プリンは倒れて、事態は動き出す!
ボフンッーーーーーー!!
「きゃあきゃあ!(あははは!)」
「「「「消えた!?」」」」
そうである。恐竜は噛みついた瞬間消えました!
お気づきの方もいたであろうが幻影ですよ?
だって恐竜って確か実物像が定まっていませんよね?
化石だけ発掘されて研究上どんな姿だったのかー、とか話し合われてるんだっけ?
なんだかよく分からないな〜〜。とか思っていたら幻影しか呼び出せませんでした。
「あ、あわ、あわわわわ・・・・」
「セイン様、こ、怖すぎます・・・」
「坊ちゃん。ローザの寿命が縮みます・・・」
「とんでもねえ坊ちゃんだな・・・」
犯人の男は腰を抜かしてるし、ターニャ達はドン引きしています。
それよりも良いのかな?
色んな人が集まってますよ?
貴族の子供が姿を見せるのは良くないんでしょう?
「あ〜い?(どうするの?)」
「ああ・・・もしかしてセイン坊ちゃんはこれを狙っていましたか?」
「ええ?どういう事ですか?」
コテンっと首を傾げているとローザは俺の思惑に気付いたみたいだ。
ターニャが不思議そうにしているので、ローザは説明してくれる。
「セイン坊ちゃんはこの領民の男を裁きたくはなかったのでしょう。しかし、貴族として法は守らねばなりません。しかし、護衛の冒険者や使用人、更に野次馬の領民と大勢集まった今、それは出来ないでしょう?魔物の脅威から保護した先で貴族の子供を不法に見たから全員打ち首・・・なんて出来ますか?」
「ああ・・・魔物に殺されるよりも質が悪いですね・・・」
「はあ!?この坊ちゃんがそこまで考えてたのか?」
ホント家の使用人は優秀だよねー。
ローザさん正解!
俺は人殺しなんて興味ないし、こんな事で家の名前に傷がつくのも、領民と壁が出来るのも嫌だしね〜。
「セイン坊ちゃんは特に天才と呼ばれるファングボルト家の中でも異質の天才ですから当たり前です。しかし・・・」
「「「しかし?」」」
「頭に来たからこの馬鹿者に灸を据えたかったのも本心でしょうね。」
「にゃふ♪(てへ♪)」
バレてた!
だってお気楽極楽、好きな事しててズルイじゃん!
こっち働いてきたのに!!
こちとら1歳児様だぞ!?
「セイン様・・・」
「おい、領民に伝達だ。坊ちゃんの機嫌を損ねるなと・・・」
「冒険者にも徹底させる様に格リーダーに伝えてくれ!」
そうして、避難所になっているファングボルト家ではセイン坊ちゃんの機嫌を損ねるとドラゴンに喰われる。という噂が広まりつつ、実際に喰われた男の証言と、「生きててゴメンなさい・・・」と、土下座して1歳時に謝る姿が見られてしまい、『セイン様をもてなせ』という間違った風習がこの時よりロクサーナ地方に広まり始めるのであった・・・
それから暫く、領民の前に姿を見せたこともあり、皆んなに囲われる様にして過ごしていた。
母様が負ける事は無いだろうけど、ヴァンパイアを知らない俺からすると何とも言えない。
けど、領民も冒険者もそこまで緊張も悲壮感もなく落ち着いている様に見える。
「この領地にいる方は奥様の強さを知っていますし、先のヴァンパイア・キングの戦いを知っている者もいるので慌てる事は無いのですよー。」
「あいあい?(そうなの?)」
「ヴァンパイア・キング並のヴァンパイアならば慌てますが、目撃されているヴァンパイアはせいぜいハイ・ヴァンパイア並です。私や騎士、冒険者では危ない相手ですが奥様からすれば相手にすらなりません!」
「あー・・・」
妙に落ち着いている領民を見ていると改めて親は化け物級だと思う。
頼りになる親でありがたい!
まあ、俺の母様だしねー!
馬鹿神と違って本物の女神だし!
という説明をターニャから受けていたり、
ビコーン!!!
『何ですってセイン君?先程の件も含めて説教です!』
煩い馬鹿神!自業自得だろうが!!
ピコーン!!
『そうですが、神に手を出したり馬鹿にする罰当たりが居ますか!?天罰行きますか?』
ゴメンなさい!!調子に乗りました!!
などなど神ともやり取りしていたり、
「セイン坊ちゃん!先程は失礼しました!!」
「ウチの馬鹿がすみません。普段は腕の良い職人なんですが、興味がある物を見つけると我慢が効かなくなりまして・・・」
「あーい・・・」
「セイン様がめちゃくちゃ呆れた顔してるぞ?」
「本当にこの坊ちゃん1歳児か?」
とか改めて謝れたり、
「セイン坊ちゃん!ウチで育てたフルーツです!」
「これはウチの野菜ですじゃ!」
「コレはウチで捌いた肉ですぜ!」
「おお・・・」
「セイン様が逞しい領民にちょっと引き気味です・・・」
「接待に疲れた中年みたいな1歳児だな?」
などなど献上品を並べられたり、
「へーーー。この坊ちゃんが英雄ファングボルト家の秘蔵っ子か〜〜。」
「馬鹿野郎!失礼な言葉使いするな!!」
「そうよ!この坊ちゃんは見た目は天使でもやる事はとんでもないんだから!!」
「俺は見てたけど、魔物の大群を1歳児が殆ど一発の魔法で倒したんだぜ?」
「どんな1歳児だよ・・・」
「にゃへ!(てへ!)」
「セイン様が笑ってごまかそうとしています・・・」
「なんだろう、奥さんに嘘がバレた旦那みたいな1歳児だな・・・」
と、冒険者の相手をしていた。
貴族の子供が珍しいんだろうけど、ちょっと色んな人の相手をするのに疲れてきた。
ぐうう・・・
ああ、そういえばお腹も空きました!
