王の願い④
蓮様が亡くなられた事で本家には跡取りがいなくなる。
蓮様がいた頃でさえ、小夜様を除霊師の弟子にしたことはしこりになっていた。
居場所がなくとも小夜様を養える裕福さはあったのだ。
居場所を作ってやりたり親心と守り続けてやりたい親心。
蓮様が死に、なぜ小夜を手放したのかと今更に嘆いた。そういう事だと私は思っている。
馬鹿らしい。
足の悪い小夜様には居場所がない、家族でもなければ邪険にされるに決まっている。
血縁者で子の世代は私と小夜様だけ、私がもし養子に取られたとしても、きっと小夜様を邪険にしただろう。
小夜様は除霊師になるしかなかったのだ。
・・・そう思っていた。
”師匠は当時、勇者を目指していた。”
除霊師の外弟子としての稽古はそのためのもの。
小夜様の足の悪さを補う体力があり、誰がどう見ても小夜様に惚れている。
また、小夜様も。
私は小夜様と話した事など10度もないだろう。
「彼はいつも優しくしてくれるの」
暗く、姿をあまりお見せにならなかった小夜様かそうサラサラと笑われ、私の師匠の話をされる。
小夜様と師匠2人が夫婦となれば解決するかもしれない。
師匠は勇者の道は諦める事になるが大店をつげる。
2人が後一年でも早く出会っていればあるいは・・・。
夏の事だった。
涼しい夏の。
小夜様は師匠に手を引かれ帰る。
分家といえど別れてあまりたたない、私の一家も顔を出している。
小夜様の父は既に悪霊に憑かれていた。
私がいたからだ。
足の悪くない子。
小夜様より幾分も心配は少ない。
その嫉妬。
私は過去を思い出しながら王の答えをまつ。
けれど王であるならば答えは決まっている。
役割に徹する。
別の魂を持つ何かを子にし王に指名する事になろうとも。
きっと死霊術師は歴史から消え去るだろう。
今回の蘇生をきっかけに存在しなかった事にされる。
「頼む」
王はそう言って頭を下げた。
勇者とはなんなのだろう。
私は死霊術師になり蘇生術を習得しようとも師匠を蘇えらせようなど思いもしない。




