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間話 父と兄姉

ところ変わってクロード達の旅路は順調に進んでいた。


「はあっ!!」


シュパンッ!!


「『切り裂きなさい』」


スパンッ!!


但し、順調に寄り道していた。


ここまで1週間程経っていた。


実際、通常の馬車ならばクロード達の辺境地まで2週間はかかる。


しかし、人外の域に入っているこの親子は馬車を使わなければもっと短い時間で行き来できるのだ。


現在3人は馬車を手前の街で乗り捨て、既に1週間歩きにて王都近辺の森に入り込んでいた。


「よし!セシル、セシリア。なかなか鍛えてきたみたいだな?」

「「ありがとうございます。」」


セシルが切り捨てた魔物と、セシリアに魔法で切られた魔物の切り口を確認しながらクロードが褒める。


「セシルは切り伏せる時に体重が前のめりになる癖を治せているし、セシリアの魔法発動までの言語も短縮出来ている。流石は自慢の子供達だな!!」

「父様と比べるとまだまだですがね?」

「わたくしも母様と比べたら発動速度も威力もまだまだですわ。」


この親子は王都に向かいながら戦闘訓練を行なっていた。


馬車は手前の町に預けて、そこからもう3日休まずに魔物を倒し続けていた。


「さて、そろそろ王都に着くな・・・」

「はい。セインに恥じない様に努めますね・・・」

「まったく。セインに会いたいですわ・・・」


クロードは我が子達の様子に苦笑した。


産まれたばかりの弟をこの2人の子供達は溺愛しているのは分かる。


だが、学業は学業で貴族としては勤めなければならない。


セシルとセシリアも分かって口にしているのだろうが、思わず苦笑してしまったのだ。


「だいたい、義務なのは分かっておりますが、学校で学ぶことよりも母様と一緒にいた方が勉強になると言うのが納得いきませんわ!」

「そうだね。単純に剣のみを考えるなら僕も父様といた方がいいに決まっているけど、学校はそればかりじゃないでしょ?」

「わかっていますわ!!でも今はセインが可愛くてしょうがないのです!」

「それは僕も同じだよ!だからまた授業免除を獲得してさっさと領地に帰るんでしょう?」


あんまりな我が子達のやり取りが王都に着くまで続いたが、遂に注意する事は出来なかったクロード。


何故ならクロード自身、若かりし頃は男爵家の次男であったが為に学校に通ってはいたが、もっぱら学校を抜け出して魔物退治をしていたからだ。


そうしてワイワイと親子で突き進む事更に1週間。王都に到着したのであった。





王都の門番に入場の審査を受ける。


そして、王都に入ってすぐであった。


クロードは見知った顔を見かけた。


「クロード、それにセシルにセシリア。」

「え?どうしてここに!?」

「「お、お爺様!?」」


初老の男性でセシルとセシリアにとっての祖父であり、クロードの義理の父でもある。


「お、御義父上!?どうなさったのですか!?」

「ああ、クロードに用事があってね。後、久しぶりに可愛い孫の顔でも見ようかと思ったのだよ。」


口元に蓄えた髭がよく似合う初老の男性はユリーナの父であり、現公爵家の当主でもある。


その男性が門で待ち構えているとは思ってもいなかった。


「御義父上!!ご、護衛は?1人で来たのですか!?」

「あら、クロード君。私もいますよ?」

「「お婆様!!?」」


ひょっこり現れたユリーナそっくりな雰囲気のこれまた初老の女性がいた。


「お、御義母上まで!。何で・・・いや、なるほど・・・」


クロードは何で護衛も付けずに居るのかを聞こうとしたが途中で物陰から護衛の気配を感じ、口にするのはやめた。


また、2人は今は貴族らしからぬ格好でいる事にも気付いた。


元々クロード達は外で修行しながら王都に向かう予定であった為、今の格好は冒険者に近い。


であるならば殊更丁寧な対応はいらないであろう。


どんな理由があるかは分からぬが、貴族とバレないのが好ましいのだろうと思い至った。


「お義父さん、お出迎えありがとう御座います。妻はおいてきてしまったのですが・・・」

「おお、構わんよ。小さな子を1人には出来まい?」

「新しい孫にも早く会いたいわねー!」

「「お婆様!!セインって言うんです!可愛いですよ!?」」


祖母の呟きにセシルとセシリアが息ピッタリで反応すると、3人でセインの話で盛り上がり始めた。


「クロードよ、此処では話せぬ。今すぐ王城に移動するぞ?」

「王城に?はい、わかりました。」


そのまま路地裏に停めてあった公爵家の馬車に乗り込み、クロード達は王城へと案内された。





王城に到着すると、すぐに案内され、だだっ広い応接間に通された。


相変わらずセシルとセシリアは祖母と話し込んでいたが、クロードは義父と話し込んでいた。


コンコン・・・


そうすると、ノックの音がしたと思うと、扉が開き、豪華な服を着込んだ凛々しい男性が現れる。


ザザザッ・・・・!!!


