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悪霊退治に300万!!?勇者なら一太刀で終わります。   作者: sisousi.kenta


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除霊②

聖水の質が落ちれば、悪霊は再び勢いを取り戻す。

木々は揺れそれは静寂を破る。

葉は落ち、居ない鳥がカーカーと鳴く。


ピシン、パシン、何かが顔に当たるが目には見えない。幽かな何か。



枝が落ちれば避けねばならない。

弟子は耳がよい。耳の良さは察知する力である。


しかし目の悪さは行動の正しさを補わない。

動かぬものは音を発せず、動かぬものでも、我々の動きは阻害する。


ピシリ、ピシリ、顔に当たる何かは空気のダマ。

空気だから見てもせず皮膚を破るには至らないが、かすかな痛みを錯覚させる。


だから私は再び祈る


「元に元に、前に前に、山に山に、河に河に、わにわに。」


土着の神はカラカラサラサラ という名と伝わる。

本当の名ではなく人が神をそばに感じる時に聞いた音。

つまり名も無き神

この神社にまつられる大層な名を持つ神とは違う。


悪霊退治とは、世界の理を説き、悪霊を霊に戻す儀式。取り憑かれた人もまたそれに触れる。


我々の理の正しさを信じさせる為に神の名を借りる。


正しさを信じさせる威厳、その為の名も無き神になぜ悪霊を祓えるのか。


分からないが想像は出来る。

”ワカラナイカラソウゾウガワク”


オソロシイ オソロシイ。

私は我々の神がオソロシイ。

弟子も震えている。力を借りるために必死で耐えている。


力を借りるたびに、借りてはいけないものに借りてはいけない力を借りたのではないかとオソロシイ。


説得ではなく悪霊を脅している。

自分の力ではなく神の威厳により。


悪霊退治を生業とする者は長くはいきられない。

悪霊に殺されるものもあるが、そうでなくとも50まで生きる者は少ない。


皆徐々に体から力がぬけ、記憶を失う。

体が弱りだすとそういう病に陥る。

弱り始めれば5年と保たない。


先代は私の弟子ほどではないが目が悪く、そのまた先代は私以上に足が悪かった。


生きる道のないものは命を減らし悪霊退治を生業とする。


弟子は逃がしたい。

自分の弟子だけは逃がしたい。


ずっとその願いが叶わぬまま、今の私と弟子がいる。


私もなんとかこの弟子だけは逃がしたい。

けれどきっと彼女も私が死ぬ前に足が悪い弟子を取る。そうしなければ目ね悪い彼女は一人ではいきられぬ。

だから私は彼女の為に弟子を取り、私の死後は彼女が新たな師となるのだ。


「元に元に、前に前に、山に山に、河に河に、わにわに。」

弟子は唱える。

悪霊を牽制するために。


「元に元に、前に前に、山に山に、河に河に、わにわに。」

私は唱える、静寂の祈りを込めた新たな聖水を作るため。






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