ひとりでに開閉する自動ドア
深夜11時頃のことでした。
店内には冷蔵ケースのブーンという駆動音と、蛍光灯の淡い光だけが満ちていました。
外は街灯がポツンと灯るだけで、人通りも車通りも完全に絶えています。
私はレジの近くで一人、品出しの作業を進めていました。
もう一人は裏の方で掃除をしています。
――ピロリローン
静寂を切り裂いて、澄んだ来店音が響き渡りました。
ハッとして入口へ視線を向けます。
自動ドアがスーッと左右に開き、冷たい夜気が足元を撫でました。
しかし、そこには誰もいません。
アスファルトの駐車場が、ただ暗闇の中に広がっているだけです。
「何かの誤作動か?」
そう自分に言い聞かせ、再び手元の作業に戻ろうとした瞬間、
――ピロリローン
振り返ると、誰もいないはずのドアが再び開き、ゆっくりと閉まっていきます。
ゴクリと生唾を飲み込みます。
虫の一匹すら飛んでいません。
風だって吹いていません。
それなのに、まるで目に見えない「何か」が、店内へ足を踏み入れているかのように、ドアの開閉と来店音が一定の間隔で繰り返されます。
3回目、4回目。
恐怖で背筋が凍りつく思いです。
もし本当に「何か」が入ってきているのだとしたら、今まさにこのレジ前まで歩いてきているのではないか――。
意を決してセンサーの真下へ歩み寄り、恐る恐る見上げると、そこにはセンサーのレンズに張り付いた、虫の存在が……。
「……おどかすなよ」
脱力感とともに胸を撫でおろしたものの、あの静まり返った店内に響く電子音の恐怖だけは、深夜のシフトに入るたび鮮明に思い出すのでした。
ちなみに、ずっと後にも開閉していました。
今度はセンサー部品の劣化でした。
まぎらわしい……。




