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六話 悪巧み

短めです

 迷宮は森の中にあり、町の冒険者の多くは森か迷宮を狩場にしている。

 自然と森の踏み固められた道は冒険者がよく通る分道も広い。

 だが、逆に言えば道の無い場所は他の冒険者すら寄り付かない未開の場所だ。

 そんな未開域に二人の冒険者が腰を下ろす。

 少女は近くの小川で両手に付いた血を洗い流し、男はひ弱そうな少女を見守るでもなくその手に持つ槍を手入れする。


「そんなに疲弊したか? いつもの憎まれ口が無いと随分と静かだな」

「多少無茶はしたけど、それくらいならまだまだマシね」

「そりゃお疲れさん」

「誰かさんがもう少し魔法に精通していれば、ここまで疲れることはなかったのにね」

「そんなちっこい体じゃ魔法に頼るしかないもんな、ご愁傷さま」


 醜い言い合いに一旦少女がため息を零し、その言い合いを終わらせる。


「でも実際問題、賢者の石は何とかしないとよ」

「場所が原因か、そもそも能力か」

「後者として考えた方がいいとは思うけど」

「正直、情報としては十分だろうから切り上げるのも悪くないと思うぜ?」


 男の提案に少女は若干目を細める。


「意外ね、その提案をするなんて」

「俺は元々慎重派だ」


 その自称に胡乱な目を向けつつ、少女は暫く考え込む。

 そして、何かを決心したように頷いた。


「いや、私はもう一度仕掛けようと思うわ」

「……当然、策はあるんだろうな?」

「ええ――」


 少女はゆっくりと頷き、そして話し始めた。

 次の作戦の全容を――



 それを聞いた赤髪の男の表情は曇っていた。


「外道の考えだな」

「そう、なんとでも言いなさい」


 男の睨むような視線すら少女は意にも介さず、鼻を鳴らす。


「それでどうするの? やるか、やらないか」

「……少し、考えさせてくれ。どうせ準備もいる。それを整えてからでも別にいいだろ?」

「そう、なら精々考えなさい」


 そう言い、少女は血の付いた外套を脱ぎ捨てる。

 黄金色の瞳に背中まで伸びる金髪は陽光に輝く。

 その瞳が映すのは好奇心ではなく、黒い覚悟。


「私たちがやるのは、必要悪なんだからね」


 その言葉に男は瞑目する。

 ただ、深い溜息と共にその体を草原に横たえた。


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