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「んーっ、よく寝た……って9時 ! ? 今日王宮に呼ばれてるのに ! 遅刻遅刻」
ベッドで気持ち良く朝を迎えた私は、隣の棚に置いてあった小さな時計を見てベッドから飛び起きた。
すぐさま寝巻きから白いローブに着替え、洗面所へ向かう。
顔を洗い、寝癖を直すと口に小さなパンを詰め込み、ゴクンと飲み下した。
「それじゃ、行ってきまーす」
誰もいない家の中にそう一言残して家を飛び出した。
私の家は城のある中心街から少し外れた所にある為、城までそれなりに時間がかかるのだ。
中心街に出ると、まさに人混みと呼ぶに等しい量の人々で賑わい、溢れ返っていた。
「あーっ。そうだ、聖花祭近いんだった……」
毎年この時期になると聖花祭が近いせいか人の出入りが激しくなる。
私は溜め息を吐いて、顔を上げた。
仕方ない、最速で行くにはここしかないんだから。
私は意を決して賑わう人々の波に飛び込んだ。
人混みを縫うように城の方へと走っていく。
「人多いよ……何で起きられなかったの、私 ! 」
ブツブツ言いながら、小さな体を駆使して人にぶつからないよう全力で走った。
そしてしばらく走った後、何とか城の門の前に辿り着いた。
「はーっ……はーっ……」
すっかり上がってしまった息を整え、門の前にいる衛兵の一人に声をかけた。
「今日ミシェル司令官に呼ばれているライラと申します」
「聞いております。念のため紋章を見せていただけますか ? 」
衛兵にそう言われ、私はローブの左胸部分に着けた青い紋章を見せた。
「拝見しました。ではどうぞ」
門を通り、城の中に入って長い廊下を歩いていくと、前から鎧を着た女性が歩いてきた。
後ろで一つに束ねられたブロンドの髪に、凛とした青い瞳が意思の強そうな雰囲気を醸し出している。
歩く度にガシャガシャと鳴る鎧はとても重そうに見える。
「ミシェル ! 」
私がそう呼び止めると、ミシェルはこちらを振り返った。
「ライラ ! 遅いじゃないか。今日は大切な話があるというのに遅刻するなんて全く」
「ご、ごめんなさい。ちょっと寝坊しちゃって……」
「まあいい、今お前が来ていないか衛兵に確認しに行く所だった。とりあえずそこらの部屋でも入ろう」
そうミシェルに促され、私は近くにあった部屋へ入った。
そこは会議室のようで、アンティーク調のソファとテーブルが置かれており、棚などもある。
私とミシェルはソファに腰を下ろした。
「それで、大切な話って何 ? 」
「お前、国立グローリア学園へ通いたいって言ってただろ ? 」
「うん。けどお金無いから無理だって……」
「それがな、グローリア学園が優秀な神や使い魔などと契約している者を募集する事になったらしい。しかも一番の成績で通過した者は学費も何もかも無料の特待生として迎えてくれるんだ ! 」
「ホントに ! ? あ、でも……使い魔とかと契約してないよ、私」
一瞬にして落胆した私を見て、ミシェルは不敵に笑う。
「だから、今からそれを探しに行くんだよ ! 」
それを聞いて私は豆鉄砲を食らったような感覚に陥った。




