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お姉ちゃんが欲しいと思っていたら、俺がお姉ちゃんになったので理想の姉を目指す。  作者: kit
4章 ゴールデンな日々

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60話 着物と女の子って最強の組み合わせだと思うのだよね?

 さて、皆の着付けが終わったところでようやくこの着物で歩きましょう会は始まる。

 名前の通り、参加者は皆それぞれの着物を着て、弘前城やその周辺を歩き回るのだ。と言っても今はガッツリ桜祭りのシーズン。どこもかしくも人だらけなのでそんなに目を引くようなイベントって言うのは無い。

 あるとすれば何ヶ所かの撮影ポイントへ向かいそこで数回写真撮影を行うぐらいだ。


 具体的に言えば、弘前城・三の丸追手門、弘前城(天守閣)、本丸の3か所だ。どこも観光ポイントであるため、人が集中しやすいところなのだけど、今はまだ朝の9時。既に人はまぁまぁいるが、それでも撮影の際には問題にならない程度の密度だ。本格的に混みだすのは11時過ぎ頃のお昼時くらいからだろう。やっぱりお祭りと言えば出店ってところがあるからね。朝っぱらから食いにぇ、飲みにぇって感じではないしね。お昼と共に酒と花見!ってそんな感じじゃないかな。


 なので、私たちは早速混みやすい三の丸追手門へやってきた。ゴールデンタイムはここが人だらけで立ち止まっているのも大変なほどで、人の濁流って言う感じである。一応弘前公園の出口は他にもあるのだけれど、市役所の駐車場に止めている人が殆どなので、市役所に一番近い出入口である三の丸追手門を使う人が圧倒的に多いんだよね。よって、桜祭り中最も人が多くなるところとも言える。


 早速数人のグループに分かれ写真撮影が始まる。て言っても本格的な撮影機材とかあるわけではなくて、ちょっとごついカメラでの撮影だ。照明機具とかそんなものはない。

 まぁ?琴音ちゃんは素のレベルが高いのでぇ、そんな小細工などぉしなくてもぉ?写真写り抜群なのでぇ?


 さて、一回目の撮影は私と同じ年ごろの少年少女が集まったヤングマンチームである。どこかそわそわとした感じで如何にも中学生、もしくは小学生って感じだ。うんうん、初々しくて良いねぇ。


 私?私はもうにっこにこいつでもどこでもにじり寄るエンジェル琴音ちゃんですよ?いつ撮られても大丈夫ばっちこいですわっ。


 さて、取りあえず無難に少年A、少女A、私、少女B、少年Bの順で横並びになる。さり気なくセンターを取っていくスタイルは我ながら自己顕示欲高めだなと思う。やっぱりね、こーゆー残るものは後々見た時に悔いの無いようにしないとだからね。

 数年後とか数十年後とかに「あーあの時はそうだったよねぇ」なんて話をする時ってさ、だいたい残念な写真とかだったりするんだよね。そーゆーのがわかるのは大人になり過去を懐かしむようになってから。

 ヤングマン達特有の今を生きることが全ての間はその大事さなんてわからないものだ。まぁ、琴音ちゃんはわかっているので将来も加味して常に主人公として写真に写るのだよ。


「はーい!じゃあ撮るよー!」


 着物で歩きましょう会のスタッフのお姉さんが朗らかな声を上げるとカメラを構える。そこへすかさず琴音ちゃんはにこにこの上位互換であるシャイニングスマイルを浮かべ、周りを照らすよ。比喩表現だと思った?そんなことはなくて私のシャイニングスマイルは実際にその辺の光度を少し上げるんだよね。そのおかげかレンズがキラリと光を反射しているからね!

 中にはそんな私に「うおっ眩し」っと顔を覆っているやつもおる。ギャラリーのちょっと早めに来た観光客さんも琴ねぇスマイルに釘付けよ。ほれほれどうだ、後光が刺しておるだろ?ここら一帯浄化の光で浄化しちゃうんだよ。ピッカ!


 ……????


