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「喋る銅像かぁ……ちょっと気になるな。見に行ってみよっか」
肩にとまった守護魔の鳥にそう言うと、守護魔も同意するかのようにコクコクと頷く。
湖の縁をしばらく走っていくと、徐々に喋るという銅像が近付いてきた。
近くの空気が威圧感を含んだものになって、私は銅像の前で立ち止まる。
守護魔も異様な雰囲気を察知したのか、低く唸るように鳴いた。
「何か、凄いね。これがアスモダイの言ってた凄い力なのかな」
と、一瞬負の空気が濃くなった気がした。
構える間もなくビュオオッ、と黒い風が吹いた。
強い風に思わず目を細める。
目を開くと、私の周囲を黒い影のような様々な形をしたものが無数に取り囲んでいた。
(な……何これ ! どうなって……いつの間に ! こんなに大量の悪魔……)
驚きに目を見開くと、守護魔が私を庇うように目の前に飛び出した。
一斉にかかってきた悪魔を、守護魔が口から真っ赤な炎を吹いて一掃する。
その炎を受けた悪魔達は黒い粒子を放出しながら霧散した。
しかし悪魔の数も伊達じゃない。
守護魔だけでは手に負えないだろう。
私は常に持ち歩いている異国のような美しい彫刻が施されたロッドを取り出し、光の弾を撃ち込む。
一体倒したのはいいが、気を休めている隙などない。
すぐに他の悪魔を殲滅していくが、数の暴力とは酷いもので、湖の縁まで追い詰められてしまった。
左に動こうにも銅像がある為、動けない。
守護魔は守護魔で、他の悪魔に手を焼いている。
こんな状況でも数を減らす方がいいだろう。
再び一体一体に白魔法を撃つ。
「はぁ……はぁ……」
魔法の使いすぎで息が切れてきた。
体力もそろそろ限界らしい。
守護魔の方をちらりと見ると、悪魔達を全滅させてこちらへ飛んでこようとしていた。
そんな時、悪魔の黒い波動が私に当たった。
湖からギリギリの場所で戦っていた私は、いとも簡単に湖の方へ倒れる。
伸ばした左手から私が肌身離さずつけているスターサファイアの指輪が抜けた。
「あっ ! 」
執念で体を起こし、千切れてしまうのではないかと思う程手を伸ばし、右手でそれを掴んだ。
「やった……よかっ……」
掴んだまではよかった。
だがそこから態勢を戻せず、銅像を掴もうと伸ばした左手も銅像に触れただけで滑り、私はなす術なく湖に落ちた。




