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異形とニンゲンたちの共同生活  作者: 猫御使みーる
一章 おちてきた者たち
26/82

25:骨投げで回避する

「全く、あそこまで元気だったとは。付き合わせちゃってごめんね」

「いえ、何事もないことをきちんと確認できたので」

「そうだね。それだけは本当によかったよ」


「あれ?あそこに座ってるのって、カルボスさん……の胴体?」

「みたいね……何してるのかしら?」


二人は近くによるが何の反応もない。よく見てみると、時々手や足がピクリと動いているようにも見える。

「よくわからないね」


「そういえばクラールスさんたちってどこに……」

「うーん、ここにカルボスさんの胴体があるってことは、呼び寄せられたわけじゃないだろうし。外に行ってみようか」



外へ出てすぐ目の前に彼らたちは居た。クラールスとレザルタスは、なぜかカルボスの頭を投げ合っていた。


「何あれ、キャッチ……ボーン?」

ラウラが首を傾げるとカテリーナが吹き出した。

「っぷ。おっと失礼」

二人はただひたすら無表情である。それに対してカルボスは、たまにか細い叫び声をあげていた。


「ぴゃー、アーッ、うわっ、止めてよおぉ……あ、クラールス。キサマの所の子が来たぞ」


「カテリーナ!終わったんだ。大丈夫だった?」


レザルタスが投げた直後にも関わらず、クラールスはカテリーナの方へ飛んで行った。ラウラははじめて正面から彼の跳躍を見て驚いたが、すぐに頭蓋骨の安否を確かめるべく視線を戻した。


「おい!コラっ!キサマ!落ちたらどうするんだ!」

レザルタスは自分が投げたものにも関わらず、難なく前方に飛び上がる。頭蓋骨を受け止め空中で一回転すると着地した。


「わあ、すごい」

まるで曲芸のような動きに拍手を送った。ラウラがこの先何年鍛錬しようが絶対にできないような動きである。


「オレさまの無事を褒めたたえたことを感謝する!」

見当違いであるがそれに突っ込む者はいない。ラウラはレザルタスを見るが相変わらず表情に変わりはなかった。



「あ、うん平気だったよ。私より力がないくらいだったし。気になるなら次からは一緒に行こうか。もう今回みたいに大騒ぎしないと思うし」

「そっか、安心したよ」

クラールスはカテリーナに向かって微笑んだ。


「そういえば何で頭蓋骨を投げてたの?」

「カルボスは頭蓋骨が外れると、下手な行動が取れなくなるからさ。視界範囲はニンゲンと同じだから、ああして目を回させれば動かなくなる」

「それであの子が何を言っても来なかったんだね。助かったよ」


「おいキサマたち!しゃべってないで早くオレ様を戻せ!それとロッカはどうだったんだ!?」

「今の話はあんたの子の話だったんだけど。なんともないって、健康体だ」


「ぬゎんだと!朗報だ!オレ様特製料理が功をなしたんだな!」

「そうだね。あ、この件の報告はレザルタスに……」


しばらくレザルタスとクラールスは無言で対峙した。やがて、何かを思い出したのか目を見開いた。


「……そうだった。レザルタス、もう黙らなくていいよ」

「それはようございました。先程ぬし様から連絡を頂きましたので、すぐにでも向かう所存です」

「あんたって変なところが律儀で誠実だよね」

「お褒めの言葉、大変ありがたく受け取らせて頂きます。少々珍妙な気分ですが」

「それって…まあ、いいや。じゃ、僕たちは帰るよ」


「あ、カテリーナさん。今日はありがとう」

「それはこっちのセリフだよ。ラウラちゃんが居てくれて助かった」

「わたしは何も…でも、ひとまずなんともなくてよかった。また必要な時には呼んでね」

「必要じゃなくても呼ぶかもよ?特にクラールスって、お茶系統の味覚が大雑把でさ」


カテリーナは何かを思い出したのか、額に手を当て眉間のしわを伸ばそうとしている。


「だったらわたしの所に来ない?今家にエミリアって言うお姉さんが居てわたしを……その……着替えとか色々助けてくれてるの」

「ああ、なるほど。それはいいね。なら、今度お邪魔させてもらうよ」


細かい所に突っ込まないのは、さすが大人であるとラウラは感心していた。

「ええ、約束よ」



カテリーナとクラールスが帰路に着くと、ラウラはレザルタスに向き直った。

「その、今日はお世話になりました。特に危険はありませんでしたし、次は」

「ラウラ様、お手数ですがぬし様が呼んでいます。ともに来ていただけますか?」

「わたしにできる報告なんてあまりないようにも思えますが」


「いえ、報告は主題ではなく別件のがメインなのです……が、少々顔色がよくありませんね、お疲れでしょうか」


「そんなことはないと思いますけど。そうですね、エミリアの体調も気になるので明日にしてもらえますか?」

「承知いたしました。後ほどぬし様にお伝えしておきます。それでは帰りましょうか、送りますよ」

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