勇者一行③
冷たい目を向けられ、私は思いだす。
私は知っていた。
悪霊退治をするような者が世間にどう見られるのか。
ユウリが突き飛ばされたのは、それが形になっただけ。
怪しい神に祈る怪しい男。
私は悪霊退治の為、祈りのこもった豪奢な衣服を着ている。
目の見えない弟子に働かせ奢侈にふける男。
知らない者からはそう見られる。
田舎に長く住む村長は悪霊退治の過酷さをある程度知り、ユウリに殴りかかった男はあまり知らず。
街で育った勇者達は知る由もない。
雰囲気を敏感に感じ取ったユウリは私の元に寄ろうとするが、治療をしてくれた女魔法使い肩を抱えられている。
その女も私を睨み付けていた。
もう一人の男は剣に手をかけているがそれは流石に勇者が止めた。
「村長、この悪霊退治の報酬は幾らでしたか」
勇者はそう村長に訪ねる。
今回の依頼の報酬はもらえない。
そういう話になり、受け入れなければ罪人とされるのだろう事はもう予想出来ている。
「3・・・、300万でございます。」
村長は一瞬我々を庇おうとし口ごもった。
けれど、勇者の前で嘘はつけない。
勇者たち3人に動揺が走るのがわかる。
少なくとも勇者と魔法使いは高い身分の出だろうが、庶民にとって300万が大金と知っているし、もう一人の男は私を悪を見る目で睨みつける。
「そういう阿漕な商売をしているからこんな目にあうんだ。これに懲りたなら真っ当に生きるんだ。」
真っ当になど、生きられるわけがない。
この勇者のいう真っ当等、存在しない。
弟子は張り倒され怪我を負っても文句もいえない、
私は私と私の弟子のささやかな人生を手折られても、言い返すことは出来ない。
私は項垂れる。
「申し訳ありませんでした。」
私は頭を下げたままそう答えた。
そう答えるしか出来ない。
「悪霊は僕が倒したんだから、報酬は僕が貰うよ。
それと、村長、僕達はちょうど宿を探していてね。この300万で泊めてもらえないかな」
悪は裁かれ金は被害者の元にそのままかえる。
勇者は頭を下げる私を見もせずにそう答えた。




