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恋雫
町に降り祭りに混ざると、ハイと、手に渡された。
『リンゴ飴?』
昨日は雨で実体化が出来なかったこと。 リンゴ飴を欲しそうにしていた雫をみていたことを告げられ赤くなる。
『それとこれも』
渡された2つの袋には、それぞれ持ち帰り用のリンゴ飴と、金魚が5匹。
『ずっと、そばにいてくれるかい?』
『はい』
恋なんてしないと思っていたのに……。
あの一瞬で、私の世界はあなたに落ちていったの。
ゆっくりと触れる口付けが優しくて泣く。
疾風が、そばにいる。
それだけでいい。そう思ったのに。
触れたぬくもりが暖かくて…幸せで笑った。
愛してくれてありがとう。
風に回る風車、色とりどりの夜を泳ぐ浴衣。
夏の夜の恋に、手を繋ぐ。
優しく笑い合い、水を跳ねて2人は祭りに駆け出して行った。