クロード達はその瞬間に臣下の礼を取る。


膝をつき、頭を下げると、その男からの言葉を待つ。


「頭を上げてくれ。この場は非公式の場だ。かしこまらないでくれないか?」

「ハッ!王がそうおっしゃるのであれば!」


王の言葉に公爵が応える。


すると、クロード達も頭を上げて王と相対する。


「クロード、久しぶりだな?元気そうで何よりだ。」

「非公式というからには昔の様に話していいんだろうな?」

「い、いや、父様?」

「さ、流石にその口調は・・・」


クロードの態度にセシルとセシリアは顔を青ざめさせる。


しかし、公爵の祖父母も王も特段気にした様子がない。


「ははは!大丈夫だ、若き剣聖と若き魔女よ。お主らの話も我の耳に入っているぞ?」

「あれ?セシル達には言ってなかったか?コイツは昔の俺の仲間だぞ?」


バンバンと王の肩を叩きながら気安い感じで話すクロード。


セシルとセシリアはビックリしすぎて開いた口が塞がらなかった。


「ハハハ!儂等の孫は王にも知られておったか!自慢の孫じゃな!!」

「ええ!!お婆ちゃんは鼻が高いわ〜〜〜!」


呑気な公爵家の面々。


と、和やかな空気は終わりとばかりに、王が手を叩く。


「さて、皆んなとはゆっくり話したいが、事態は急を要するかも知れぬ。良いか?」

「ああ。御義父上をお忍びで寄越すくらいだから厄介ごとだろう?」

「ああ、これが知れたら大変なことになる為、秘密裏にお前を呼んだのだ。」

「で?何があった?」


そうして、王はとある書類をクロードに渡す。


「これは?」

「見た方が早い。読め。」

「あ、ああ・・・・・!!?こ、これは!!?」


書類を読んでいたクロードが急に慌て始める。


何事かと、公爵夫妻もその書類を読んでみる。


すると、そこにはこう書かれていた。


『ロクサーナ地方より入電。現在、ヴァンパイアらしき人影の目撃情報が相次ぐ。至急応援を頼む。』


かつて、十数年前に王都を陥落寸前まで追い込んだヴァンパイアの目撃情報であった。


顔を青ざめさせる公爵夫妻。


そんな2人の様子にセシルとセシリアが何事かと父に尋ねた。


「父様、一体何が?」

「わたくし達だけ除け者ですわ!」

「あ、ああ。これを見てくれるか?」


そして、クロードは違う一枚の紙を2人に渡す。


すると、そこにはこう書かれていた。


『ファングボルト家の次男セインは生後1歳にて魔法を発動。山をも粉砕した模様。』

「「ふぁっ!!??」」


ガサガサッーーーー!!

カタカタ!!!


震える2人、そしてクロードはテーブルを悔しそうに叩いた!!


ドンッーーーーーー!!!


「「「クソーーーーーー!!」」」


あまりの大きな音に王と公爵家は息を飲んだ。


そして、次の瞬間!!!


「我が子の成長を見逃したーーーーーー!!」

「「弟が凄いことしてるの見逃したーーー!!!」」


ズルッ!!!!


と、思わず椅子から落ちそうになった面々が黙っていられなかった。


「「「いや、そこじゃないだろう!!??」」」


王を含めその場にいた全ての人がこの親子に突っ込みを入れた。






その後、とんでもない勢いで王都を出て行く人影が目撃されている。


「セイン待ってろーーーーーー!!」

「兄様が行くまで成長するなーーー!!!」

「姉様がすぐに行きますわよーーー!!!」



ドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!




と、大騒ぎして去って行く3人の人影があったと言うーーーーー



はい、長くなりすぎない様にしたので大分端折りましたが、一応、間話でした。


お爺ちゃん達の名前はセインが出会ってからの紹介になりますので、後々ということになります。


ではお付き合いありがとう御座います。

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