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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
フルーフの世界編

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2528/2537

2510.天上界に存在する魔法の発動羅列の断片

「こ、煌聖の教団達に……? し、しかしフルーフ様は、大魔王ヌーに操られていたのでしょう?」


「いや、うむ……。厳密にはどちらに操られていたかまでは分かっておらぬがな。レアよ、今はそこは重要な事ではない、そうだな?」


「は、はい! も、申し訳ありません……!」


 レアは余計な事を言ってしまい、話の腰を折った事に対して慌てて謝罪を行うのだった。


「操られている間の事をずっと覚えていたというわけではない為、断片的な記憶に過ぎないのだが、ワシは身に覚えのない何らかの『魔法』を使用するのに使われていたであろう『発動羅列』の一部を僅かにだが覚えておるのだ。その『発動羅列』自体を読み解く能力などはワシにはない為、あくまでその羅列の形から幾通りもある『魔』の概念の組み換えパズルを行い、意味を持つ『発動羅列』になるよう、ここ数日何度か置き換えて発動を試みていたのだが、その時に信じられぬ程に強力な『魔』の概念技法の存在を知ったのだ……」


「し、信じられない程に、強力な『魔』の概念技法……ですか?」


「あの『発動羅列』の正体は、間違いなく現存する『魔』の概念の常識を覆す事を可能とするモノで間違いない筈だ……。だが、ワシでは発動するのに必要な『魔力』が足りぬのでな。実際にあの『発動羅列』の基となる魔法を使う事は叶わなかった。だからこそ、ワシはその『発動羅列』をきっかけに独自の『(ことわり)』を用いて、羅列の一部を刻み、ヌーに向けての対策にその『魔法』から『呪法』に置き換えた代物を創り上げたというわけだ」


「!」


 どうやらフルーフが大魔王ヌーに対して行おうとしていた対策の呪法の基となるモノは、彼自身が操られていた時の残されていた記憶の断片にあった発動羅列の一部分から、再現を行う為に『(ことわり)』を無から生み出して出来たものであるらしい。


 その基となった『魔法』がどのような効力のものなのか、そしてどう強力なのか。直接その『魔法』を見たわけでもないレアには分からないが、もしその場面を直接彼女が見ていたとしても、彼女はフルーフのように再現を行おうとはしなかっただろう。


 まず第一に彼女に『(ことわり)』を生み出すだけの能力が備わってはいない事が挙げられるが、それだけではなく『フルーフ』が見たという、その『発動羅列』の類似する効力の知識がそもそもレアにはない為、いくら発動羅列のパズルを組み替えようが再現を行いようがないからである。


 あくまで大魔王フルーフに再現に必要な『魔』の概念理解度があったからこそ、彼はヌー対策に流用しようと思い至ったわけであり、ひと欠片も再現に必要なピースがなければ、いくら発動羅列の一部が見えたとしても、それだけでは何の価値も見出す事は出来ない。


「そ、そのフルーフ様が生み出しになられた『呪法』とは、ぐ、具体的には、ど、どのような効力なのですか?」


「うむ。端的に言えば、ワシに対する『魔』の概念技法、それら一切の全てを無効化する『呪法』だな」


「え?」


 レアは自分が想像していた以上に荒唐無稽な『呪法』の効力を父であるフルーフに告げられたことで、一時的に頭で考える事を放棄してしまい、思わず疑問の声が無意識に口から漏れ出てしまうのだった。


「まだ実際に検証も行っていない状況にあるが、真に完成すれば『発動条件』を満たす事でその結果を齎す事を可能とするだろうな。そして大魔王ヌーは必ずワシの呪法の『発動条件』を満たすだろう。だからこそ、ワシはこの呪法を作ったのだ」


 まるで戦っている未来を見て来たかのように、そう断言して見せるフルーフであった。


「そ、そんな『呪法』……が、ほ、本当ですか?」


 レアはあまりの驚きで言葉を失ってしまい、彼女にしては珍しい程に全く要領を得ない言い方で、フルーフに尋ねてしまうのだった。


「レアよ、お主はワシのこの呪法にさえ驚いているようだが、ワシが見た記憶の断片が正しければ、大元となった『魔法』は、もっととんでもないものだぞ? 何せ、ワシの呪法のように『発動条件』を満たさずとも、発動を可能とするだけの代物と思われるからの」


「!?」


 条件が必要な父が生み出した『呪法』でさえ、概念の常識が塗り替えられる程の驚きがあったというのに、その『呪法』を発動出来るだけの一つの世界の『(ことわり)』を生み出して見せたフルーフ当人から、本物はもっととんでもないものだと告げられてしまい、もはや呆然を通り越して愕然となってしまうのであった。


 ――そう。


 実際にこのフルーフの発言には、全く誇張はなかった。


 何故なら、彼自身が意識を失っている時に見た『発動羅列』の記憶の断片、その基となった代物は、大賢者『ミラ』ですら、体現を成し得る事が出来なかった『ダール』の世界の魔神が用いた『魔法』の『発動羅列』であり、そのフルーフが用いるきっかけとなったその『発動羅列』の基の『魔法』というのが、何を隠そう『魔法無効化』と呼ばれる下界には存在しない、まさに『天上界』にある『魔法』なのであった。


 ……

 ……

 ……

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