消息を断つ(3)
俺は、それからすぐに王宮に連れていかれた。
豪華な服を着せられ…謁見の間に。
…身のほどに合わないんだよな…こういうのって…
俺は少し前までは普通の平民だったんだぞ?!
それが偶然強いスキルをもらった途端こんな待遇…
ちょっと釈然としないな…
やがて王様が部屋に入り、玉座に座った。
座中は皆地に片膝をつき、頭を下げた。
「これより、ベンジャミン・テイラー殿の叙爵及び騎士任命の儀を始める!」
「ベンジャミン・テイラーよ」
「はっ」
「汝はその身と心を…国のために捧ぐと誓うか?」
「…誓います」
ここで誓わないとでも言ってみろ!!すぐに処刑場送りに決まってる…!
王様は、玉座から立ち上がり、俺の方にゆっくりと歩いてきた。
王様は臣下の持ってきた剣を取り、剣の峰で俺の肩をそっと叩いた。
「ベンジャミン・テイラー…汝を我が騎士に任命する。この剣で、国を守らん」
「…ありがたき幸せ」
な~にがありがたき幸せだ!!ただでさえ戦闘系の仕事にはつきたくなかったのに騎士だと?!
なんか貴族にされてるけど…俺は平民でも穏やかな暮らしの方がいいんだよ!!!
礼儀作法とかもよく知らねえし…今までなんとか見よう見まねでやり抜いてるけどいつ間違えて首が飛ぶか知ったことじゃねえよ!!!
「そしてもう一つ」
は?まだ何かあるのか?
「入らせろ」
「はっ!」
扉が開き、一人の女性が入ってきた。
「国王陛下、ご機嫌麗しゅう…」
女性はそっとスカートの先をつまみ、王様に挨拶をした。
どこぞの貴族令嬢か…?
「ああ、ティアよ、よくぞ来た」
「ベンジャミンよ、もう一つ提案があるのだが…」
…はいはい、どうせ命令なんでしょ?
「…はっ」
「我が娘、第三王女のセレスティアと婚約してはくれないかね?」
はああああ?!
俺、平民出身なんですけど?!!
知恵も教養もないんだが?!
あるのはスキルだけだが?!
普通そこまでして縛りたがるか?!!
でも…どうせ断ったら処刑されるんだろうな~
それに…姫様にも悪いし…
「…麗しき王女殿下の伴侶になれるなど…身に余る幸せでございます」
ああ、全くだよ!!
身に余るとも!!!
身分が違いすぎるって!!!
なんか…姫様かわいそうじゃね…?
まあ…でも王族の結婚なんてそんなもんか…
「それは引き受けるとのことだな?はは、よかったな、ティア」
「はい、とても嬉しいです」
嬉しいことあるか!!!
どこの馬の骨かもわからねえやつと突然婚約させられて困惑するだろ!!!
「今日は疲れたであろう。ここら辺にして個室で休みたまえ」
「…ご配慮、ありがとうございます」
そうして俺は、個室に案内された。
…なんか…実感わかないな…はは…
これ…夢か?
俺って心の底ではこんなこと望んでたりしたのか…?
いや、それとも悪夢か…?
…逃げたってしょうがねえ…現実を見ろ…
騎士って言っても…戦争に駆り出されて人殺させられるんだろうな~~
虫でも無闇には殺さねえのに、同じ人間を殺すなんて、そんな共感感覚の欠如したことが普通できるか!!
駄目だ…俺に戦闘なんて絶対無理だ…
とにかく…自分の身を守るためにも自分の力をまずよく知らないと…
検査の時はあえて言わなかったけど…なんとなく俺のスキルには、まだ何かある気がする…
***
よし、このスキルがあれは…あそこでも死にはしないだろう。
多分…
よし、「誰も追ってこれない場所」に逃げる!!
***
「国王陛下!!」
「なんじゃ」
「て、テイラー殿が…個室からいなくなりました…!」
「なにぃ?!拉致か?!」
「まだ確認されておりません…ただ…城壁に穴が…」
「うう…衛兵は何をしているんだ?!」
「探せ!!あやつが他の国に渡りでもすれば不味い…!」
「御意…!!」
***
5日後
「国王陛下、テイラーの居場所がわかりました!!」
「なにぃ?!真か!!」
「はい…ただ…」
「なんじゃ!」
「彼の足跡を辿ったところ…彼はフェネンに向かったことがわかりました…」
「フェネンだと…?もしや?!」
「…はい、おそらく」
「最難関ダンジョン、『魔境』に…」




