消してくれるから、魔法陣が消えたらすぐに扉から出て上に上がって、家から出て森を抜けよう」
いつも読んでくださっている皆様の存在がはげみです。頑張ります。




