1歳児舐めんなよ?
「あーうー・・・」
俺はターニャに持ち上げられたままの状態で頭を悩ませていた。
目の前には遠方に見える魔物の大群。
眼前には子供を不審な目で見る騎士と冒険者。
そして、期待した眼差しを向けているターニャとヴァルト。
「あだー・・・」
どうしてこうなった!?
本当に1歳児に期待するんじゃ無いよ!?
「あうあう!!!!」
「わわわっ!!?セ、セイン様!?」
ジタバタと手足を振り回して抗議していると、何時ものアレがやってきた。
ピコーン
『久しぶりに見たら楽しそうな事してますね?プププッ!!』
楽しいわけないだろう!?
うっかり神様が変なスキル寄越すからめんどくさい事になってるんだろうが!?
この馬鹿神が!!!
ビコーン!!
『馬鹿とは何ですか!?馬鹿とは!!これでも神様ですよ!?敬いなさいな!!』
無理!!
余計なスキル寄越して病気にするは、厄介ごとに巻き込まれるは・・・
ロクな目にあってないんですけど!?
ピコーン
『いや、でもヴァンパイアは遅かれ早かれ来てましたからね?ちょーーーーっとセイン君が山を吹き飛ばして目立ったから予測より1年は早まりましたけど・・・』
んんん!?どう言う事?
なんか聞き捨てならない話が出ましたけど?
え?
俺が山を吹き飛ばしたからヴァンパイアが来たの!?
ピコーン
『正確には今来ているヴァンパイアはかつてユリーナさんとクロードさんが倒したヴァンパイア・キングの部下だった男ですけどね?キング亡き後、復讐するためにユリーナさん達の行方を探していたみたいですよ?』
ええええええええ!?
ピコーン
『ちなみに、十数年も現れなかったのはとある事情から、ですが、あまり地上の出来事を伝えるのも良くないので教えられません♪』
つ、使えない神だなーーーー!?
ビコーン!!
『何ですって!?・・・まあ、とにかく。ヴァンパイアが来る事は決まっていたんです!で、そのままじゃセイン君が死ぬ可能性があったので[魔法大全]を与えたんです。お陰で1歳とは思えない魔力と魔法が使えるようになったでしょう?』
いやいや、そうなの!?
俺、死ぬ可能性があるの!!??
ええええええええ〜〜〜〜!
ピコーン
『ほらほら、早くしないと皆んなが不安になってますよ?』
「あう?」
ハッと気付いて見渡すと、めっちゃ心配そうに皆んなが見ていた!!
[神々の手紙]スキルは俺にしか見えないから、めっちゃ情緒不安定に見られているんじゃないかな!?
「やっぱりあんな子供に何か出来るわけないよな?」
「聞いた話、あの山を吹き飛ばしたらしいが?」
「いや、ユリーナ様は親馬鹿で有名だからな。」
んんん?
何かあそこの冒険者が母様を馬鹿にし始めてませんかね?
気のせいだよね?
「ああ、それでちょっと魔法発動した子供を大袈裟に触れ回ったのか?」
「あり得るな。あんなガキが山なんか吹き飛ばせるわけないもんな!」
「そうそう、親馬鹿のやり過ぎってやつだろ。」
カッチーーーーーン!!
今のはもうアウトだよね?
俺を馬鹿にするのは良いけど、母様を馬鹿にしちゃいました?
「あうあ・・・(いい度胸だ・・・)」
「あら?セインちゃんの目が据わってるわ?」
「あそこの馬鹿共が、奥様を侮辱しやがりましたからね・・・私が切ってきましょうか?」
イライライライラ~~~~~~!!!
母様とターニャがなにやら話してるがイライラしてそれどころではない!
ピコーン
『セイン君がさっさとしないからですよ?』
はあ?俺のせいだとでも?
だいたい、好きでこんなとこに来てないし、こんな目にあってないんだよ!
チクショウ!!
見てろよ~~~~~~!?
ピコーン
『まあ、所詮ビビリのセイン君には何も出来ないでしょうけどね〜♪』
プッチーーーーーーン・・・・
良いだろう。
「あいだぶらーーー!(やってやるーーー!)」
ギュウウウウンーーー!!!!
「あらあらあら〜?」
「え、ええ!?セイン様!?」
俺は魔力を集中する!
魔物がなんぼのもんじゃい!?
ついでに母様を小馬鹿にした冒険者もまとめてやってやる!!
俺は小さな手を目の前に掲げると魔力を解き放つ!
「あうあたらば!(魔法大全!)」
スキル名を叫ぶ!
イメージだイメージしろ!!
大群の魔物とアホ冒険者、ついでに馬鹿神への怒りだーーー!!!