 茶番はさておき、私に対抗してか、いや純粋に楽しいのかそれとも写真は笑顔と刷り込まれているのか負けず劣らず笑顔を作る少女A。

 まだ素直に笑顔を作ることが出来なくて何とも言えない表情になっている少年AとB。ちょっと不服なことでもあったのか若干ふくれっ面な少女B。

 様々な表情が入り混じっているが、そこは子供たちの写真だ。それもまた思い出と、スタッフのお姉さんはシャッターを切る。


 カシャリ。


 まずは一枚。


 さて早速必殺技1のシャイニングスマイルでの撮影だ。どうせこの後何枚か取るわけだけど、自信のある技はやはり最初に持ってくるのが定石ってものよ。一番よくないのが技を出し渋って負けちゃうか、倒し切っちゃうやつね。こだわりも大事だけれど、それでチャンスを逃してしまってはもともこうもないわけで。

 なので過去の経験より私は絶対に出したい技は最初に持ってくるようにしているのである!1回目がダメでも2回目があるしね!チャンスは多い方が良いのだ!


「みんな~いいよ~!さっ、右の子ももっと笑顔笑顔!」


 お姉さんがふくれっ面の少女に声を掛け、再度カメラを構える。声を掛けられた少女Bはというと未だ気持ちの整理でも出来ていないのかムスッとしたままである。


 ふむ。


 この子は少女Bと呼称しているように別に面識も話したこともない子なわけだけれども。1回目はスルーしたけれども、全部そのままムスッとした顔で写真が残っちゃうのも勿体無い気がするよね。

 しょうがないのでここはお姉ちゃんである私が人肌脱いであげましょうか。私はけーちゃんとよーちゃんのお姉ちゃんだけど、良いお姉ちゃんとは対外的にも良いお姉ちゃんであると思うのだ。


「ねぇねぇ、あなたの着物いいね!私のは春っぽい感じだけれど、あなたのは薄ピンクで可愛らしくて凄く似合っているよ!それって自分で選んだの?」

「え……あの、ありが、とう。その、お母さんが、選んでくれたの……あなたのも凄く可愛くて似合ってるよ」

「ありがとう~!!そうなんだ!きっとあなたが可愛いからぴったりの選びたかったんだね!私もおんなじの選んじゃうかも!」


 私は隣の少女Bに顔を向けニコッとお姉ちゃんスマイル。少女Bはキョトンとしていたが、少し照れながらも答えてくれた。

 どうやら不服の原因は着物でないみたい。だって実際可愛いし、褒められて照れてるってことはまんざらでもないってことだ。てことは、きっと他に原因があるんだろうけれど、私もそこまでコミュ力抜群って訳じゃないから、ここはモヤモヤをうやむやにして笑顔にさせちゃおっと!


「そうだ!私は琴音って言うんだけれど、お名前は?」

「え、えと、優香、です」

「優香ちゃんね!そしたら、私の色と優香ちゃんの色くっ付けて写したら綺麗な感じしない?良かったらくっついてピースとかしてみよ!絶対可愛いと思うの!」


 結構無茶苦茶言っている感じもするけれど、こうゆうのは勢いと笑顔と情熱が大事なのだ!社会人お得意のゴリ押しでいっちゃうよ!

 幸い少女Bこと優香ちゃんも恥ずかしそうにはしてても嫌そうではないので、ここはお姉ちゃんリードしてあげるのだ!


 優香ちゃんの身長は私と大して変わらないので肩を寄せ、右手は恋人繋ぎ、左手は目の横でピース、いぇい☆


「ほらほら、優香ちゃんもピースピース!折角だから可愛く写ろっ!」


 私の見事なゴリ押しに押し負けたのか優香ちゃんも私の右手をギュッと握ると、鏡写しの如くピースをしてぎこちない笑顔を浮かべ始める。

 うーん、もうちょっとだねぇ。こうもっと自然な笑顔だともっともっと可愛くなると思うのだよお姉ちゃんは。だからぁ。


「――優香ちゃん、すっごく可愛いよ」


 耳元で優しく囁いてあげると、優香ちゃんはぼふっと湯気を上げそうな勢いで真っ赤になるが、ふにゃりと可愛らしい笑顔を浮かべてくれた。


 ――今だ!


