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異世界×論理魔法 オートマティック・リドライブ〜神ロリAI様と同期して理不尽な現実を書き換えます〜  作者: 上城晄輝
第一章『雷槍の誓い』

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第16話:動き出す準備、動かない心(中編)

「あんた、もう出るの決めたわけ?」


焔理の視線が俺を射抜く。


「えーと……」

「いいけど、別に。でないなら、わたしの不戦勝だし。その程度ってことで」


それだけいうと彼女は視線を鈴音に向けた。


「……ねえ、鈴音。今年、チーム組まない? 一緒に出たい」


その表情は一見無表情に見えるけれど、俺にはわかった。

あれは“期待”だった。

選ばれたいという、ちっぽけで、でも切実な――感情の残り火。


鈴音は一瞬だけ目を見開いて、それから――ほんの少し困ったような笑顔を浮かべた。


「……ごめん、もうゆーゆーたちと出ることにしちゃってて」


焔理の瞳が揺れた。


「な、なんで」


声がわずかに震えてた。


「なんでこんなやつと!!」

「そんなのボクの自由じゃん! こないだ話かけたのに無視したのそっちでしょ!」

「……っ!」


言葉につまった焔理は、キッと俺の方を振り向いた


「お前、絶対にやっつけてやるからな!」


目尻に涙を浮かべて言い捨てると、足早に立ち去って行った。


俺がなにをしたというのだ!


こうして逃げ道を封じられた俺は、学内対抗へ出場することとなるのだった。




昼休み。

いつものように俺と楓は中庭の片隅で昼食を取っていた。

今日も楓の弁当は、弁当の範疇を明らかに逸脱している。

味も見た目も完璧すぎて、ありがたい限りだ。


「……うまい」

「ありがとうございます。業務の一環として、主の栄養状態と精神安定に努めておりますので」


楓はこれまたいつもと同じにように、無表情で“お仕事です”と答えを返す。

そうだとしてもありがたい限りである。


「やっほー、デート中ですか?」


明るい声とともに、希望がトレーを持って現れた。


「……お前、最近よく来るよな」

「先輩のボッチ飯の救済でーす」

「ボッチじゃないし!」


楓と食べてるじゃん!

仕事なんだろうけど……。

うう……。

切なくなってきたのでたまには反撃でることにした。


「そんなこと言って、実はお前こそ陽キャに見えて友達いないんじゃないの?」


希望は空いていたベンチの端に腰を下ろし、トレーのスープを啜ったあと、俺の顔を見据えた。


「ほほう、いいますね。でもわたしに友達がいない=先輩がボッチでない、は成り立たちませんよ?」


「くっ」


さすが論理の国の姫。

簡単に論破できない。

俺は切り札を切ることにした。


「俺、今度の対抗戦出るんだぞ。チーム戦だけど出場するんだ、まいったか!」


楓が一瞬ジトッとした目で俺を見る。

さっきまであんなに嫌がってたのになんだ、といいたいのだろう。

しかし口に出さないあたり、さすが忠義に厚いメイド騎士である。


「へぇ~。どうせ楓と渚さんと鈴音さんでしょ。クラスの男子とかとならともかく、ですよ」


くっくっくと愉快そうに笑う希望。

あっさりと見抜かれてる……。


「そういうお前はどうなんだよ。対抗戦に出られるのか?」


希望は1年である。普通に考えて試合形式のチーム戦に出るのはハードルが高いだろう。

付き合いのありそうな上級生の女子は俺が押さえている。

正確にいうと俺が押さえられてるわけだが、因果はともかく状況は同じである。

勝ったな。


「もちろん出ますよ」

「え、そうなの? だれと」


まさかこいつ……。


「クラスメートと」


と、友達がいた!!

希望は俺の内心を見透かしたように俺の顔を見てにっこり微笑んだ。


「そりゃあまあ正直1年生だけのチームって不利は否めないですけど、みんなやる気ですし、ここは同級生たちと一緒にがんばってみようかなって」

「そうか……」


この言い方。クラスメート以外でもいくらでもチーム組める相手がいるということだな……。


「じゃあ敵同士だな!」


悲しみを紛らわすために強気の言葉を投げかけると、希望は真顔になって俺を見た。


「先輩チームと当たるのは……ちょっと、嫌かも」

「そーなん?」


今の俺は希望にわからせてやる気満々なんだけど。

合宿のリベンジだ。

……勝っても俺の実力といえないかもしれないけど。


「よく知ってる人ばっかだし。勝ちたいけど、負けてもいいって思っちゃいそうでさ。それって、失礼だから」


希望が言葉を止めて、そっと笑った。


「だから、先輩には“本気のわたし”を見せます。――本気で勝ちに行きますから」


その目には、普段のようなふざけた色はなかった。

たまに姿を見せる、希望が“王族”足る所以――

俺も、今度ばかりは真剣に返事をした。


「……こっちだって手加減なんかしないからな。俺の先輩っぷりを見せてやるぜ」

「ふふ、望むところです」


そんな宣戦布告のような笑みを残して、希望は昼食を終えると、軽やかに立ち去っていった。


――普段はむちゃくちゃだけど、ああいうところは初めて会った時の印象そのままだ。


心のどこかが、少しだけ熱を帯びた気がした。





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