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「……え ? 探しに行くってどこへ行くの ? 」
私がミシェルにそう訊くと、ミシェルはニヤッと笑った。
「国から出て、使い魔を探すんだ。なに、すぐに見つかるさ。ライラは強運の持ち主だろ ? 私もついていくしな。私には強力な魔神がついてる」
「ちょっと待って。ミシェルって……契約してるの ? 」
「ん ? まあな。何なら呼び出そうか ? 」
私がコクコクと頷くと、ミシェルは自分の髪留めに手を当てた。
「それじゃあいくぞ……アスモダイ ! 」
ミシェルがそう叫んだ瞬間、ミシェルの髪留めが赤く輝き出した。
眩しくて思わず目を閉じる。
ようやく光がおさまり、私は目を開けた。
ミシェルの隣に赤い髪に緑色の瞳をした男が露骨に端正な顔を歪ませて立っているのが目に入った。
「えーっと。その人が契約してる人 ? 」
私が男を指差すと、ミシェルは頷く。
「ああ。悪魔のアスモダイだ。こんな悪人相だが結構頼りになる」
ミシェルはそう言いながらアスモダイの肩をバンバン叩く。
しかし、それを避けてアスモダイが舌打ちをする。
「何だ、急に呼び出して。ここは空気が悪いから嫌いなんだ」
「いいだろ。ここは結界張られてて浄化もされてるし仕方ない。お前のような闇属性の者からしちゃあ嫌だろうけど。紹介したい奴がいたんだよ」
ミシェルの言葉にこちらを見たアスモダイに反射的に頭を下げた。
「ミシェル、悪魔と契約してるの ? 魂取られちゃうんじゃなかった ? 」
悪魔は契約をすると魂を取ると聞いたことがあった。
クエスチョンマークを浮かべる私を見てミシェルは笑う。
「違う違う。魂を取るんじゃなくて実際には生け贄を要求するんだよ。それで力量を見る。それが『闇魔契約』で、自分の運命の使い魔や神と運良く巡り会えた場合には『聖魔契約』が結べる。私はアスモダイが運命の相手だから『聖魔契約』を結べたんだ」
ニッと笑うミシェルと顔をしかめるアスモダイはお世辞にも運命なんて言えそうもない。
全くの正反対だ。
「ま、喧嘩する程仲が良いって言うしね。私はライラです。よろしく」
アスモダイにそう言って頭を下げると、アスモダイはじっとこちらを見てきた。
何かまずい事でも言っただろうか。
アスモダイの顔が近くて、私は軽く後ろにのけぞる。
しばらく見つめた後、アスモダイは顔をそらした。
「そうだ、アスモダイ。今からライラの聖魔契約の相手探しに行くから一緒に来いよ」
ミシェルがそう誘うと、アスモダイは小さく頷いた。
「……いいだろう。だが、『聖魔契約』の魔神は今日見つけようと思って見つかるもんじゃないぞ」
「ああ。見つからなきゃ明日も明後日も見つかるまで毎日行けばいいだけだ」
満面の笑みでとんでもない事を言うミシェルにアスモダイは溜め息を吐いたのだった。




