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動き出す母達。

ガアアアアアアアアアーーー!!!


遠くで獣の鳴き声が響く中、騎士と冒険者は言葉を無くしていた。


1歳になったばかりの子供が魔法を使い、魔物の大群を攻撃するという非常識な現実についていけていないのだ。


誰もが目の前の光景に言葉を無くす中、いつも通りの人が若干名存在した。


「流石は私のセインちゃんね〜〜〜!天才過ぎて困っちゃうわ〜〜〜〜!」

「其処の失礼な冒険者!セイン様のお力に平伏しなさい!!」


先ずは母親のユリーナ、そして護衛メイドのターニャ。


「ガハハハハ!!セイン様のお力、私も甘く見ておったなーー。」


騎士団長のヴァルトである。


(((非常識!!!!)))


その光景に、他の人々の心はひとつになった。


この辺境の地の領主であるファングボルト家の逸話はこの地にいる者だけでなく、国中に知れ渡っている。


しかし、実際に目の前でその逸話の数々を裏付ける出来事を目撃した者共は言葉を無くす。


騎士と冒険者は改めて、この国の英雄であるファングボルト家の力に慄いていた。


そして、その力をまざまざと見せつけたセインはーーーー


「すぴー・・・むにゃー・・・」


とてつも無くやり切った表情で眠りについていたのだった・・・






「奥様、ヴァルト。偵察完了しました。」

「ダニエル、お疲れ様。どうだったかしら?」

「はい。セイン坊ちゃんの魔法は既に効果を失っております。魔物はおよそ300匹程は生き残ったようですが、ほぼ手傷を負っており、後は騎士だけでも対応可能かと思われます。」

「あらあら!セインちゃん、本当に頑張ったのね〜〜!」


セインが魔法の反動で眠りについてから一刻程経っていた。


セインの眠りに連なる様に徐々に魔法の動物は姿を消していき、先程、全ての動物が消え去った。


そこで状況確認の為、執事であるダニエルが偵察に出ていた。


「流石は英雄の、いや、セイン様と言うべきであろうな。」

「はい。可愛くて強い子供です!」


ヴァルトとターニャは若干引きつりながらもセインを賞賛する。


「ほほほ。セシル様とセシリア様も凄まじかったですが、セイン坊ちゃんはそれ以上を軽くいっておりますな!」

「素晴らしい事です。ローザは頼もしくて思いますよ?」


ダニエルは諦めた様な表情で、ローザは心酔した表情で賞賛する。


「本当に、よく頑張ったわ。後は母の仕事です!」


ユリーナは愛おしそうに眠りに付く我が子を抱きしめる。


「ぷにゅうー・・・」


セインは幸せそうに寝ていた。


ユリーナはセインの頬に口付けすると、名残惜しそうにターニャにセインを預ける。


そして、普段と違うキリッとした表情になると、待機していた騎士と冒険者に向け、声を張り上げる。


「では、ヴァルト!」

「はっ!!」

「貴方は騎士と冒険者の皆さんと魔物の残党の処理をお願いします!」

「心得ました!!」


ユリーナの指示を受け、ヴァルトは騎士と冒険者を引き連れ、魔物がいるであろう地へと出陣する。


「ローザ、ターニャ!!」

「「はい!」」

「ローザは屋敷のメイド、使用人に指示を出して領民のケアとフォローをお願い。ターニャは屋敷の護衛を。相手がヴァンパイアである以上、油断だけはしない様に!」

「お任せください。」

「この剣に誓って!」


言うや否や、ローザは屋敷へと戻っていく。


「ターニャ、もしもの時はセインちゃんと領民の避難を優先しなさい。難しいのなら領民が優先よ。」

「奥様・・・」

「大丈夫。ヴァンパイアに負けたりしないわ。けど、念のためにね?領主代行として、責任は果たさないと。」

「はい。けど、何があろうと指一本手出しさせません!」

「・・・セインちゃんをお願いね?」


深々と一礼するとセインを抱えてターニャも屋敷へと走っていった。


「奥様、何か不安でも?」

「ええ・・・何か分からないのだけど胸騒ぎがするの。杞憂だといいけど・・・」


その場に残ったのはユリーナとダニエルだけとなった。


ユリーナはなんでもない風に装っていたが、今回、ずっと胸騒ぎがしていた。


せめて、クロードか子供達の誰かが居ればという予感がしていた。


「ダニエル。ヴァンパイアの居場所は割れているわね?」

「勿論です。」

「では、私達も行きます。」


しかし、その不安を隠す様にユリーナはヴァンパイア討伐の為、出立するのであったーーー





[とある世界]


ユリーナが出立する少し前のとある世界での事。


「はあ、はあ!全く、酷い目に合いました!」


1人の女性が肩で息をしていた。


「全く!相変わらずとんでもない人間なんですから・・・」


ブツブツと愚痴を溢している女性。


「なんじゃ、また小僧を覗き見しておるのか?」

「う!鍛治神ですか・・・」


老人の姿をしたその男は鍛治神と呼ばれた。


「全く、創造神は過保護すぎるな。」

「うう。魔法神まで・・・」


次に現れたのは女性で魔法神と呼ばれた。


「何ですか。良いじゃないですか!皆んなは気にならないのですか?」

「そんなことはないぞ?ワシもあの小僧には思うところがあるからの・・・」

「ああ、私もそうだ。勿論、他の神々も・・・」


創造神と呼ばれた女性の反論に他の神は悲しそうな目をする。


「彼は今度こそ幸せになって欲しい・・・いえ、どんな手段を用いても幸せにするんです!」

「創造の・・・」

「分かっているさ・・・」


創造神の言葉に頷く2人。


「今世はセイン君の運命を導いて見せます!」


下界を覗き込みながら、創造神は力強く言葉を発する。


しかし、そんな事を知る由もないセインはというと・・・


「すぴー・・・むにゃむにゃー・・・」


色々な事が動き出そうとする中、未だ眠り続けていたのだったーーーー





間が開きましたが更新です。


明日は間違いなく更新します!


お付き合いありがとうございます。

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