タイトル未定2026/06/10 00:48
「やはり、我が君——なのですか…」
地べたに這いつくばりながらそう言った。
「——————」
「まさか、また———。夢がこんなすぐ叶うなんて。
———本当に、我が——君、なのですか」
「——————」
「何か、言って下さい。覚えておりませんか。大江秀頼です」
「大江———」
「!そうです。大江です」
「そなた、儂の———」
「そうです!そうですとも!」
「——————そうか。お主が我がマスター」
「マス——?」
「———戦が始まる。お主は死なないことに徹しろ。手段は選ばなくて良い」
「は、はい!」
「よし。では、儂は一人で動く。お主は何もしなくていい」
「え」
朝が目を覚まそうとしていた。人がちらほらと活動を始めた。
「おいお前。誰の許可を得て儂の前を横切った」
「ん?あぁ、すみません。ここがいつもの散歩ルートで」
「そうか。来世では気をつけろ」
「!お待ちを、信長公。どうか!ご再考を!」
「何故だ」
「確かに、信長公に仇なす者は万死に値すると存じております。が、この老婆と犬は、日々の生活に基づいて行動してしまったに過ぎないかと。次からは同じ過ちをしないよう私から厳しく忠告しておきますのでどうか、ご再考を」
「長い」
空間に丸い光のゲートが出現。老婆の上半身を焼き切った。
「なっ、お止め下さい。我が君。どうか、どうか」
やはり、何かが違う。何かは、わからない。しかし、魂から違う。確かに信長公は冷酷だった。だが、殺意に満ちているわけではなかった———。この、殺意というか、雰囲気のようなものが何か違う。
信長が犬に向かって歩みを進める。
「お主、美しき顔をしておるな」
犬を両手で持ち上げた。
犬は吠える。
「ほう。儂に向かって吠えるか。わっはっは。逞しい犬っころよ」
ドッと、鈍い音が響いた。何が起きたか、わからなかった。ずっと土下座をしていた。ぐしゃぐしゃと、何度も何度も、信長公の笑い声と共に何かが潰れる音が聞こえた。何も、見えない。見れない。見たくない。
—————————赤い何かが、タラタラと、下を向いている私の視界に、溢れてきた。私の膝にそれが付いた。朝焼けが白む。何かが違う。これは、夢か。夢なら、夢なら覚めてくれ。こんな、こんな侮辱———。我が君を、もうこれ以上貶めないでくれ。
「———我が君———っ、あれ、我が君は、そういえば何か薄く感じる。なんだこの感覚。行って、しまわれたのか——————。
——————もうこれ以上、我が君を貶めさせない」
「ねぇねぇ、なんかここめっちゃグロいけど大丈夫?大丈夫なわけないか。なーんか怖いなー。お兄さん、あの女の人の友達?ちゃんと叱っといたよね。あと、ここちゃんと掃除してね!」
「わるい、坊主。今、私に関わららないでもらいたい」
「えーーー。じゃあ、ヤダ。ふふふ。ねぇねぇ、あのお姉さんがどうやってお婆ちゃんと犬を殺したか教えようか?あ、その前にお婆ちゃんと犬について話そうか。お婆ちゃんはね、とっても良い人なんだよ。職業は定年するまで看護師で———」
「五月蝿え。黙れっつってんだろ」
「だからヤダって言ってるでしょ」
「何故だ」
「ヤダからヤダ」
「お前、なんなんだ」
「ただの子供だよ。ふふ、そんな怖い顔で見ないでよ。照れて昂っちゃうだろ。ふふ、ああぁぁあぁあキュンキュンするぅぅぅ」
「かぶき者の類か。下衆が」
「酷いなぁ。でも、ここを熱くさせてくれたからイイコト教えてあげる♡君たちは、多くの人を殺すよ。無辜の民も含めてね。大勢殺し、大勢から恨まれ、大勢を怨む。そういう風にできている。あはは。楽しみ!」
「お前、何者だ」
「聞いてもわからないでしょ。君はサーヴァントじゃないから。ま、今教えてもいいけど、楽しみは最後に、ね!僕は君と、君の主君の幸せを願ってるよ」