「あーにゃ、あうあうー。(ターニャ、ご飯はー。)」
「あら?セイン様、お腹空きましたか?」
「あい!」
「では、御飯には時間が微妙なので先程頂いたフルーツを剥いてもらいましょう。」
そうしてターニャに抱っこされて炊き出ししている料理人のいるスペースに向かう。
「おう!セイン坊ちゃんじゃないか!どうした腹でも空いたか?」
「あーい!」
「そうなんです。けど御飯には時間が微妙なのでフルーツでも剥いてもらえませんか?」
「そうなのか、ならコイツを食べるか?屋敷で作っておいたデザートなんだけどよー。」
「ああーい!(おおーう!)」
そう言って出されたのはプリンである!
プルプル揺れている胴体とカラメルソースが輝いて美味しそう!!
「ははは!セイン坊ちゃん。俺は普段会う機会がないからな。屋敷で料理長をしているゴールって言います。口の聞き方も知らぬ馬鹿な男ですけど、クロード様には恩があり料理長をさせてもらってまさあ。よろしくお願いします。」
「あう!?あいあい!(そうなの!?よろしくね!)」
見事なプリンを出してくれたゴールに手を挙げて挨拶すると、ターニャがプリンを受け取り、俺の前に持ってくる。
「ゴールさんの料理は本当に美味しいですからね〜。特に甘味は絶品ですよ!」
「ああう!?(何ですと!?)」
「ははは!ターニャの嬢ちゃんあんまり煽てないでくれよ!俺はこれ以外取り柄がないいでさ。」
ゴールが照れながらスプーンを差し出してくる。
いや、ゴールさん、当たり前の様に子供用のスプーン差し出してくるあたり気遣いできる男じゃない?
顔も清潭な顔つきだし、料理人だけあって清潔感もあるしモテるな?
「どうぞ、坊ちゃん。子供にカラメルソースが合わないかもしれないからそいつはラズベリーとハチミツで作ったなんちゃってカラメルソースだ。子供でも食べ易いと思うぜ?」
「ああい!?あいあい!(何と!?ありがとう!)」
「坊ちゃんも離乳食から段々と普通の食事に慣れていかないといけねえからな!今日はオヤツに出してみようと思って作ってたんだが無駄にならなくて良かったぜ!」
二カッと人懐っこい笑顔でいうゴール。
俺、ゴールと仲良くする!
美味しい御飯お願いします!!
「ふふふ。良かったですねセイン様?ではあーーーんして下さい。」
「あーーーーう・・・」
ぱくん!!
「にゃう〜〜〜!」
何これ!?美味しい〜〜〜〜!
プリンは濃厚だけどしつこく無いし、この特性カラメルソースが酸味とハチミツの旨味が後味として引き立っている!!
ゴールさん天才ですか?
「へへへ!喜んで貰えたみたいだな!」
「ふふふ。セイン様あーんですよー!」
「あーーーい!!」
そうして至福の時間を過ごそうとしていると・・・
ゴオオオオオオオオオオーーーーーー!!!
「なんだ!?」
「うお!?」
「何か来るぞ!!」
突然竜巻の様な黒い霧が広場の中央に吹き荒れる!!
「何ですか!?」
「おおう!?ターニャの嬢ちゃん、セイン坊ちゃん!!」
「あにゃ!?」
俺を庇う様にターニャとゴールが俺と竜巻の間に立つ!
バアアアアアーーーーーーーン!!!!
「うお!?」
「きゃああ!!」
「うわああ!!」
霧が晴れ、突風が吹き荒れる!!
冒険者や領民、使用人達が身構える中、その中心から人影が現れる。
「ククククク!うまくいった様だな。」
「あにゃーーーーーー!!!!」
しかし、俺はそれどころではなかった。
何故なら、プリンが!!
「セ、セイン様?」
「ぼ、坊ちゃん?」
ターニャとゴールが見守る中、俺は地面に蹲っていた。
「ああー・・・!」
プリンが今の突風で地面に落ちてしまった!!
「なんだ、この子供は?まあ良い!我は・・・!」
「にゃふにゃい!!(何だとコノヤロウ!!)」
プリンをダメにしといてまあ良い?ふざけるな!!
「煩い子供だな・・・先ずは貴様から死ぬ・・・」
「にゃらばーーーー!!!(お前がぶっ飛べーーーー!!!)」
グゴーーーーーーーーンッ!!!!!
「「「「「「「ええええええええええーーーーーー!!!!!?????」」」」」」」
俺はプリンの恨みを込めて謎の人物を魔法でお空に吹き飛ばしましたとさーーーー
食べ物、プリンの恨みは恐ろしいーーーー
色々書いていたら長くなりました。
最後はここまで行きたいという自分の構想で行きましたが、説明は次回に持ち越します!
ではお付き合いありがとうございます!