「あーるど・あう・にゃいふど!!(ワールド・オブ・ワイルド!!)」
イメージが固まると自然とその言葉が俺の口から発せられた。
が、辺りはシーーーーーンっとしている。
「な、何だよ?」
「こ、子供がいきなり叫んだぞ?」
「は、はは。何も起きないじゃないか・・・」
「これは、流石に驚いたわね〜〜!」
「奥様?セイン様?」
「ふにゅううう!!!」
周りが何か言っているが、これはヤバイ!!
ま、魔力が補充しても補充しても足りない!?
頑張れ魔力操作ーーーーー!!!
ピキ、ピキピキ!!!!
すると、魔物の大群の正面の空間に亀裂が出来た。
パキイイイイイイイイイン・・・・!!!!
空間が裂けるとそこから現れたのはーーー!?
ヒヒイイイイイン!!
ガオオオオン!!
パオオオオオオオ!!
ブルルルルル!!
「「「「「な、何じゃありゃーーーーー!!!!????」」」」」
おおう!!やったぜ!
ライオン、トラ、サイ、馬、孔雀、猪、象などなど・・・・
想像できる範疇の動物が現れた!
『動物園遊戯』、俺の想像できる動物を一定範囲内で召喚、強化使役する魔法だ!!
見たかコノヤロウーーーー!!!
ピ、ピコーン
『あ、煽っておいてなんですが、まさか、多次元魔法とは!?って、痛っ!?ええ!?』
「うお!?痛え!!」
「う、うわあ!?」
「な、何だこりゃ!?」
ククククク!!!
魔物のついでに母様を馬鹿にした冒険者と馬鹿神には鼠さんのプレゼントだ!!
噛みつけーーー!!!
「あふふふ!」
「う、うわあ・・・セイン様が悪い顔してます・・・」
「あらあら?仕方ないわね〜。」
「あいあい♪」
小ちゃな意趣返しをして満足していると、魔物の方は魔物の方で動物軍団が大暴れしていた。
ガオオオオッーーーーー!!!!
獅子の咆哮がすれば、目の前の魔物を切り裂き、
パオオオオオオオーーーー!!
と、象が鼻を振り回すと魔物は吹っ飛び、
ブルルルルルーーー!!
猪は鼻息荒く敵を弾き飛ばしていた。
「「「「「な、何じゃあの獣共は????」」」」」
ふはははははははははっ!!
そっちが2000だろうが、こっちは一騎当千の強化動物じゃい!!
全く心休まらない動物の戯れを味わうが良い!!
ピ、ピコーン!!
『ちょ、ちょっとセイン君!?痛いです!!何で神である私に攻撃出来るんですか!?』
知るか!!
そりゃあイメージで馬鹿神まで攻撃範囲に入れたけど成功するとは思ってなかったし。
駄目で元々だったけど、良かった良かった!!
「お、奥様。あれはセイン様がやったんですか?」
「間違いなくね。まさか多次元魔法を使えるとは流石に思わなかったわ〜〜!やっぱりセインちゃんは天才ね〜〜!」
ターニャの腕から母様が俺を奪い取るように抱きしめる。
眼下の母様を馬鹿にした冒険者の馬鹿共を見ると鼠に噛み付かれてのたうち回っていた。
冒険者が必死に鼠を振り払うと、ボンッ!!と音がして鼠が煙となって消える。
「はあ、はあ!!」
「と、とんでもねえ!」
「なんだよ!?これ!!」
甘いぞ冒険者の小僧共が!!
ヒュルルルル・・・・
鼠から出た魔力の煙を操作して、冒険者の前にメッセージを出す。
『次、母様を馬鹿にしたら、噛みちぎるよ?』
「「「「ひ、ひいいいいい!!!!????」」」」
腰を抜かした冒険者が化け物を見るような目で俺を見上げた。
身の程を知らない冒険者に、身の程を判らせるために、
俺は、ニヤリッと笑って、
「あう?(わかった?)」
「「「「す、すみませんでしたーーーーー!!!!」」」」
冒険者に土下座させたのだった。
後に、ターニャやヴァルト達にはあんな悪そうな笑顔を浮かべる子供はセイン以外にいないだろうと言われた。
実際、周りの騎士と冒険者も、セインの笑顔に身を震わせていたのだった・・・
後に、この日の出来事はロクサーナ地方の伝説として残った。
たった1歳の子供、幼児が行った母親を思っての行動。
だが、1歳児がやるにはやり過ぎた行動に、こう名付けられた。
『セインの戯れ遊戯』
と、呼ばれたのだったーーーー。
ピコーン!!!
『や、やり過ぎですーーーーーー!!!!』
やっちゃった!!
てへ⭐︎
すみません、少しあきました。
セインの魔法で悩んでいました。
大規模魔法を演出するのは1番楽でしたが、やはり子供らしくファンシーさを入れたかったのと、あんまりシリアスな小説ではないという点を考慮して『ワールド・オブ・ワイルド』を思いつきました。
御意見は色々あるでしょうが、今回はこれにて。
誤字、脱字、感想、評価ありがとうございます!




