消息を断つ(1)
どうしてよりによって俺にこんなことが…
神か…本当にいるのかどうかも怪しいけど…とにかく運命を呪いたくなる。
まあ、仕方ない。
今はできる限りの平穏な暮らしを望むだけだ…
***
俺ももう15歳か…
俺たちは今年で成人を迎え、成人式と共にスキル授与の儀式に参加することになった。
「うわあ…ついにこの日が来たな…どんなスキルだろう…俺ちょっと緊張してきた…!」
「ベン、お前は緊張しないのか…?」
「…別に」
「どんなスキルかなんて運だし、緊張しても仕方ないだろ」
「それに、必ずしも仕事に役立つスキルっていう保証もないしな…実際、スキルと関係ない仕事につく人もたくさんいるだろ?」
「スキルなんて、なくても生きていけるんだよ」
「…お前、すごいな…なんか、欲がないっていうか…大人っぽいっていうか…」
「次、ベンジャミン・テイラー」
「俺の番だ、行ってくる」
「おう、まあ、一応頑張れよ!」
「なんだよ、頑張るって…はは…」
俺は神父の前に片膝をつき、目をつぶった。
やがて、神父は詠唱を唱え始めた。
「我らが兄弟、ベンジャミン・テイラーにスキルを授けてくだされ…!」
「…これでスキルが授与されたはずです。何か感じますか?」
「…いいえ…特には…」
「…そうですか。それでは、スキル検証所へどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
「テイラーさん、こちらへどうぞ」
俺はシスターの案内に従って教会併設のスキル検証所に移動した。
「こんにちは、テイラーさん。これより、あなたのスキルがどんなものか調べさせていただきます」
「はい、よろしくお願いします」
「スキルは…成人した兄弟姉妹に我らが主によって授けられるものとされています。はじめは自覚が薄いですが…徐々に、まるで息を吸うように使えるようになる」
「また…スキルの発現を触発する『媒体』と接することで、自覚が生まれることもあります」
「まず、戦闘系から試していきましょう。こちらの武器を見て何か感じるものはありますか?」
戦闘系か…正直、戦闘系のスキルではあって欲しくないな…
戦いは好きじゃないし…冒険者なんて持っての他だ。
…!
俺は、思わず剣に手を伸ばした。
「剣ですか…試してみましょうか」
「…はい」
「まずは、このまるたを」
「…はい」
俺は、思いっきりまるたに剣を振り下ろした。
「これは…なんとも綺麗な切断面…!スキルによるもので間違いなさそうですね…」
「それでは、引き続き、他のものも試してみましょう」
「…はい」
切断か…剣に限ったスキルじゃないと幸いだな。他の道具でも発動するなら、色々できる仕事が増えそうだ。
そうして、俺は試し切りを続けた。
切れないものが出るまで…
あれ…?おかしいぞ…?
「て、テイラーさん…ここにいるものではもはやあなたのスキルの力を計り知れない…」
「これは…相当強力なスキルですね…」
…なんか、不味い気しかしないんだが…
「スキルは全て正確に調査して王家に報告しなければならない…」
「お手数をかけますが…王都の検証所の方へ向かっていただけますか…?」
「あ…」
「交通代などは王家から支払われると思いますので…」
「…わかりました」
「ベン!!」
「アンソニー…」
「どうだった?」
「…測定不能だって。来週辺りに王都の検証所で再検査だ」
「本当かよ…!すごいなお前…!くう…!やっぱこういうのって欲張ったら当たらないのか?!」
「…まあな」
面倒なことにならないといいけどな…




