戦闘開始
プリンが地面に落ちた・・・
「ーーーーーー」
その原因の男が何か言ってるけど俺は聞いていなかった。
そんなことよりプリンが・・・
ゴールさんが丹精込めて作ったプリンが・・・
まだ一口しか食べてないのに・・・
「あー・・・」
ふつふつと怒りが込み上げてくる。
プリンから目を離し、顔を上げると趣味の悪いマントに身を包んだコウモリみたいな男がいた。
コイツか?コイツのせいなのか?
ピコーン
『セ、セイン君?何だか魔力がとてつも無く集まってますけど!?』
そうかそうか、魔力が集まってるのね?
『魔力操作』さんが仕事してるんだよ。
気にしない、気にしない・・・
ピコーン!
『いやいやいや!さっきの『ワールド・オブ・ワイルド』でしたっけ?あそこまではいかなくても屋敷ごと吹っ飛ばしそうな魔力ですって!!』
そりゃいかんな。
屋敷は家族と過ごす大事な家だ。
ぶっ飛ばしたらいかんな。
「なんだ、この子供は?まあ良い!我は・・・!」
「にゃふにゃい!!(何だとコノヤロウ!!)」
プリンをダメにしといてまあ良い?ふざけるな!!
犯人の男に目を向け、威嚇する。
ふしゃーーーーーっ!!
食べ物を粗末にしちゃいけません!お残しは許しません!!食べ物の恨みは恐ろしい!!!
「あにゃらばらばば!!(人のプリンをダメにしやがって!!)」
「え、えっと、セ、セイン様?相手はヴァンパイア・・・」
「セイン坊ちゃん、な、なんて勇ましい・・・」
「流石は英雄の子・・・」
「ヴァンパイアに向かっていくなんて・・・」
「怒ってる姿は威嚇してくる猫にしか見えないけどな!」
周りが何か言っているが俺は怒りでそれどころでは無い!
ヴァンパイア?だからどうした!!
「煩い子供だな・・・先ずは貴様から死ぬ・・・」
男が何か言ってるけどかんけいあるか!!
俺のプリンを吹き飛ばしやがって!!!
プリンじゃなくて・・・・
「にゃらばーーーー!!!(お前がぶっ飛べーーーー!!!)」
グゴーーーーーーーーンッ!!!!!
「「「「「えええええええーーーーーー!!!!」」」」」
ゴゴゴゴゴゴゴッ・・・・・・・・
俺は竜巻を起こし、目の前の男をお空へと吹き飛ばしてやりました。
「にゃーい(ふーう)」
良し!満足満足!!
額を腕で拭う仕草をしながら一仕事終えたぜ?とアピールする。
「流石はセイン様!!」
「おおう!!セイン坊ちゃん・・・いや、セイン様!流石はユリーナ様とクロード様の子供!!」
「と、とんでもねえな!俺達何もできなかったけど・・・」
「ああ、けど助かったぜ・・・」
「セイン様の仕草はおっさん臭いけどな・・・」
ターニャやゴール、冒険者の皆さんなどなどが俺を称賛してくれている。
「にゃーに!をかにゃりにゃる?(ゴール!お代わりある?)」
そんな事よりも俺はお代わりのプリンを所望するのだったーーーー
[ユリーナ サイド]
ところ変わって此処は以前、セインが吹き飛ばした山の上である。
ユリーナは執事のダニエルと2人でこの山に来ていた。
「・・・ヴァンパイアの気配が近いわね。」
ユリーナがポツリと呟く。
吹き飛ばした山の頂上にたどり着くと、ユリーナはヴァンパイアの気配を感じ取っていた。
「ダニエルはちょっと下がっていて頂戴。」
「心得ております。」
スッと一礼してダニエルが後方へと控えると同時に、ユリーナの目の前の空間に黒い霧がかかる。
「おいでなすったわね・・・」
ズズズズーーーーーーー
「ようこそ英雄ユリーナ。」
「ご機嫌よう。ヴァンパイア?」
黒い霧が晴れると、白い髪の若い男が姿を現し、綺麗な一礼をしていた。
