消息を断つ(2)
田舎の故郷から馬車で丸2日、俺は王都についている。
すごいな…都会は…ネード村とは大違いだ…
高い建物や賑やかな市場に、俺は思わず気を取られてしまった。
帰るときに何かお土産でも買っていくか…
えっと…検証所はここであってるよな…?
「すみません…検査にきたんですが…」
「はい、お名前をお願いします」
「ベンジャミン・テイラーです」
「テイラーさん…本日再検査ですね?こちらの番号票をお取りください」
「順番になったらお呼びしますので、あちらの待合室でお待ちください」
「ありがとうございます」
…早く終わってのんびり王都の観光でもしたいな。
まあ…そこまで強いスキルじゃないだろう…
多分…
「再検査6から10番の方!」
「…はい」
連れていかれた検査室は、故郷のそれとは比べ物にならないくらい広く、精密そうな機材で溢れていた。
そして何より…窓の向こうには偉そうな人たちがこちらをじっと眺めていた。
まるで競売品を見るような目で…
「ベンジャミン・テイラーさん…切断のスキルとお聞きしましたが…本日はどこまでの物体を切断できるか確認させていただきます」
「…はい」
「ちなみに、スキルが発動しているか否かもすぐにわかりますので、何卒手加減なしでお願いします」
「…!」
「スキルを偽装登録した上で犯罪に利用することも増えてまして…念のためです」
「…はい」
「それではまず…こちらのレッド・クリスタル…強力な共有結合でできている頑丈な結晶です」
俺は剣を持ち、一気に振り下ろした。
切られないでくれ…!
しかし、目の前のレッド・クリスタルは綺麗に真っ二つに分かれていた。
…やっぱりおかしくないか…?このスキルの威力…
「…?!これは驚きましたね…あのレッド・クリスタルを…しかも結晶を崩すことなく綺麗に…」
「…失礼しました。お次は…」
そうして、検査は続いていった。
いつになったら終わるんだ…?
それに…俺が一つ切り分ける度に、検査室の外のざわつきが増していくのがわかった。
「あれは…」
「素晴らしい」
「使えそうだな」
「あのスキルがあれば…!」
「…最後に、真金です。現在確認されている限りこれより頑丈な物質は存在しませんので…これで検査は最後となります」
何でだ…?強すぎるだろ…!
真金は…まあ、さすがに切れないだろう…こんな剣で…
予想と違い、真金は大根を切るかのようにぐさっと切れてしまった。
…なんでも切れるのかよ。このスキル…
「真金まで…!」
「あの少年、なんとしてもうちのギルドに…!」
「…それでは証明書をお取りください。更なる能力が発見された場合、再検査も可能ですが、その場合検査の費用は被検査者の負担となります」
「分類:物理現象系
ランク:S
識別名:切頂
スキル内容:鋭い媒体を用いて検査時点で確認された全ての物質を切断できる」
…は?なんだよSって…
「マスター!私のスキルで確認したところ、彼の判定はSです…!」
「Sだと?!実在していたのか…!」
「出口はあちらになります」
…あの窓の横…そういうことか。
扉を開いた途端、俺は話しかけられた。
「君、冒険者にならないか?私のギルドに入れば…」
「鉄工所に興味はないかね?!給料はたんまり…」
「君なら宝石細工に革命を及ぼせる!!」
「ええ…その…」
「待て」
「あ、あのお方は…!」
貴族たちは、一斉に膝をついた。
あの顔…どこかで…
?!ああっ!
俺は、急いで膝をついた。
国王陛下…!こんなところに…!
「面を上げよ」
「は、はい」
「ベンジャミン・テイラー…この度はスキルの授与、おめでとう」
「ありがたき幸せ…!」
「お主を我が国の騎士に任命しよう」
?!
「で、ですが…私は平民…」
「ああ、問題ない。お主に騎士爵位を叙爵する」
は?
「優れた人間にはそれに見合う位を与える…当然のことだ」
…別にすごいのは俺のスキルであって俺がすごいわけじゃないんですが?!
「その力、国のために使ってくれるかね?」
…それは質問じゃなくて命令だろ…!
「…ご任命いただき、嬉しく思います。この身に宿った神のご加護…国のために捧げさせていただきます」
「…よろしい。それでは早速、王宮へ向かおうではないか」
…なんか勝手に話が進んでしまった…
王様のいうことに逆らえるわけないだろ!!!