 私はその瞬間を逃さず目をキラリと光らせ写真のお姉さんにアイコンタクト撮る。


「じゃあ撮るよー!せーのっ!」


 パシャリ。


 うんうん。いいね!少し視線が私に向いちゃっているけれど、そこは仲の良い友達って感じが演出されていい写真になっていると思うんだよね!やっぱり女の子は笑ってなんぼのもんですよ!男の子もだけれど、美少女の笑顔って浄化作用があるのよね!こう幸せな気持ちになれるのよ!なので、後で見返したこの写真はきっと良い思い出の写真として残ることだろう。


 それから何度かシチュエーションを変えて写真を撮ったのだけれど。さっきのでいい感じにモヤモヤが抜けたのか、優香ちゃんは柔らかい笑顔を浮かべられるようになり、きっと最初の写真以外は可愛らしく写っているはずだ。

 組み合わせも色々と変えたりもしたが、何だか私と優香ちゃんの組み合わせが多かった気がするのは気のせいだ!


 あらかた写真撮影は終わり自由行動になるという時、母親の元で話し込んでいた優香ちゃんがてててーと私のところによって来る。


「あの、私この後もう帰らなきゃだから……その、えと、今日はありがとね、琴音ちゃん」

「ううん!こちらこそ一緒に沢山写真撮ってくれてありがと!」


 どうやら優香ちゃんは写真撮影だけしてそのまま帰宅組の様だ。わざわざ帰り間際にこうしてお礼を来るなんて、なんて可愛らしい娘!最初のムスッと顔も今思えば可愛かったけれど、今は可愛らしさ倍増よね!


「実は、そのね。私、着物着るの初めてで……気恥ずかしくて嫌だったんだけれど……」


 むむ、着物を着るのが初めてだったのか。それなら気恥ずかしくなっちゃうのも良くわかるわかりみなのだよ。洋服とかだと割と着れちゃうけど、普段着る人を見ない服を着るのって勇気いるし、何より人様の目に着くって思うと一気に委縮して何だか悪いことをしている気分になってしまうもの……。かくゆう私も初めて着物着て人前に出なきゃいけなくなった時は嫌すぎて優香ちゃんと同じ様に機嫌悪そうにしたものなんだよ。


「でも、でもね。今日琴音ちゃんと会って、こうして色々と写真取れて、本当によかったなって……着物着て良かったなって、その、思ったの。だからありがとね」


 少々顔を赤らめ、胸のあたりで両拳をグッと握り、精一杯感謝を伝えてくる優香たそ。もうキュンだよね?こんなのキュンだよね?


「はわっ!」


 我慢できなくなったので私は衝動で優香ちゃんを抱きしめナデナデと頭を撫でちゃうのだよ!これが男の子だったらはっ倒されるか年齢によっては事案発生ものだけれど女の子同士だからセーフ!いつものだよ!


「こちらこそありがとだよ!また一緒に写真撮ろうね!優香ちゃん!」

「……うん!」

 

 優香ちゃんとひとしきりお互いを褒め合って感謝しあったのち、優香ちゃんのお母さんが来て一緒に帰ってしまった。最初は私に手を振ってくれていたが、途中からはお母さんの方を向き笑顔で談笑しているようだ。お母さんの方も優し気な顔で優香ちゃんを見ている。

 きっと優香ちゃんのお母さんも、私のお祖母ちゃんと同じ様にいろんな思いを込めてあの着物を優香ちゃんに着せてあげたんだろうな。それがどんな思いなのかは全部はわからないけれど、でもきっと可愛くしてあげて、記憶に残るようなプレゼントにしたかったに違いない。


 ふっ、琴音ちゃんはまたこうして一人の少女と母親を救ったのだ……まる。



 それにしても、着物と女の子って最強の組み合わせだと思うのだよね?

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