「早速だけど、この領地に魔物を放ったのは貴方かしら?」
「ふふふ、まあちょっとした挨拶ですよ。貴方ならば敵にもならないでしょう?実際、見ていましたが、まさか魔法の奥義とも言われる多次元魔法まで使うとは!」
大袈裟な振りでヴァンパイアの男がユリーナを称賛する。
両手を広げ、天を見上げる。
「本当に貴方達ヴァンパイアはナルシストが多いわね。そんな賛辞は結構よ。」
「ふふふ!心からの称賛ですよ!あんな大規模魔法を放って魔力を減らしてきて下さるとは。」
「もういいわ。貴方の目的は私?それとも・・・」
「ああ、目的ですか?そうですね、一応復讐と言うことにしておきますか?」
のらりくらりとユリーナの質問を躱すヴァンパイア。
イライラするこの問答はヴァンパイアの特徴で、このペースに巻き込まれると自分のペースが崩れてしまう。
そんな事はわかりきっているユリーナは落ち着いて話を進める。
「復讐ね〜。ヴァンパイア・キングの?それとも、その他の側近の?ヴァンパイアなんてあの当時は数え切れないほど葬っていたから誰の分か分からないわ。」
「・・・・・そうだろうな。」
ちょっと挑発するとヴァンパイアの男は急に真剣な表情でユリーナと向き直る。
「ヴァンパイア・キングなどどうでも良い。私は貴様達のせいで地に落ちたヴァンパイアという種族の誇りを取り戻す!人間如きに恐々しているヴァンパイアの重鎮共にヴァンパイアこそが至高の種族であるという事を見せつけるのだ!」
「・・・・呆れた。あの当時の戦いで貴方は何も学ばなかったのね・・・」
当時、クロードとユリーナはヴァンパイアの軍勢と戦い、ヴァンパイア・キングを打ち倒した。
しかし、ヴァンパイアという種族を根絶やしにしたわけでは無い。
キングを打ち倒した後、ヴァンパイアの重鎮と話し合いを重ね、今後の人間とヴァンパイアの関係を守って行こうとしていた。
人間の被害とヴァンパイアの被害、お互いが痛手を負い、命を無くし、このまま戦い続ければ種族として何方かが根絶するまで続くであろう戦いに終止符を打った。
人間根絶を掲げていたヴァンパイア・キングだけは倒さねばならなかったが、全てのヴァンパイアと全ての人間が戦いを望んでいるわけではなかったのだ。
ヴァンパイアは特に長命な種族であることから、人間がヴァンパイアに対して恐怖感を無くすまでは日陰に生きるという協定を結んだのである。
今では少しづつではあるが、国王とヴァンパイアの長が互いに交流を持ちながら関係の修復に乗り出していたところである。
その最中に、このような一部の暴徒が現れるという事は、戦争の再来をもあり得る事態になりかねない事である。
「貴方のその行いが、全てのヴァンパイアと人間に何をもたらすか分かっているの?今度こそどちらかが根絶やしになるまで戦うと?」
「当たり前だ!人間如き根絶やしにしてやろうとも!!」
ユリーナは当時の悲惨な争いを繰り返す訳にはいかないと思いつつヴァンパイアに呼びかける。
しかし、聞く耳を持とうとしないヴァンパイアはユリーナに牙を剥く。
話し合いでは解決しない。
そう悟ったユリーナは溜息を零すとヴァンパイアを睨みつけ、魔力を高める。
「そう。では、私は貴方を滅ぼすわ。」
「ククククク!!!」
ヴァンパイアは不敵に笑うとユリーナと相対する。
そうして、この騒動の終局へと移っていくのであったーーーー
久しぶりの更新です。
ちょっと後半分かりづらいかもしれませんが、クロードとユリーナの話は後に記載していくつもりですので、ご容赦ください。
では、お付き合いありがとうございます。




